かってに私の青春を決めんな
文化祭がなくなってよかった。放課後、彼女は高校の近くにある人気のない公園を歩きながら、そう思います。流行り病に青春を奪われたと嘆く同級生にかまわず、制服のままミラーレス一眼を片手に、彼女は彼女のための今を探します。
入学式も体育祭も中止。部活では応援さえできない。そのような高校生活を、しかし彼女は大人たちに憐れまれたくありません。かってに私の青春を決めんな。青春が青いと誰が決めた! 思いながら彼女は西日帯びる名もない草葉を写します。
周りを気にせず、息を止めて、誰も気に留めない景色を捉え、ひとりシャッターを押す瞬間が、彼女は何より好きでした。入学式が、体育祭が、文化祭がなくても、かまいません。撮られるのではなく、撮りたいと、彼女は考えます。
彼女はカメラを構えました。手垢のついた絶景ではなく、自分の景色を切り取ります。彼女は静かに息を止めました。私の青春も、新しい文化も、これから私が撮るんだ。遠く学校の鐘の音が響きます。写真には、誰にも奪えない、彼女の色。
ショートショート No.413

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