唐辛子は野菜だった。ブータン食べもの編
今回は、ブータンの農家民宿での料理体験や、現地で出会ったちょっと不思議な食べもの、そして東京のブータンレストランについて書いてみました。
いわば 「ブータン食べもの編」 です。
農家民宿でのエマダツィ
空港のある町パロでは、農家民宿に泊まる体験をしてみることに。
観光というより、誰かの家にちょっとお邪魔させてもらうような感覚です。
秋に訪れたこともあり、収穫が終わるこの時期は農家の方たちもすこし時間に余裕ができるそうです。そのため、こうしたホームステイのような体験を受け入れてくれるのだとか。

そこで一緒に作ったのが、エマダツィ。直訳すると「唐辛子とチーズ」。エマダツィは毎朝1日分を仕込むのだそうです。
材料はとてもシンプル。唐辛子、ニンニク、玉ねぎ、ピーマン、そしてチーズ。
日本だと唐辛子は調味料のイメージ。でもブータンでは完全に野菜。鍋いっぱいに唐辛子を入れます。

ブータンではごはんのお供に必ず出てくるエマダツィ。これが意外とおいしい。よく考えてみると、辛いラーメンにチーズをのせるのと同じ感覚かも。
サラサラのシチューのようなチーズ煮に、ピリッとした青唐辛子の辛さ。ごはんにもよく合う、クセになる味でした。日本で言えば、漬物みたいな存在かもしれません。

そんな唐辛子が主役の国なので、村の風景もちょっと面白いです。村を車で通ると、屋根の上に赤いものがびっしり干してあります。近くで見ると全部唐辛子!

石みたいに固いチーズ「チュゴ」
露店でよく見かけたのが「チュゴ」と呼ばれる乾燥チーズ。

これは遊牧民が作ることが多く、そのまま市場にも並びます。角ばっていて、実際に口にしてみると、想像以上の固さ。チーズというより、ほとんど石のようです。
甘くもなくしょっぱくもなく、ほんのりミルキーな味はするのですが、なかなか口の中で溶けません。どうしても塊が残っている感じが気になってしまい、私は最後まで食べきることができませんでした。
ブータンでは、山歩きや長旅のお供にこれを持っていくのだそうです。長く保存できて、ゆっくり噛めば栄養にもなる。まさに山の国ならではの携帯食です。
東京で食べるブータン料理
ブータンで食べた料理が恋しくなり、東京でブータン料理が食べられるお店を調べていたら、いくつかありました。
今回、ブータンの記事をnoteに書くなら行ってみたいなと思い、代々木上原にある「ガテモタブン」に足を運んでみることに。最近は、取材のようにお店に行って、感じたことをnoteに書くのがちょっとした楽しみになっています。
もちろんメニューにはエマダツィがありました。それも3種!シャバシャバの東地方版、チーズ濃度が高めでコクのある西地方版、そしてじゃがいも入り。

現地ではごく普通の家庭料理ですが、ここではお値段がだいたい 1,500円くらい。私の感覚だと、300〜500円くらいで食べられそうな料理なので、ちょっとした文化体験価格といったところです。
ブータンで印象に残っている飲み物があります。それがスジャと呼ばれるバター茶。煮出した黒茶に、ヤクや牛のバター、そして塩を加えて攪拌したお茶で、朝食や来客時、僧侶の読経のときなどに出される伝統的な飲み物です。ただ、私にはすこしハードルが高い味でした。ブータンバター特有の、ほんのり野生味のある香りがあるのです。
今回、ガテモタブンで、そのバター茶を思い出すお茶に出会いました。ミャンマー茶というメニューで、カオニンムェという茶葉を使っているそうです。

一口飲んだ瞬間、ふっとよみがえるブータンの記憶。
「あ、この感じ…」
スジャのクセ、そのものでした。どこか牧草のようで、野生味のある風味。味にはモリンガのような青臭さも感じます。
このレストラン、注文してから料理が出てくるまで時間がかかりました。とはいえ、東京でブータンの味を体験できるのはやはり貴重。
時間にもお財布にも、すこし余裕がある日に訪れるのがおすすめです。
映画で出会うブータン
旅ですっかりブータンに魅了された私は、ブータンと聞くとつい反応してしまいます。そんな流れで、映画『ブータン 山の教室』を観てみました。
舞台はヒマラヤの山奥にある小さな村。都会から赴任してきた若い教師が、電気もほとんどない村で子どもたちとふれあい、人生を見つめ直す物語です。
最初は都会に戻りたいと思っていた先生が、村の人たちや子どもたちと過ごす中で、少しずつ変わっていきます。映画には、ヒマラヤの山々の景色や、自然とともに暮らす人たちの生活がそのまま映し出されています。
一方で、今のブータンは決して「昔のままの国」というわけでもありません。都市部に行けば、若者たちがクラブやバーに集まる姿も見られるそうです。
この映画が問いかけているのは、単純な経済的・物質的な豊かさと精神的な幸せの対比ではなく、「そもそも幸せとは何なのだろう」ということを静かに考えさせてくれる作品だと感じました。
まとめ
ヒマラヤの山の国というと、なんだか遠い世界のように感じますが、実は東京でもブータン料理を食べられるお店があったり、素敵な映画をNetflixで観られたり、その空気を感じることもできます。
現在、映画『ブータン 山の教室』は恵比寿ガーデンシネマほかで上映中です(2026年3月15日時点)。ブータンと日本の外交関係樹立40周年の節目ということもあり、先日ブータンの首相も来日されたそう。遠く離れた国どうしですが、こうした文化を通じた交流が、これからもゆっくりと深まっていくといいなと思います。
今回は前編。後編では、寺院やお祭りなど、実際に訪れた観光地について書く予定です。山の国の旅、もうすこし続きます 🌄

日ブータン外交関係樹立40周年記念ロゴマークとともに🍻
