#夏の一コマ ついでに物語😊
眩耀(げんよう) わさび作
「あの光は、願いを映す光なんだよ。」
幼い頃、祖母はそう言って、夕暮れの山を指さした。
西日に照らされた木々は、まるで金色の海のように輝いていた。
「でもね、本当に眩しいのは、光じゃない。」
私は首をかしげた。
祖母は優しく笑う。
「誰かを思う心は、どんな宝石よりも眩耀するんだよ。」
その言葉の意味は、長い間わからなかった。
時が流れ、祖母は空へ旅立った。
悲しくて、寂しくて、何度も山を見上げた。
ある秋の夕暮れ。
黄金色の光が一面を包み込み、風に揺れるすすきがきらきらと輝いていた。
その景色を見た瞬間、不思議と涙がこぼれた。
あの日、祖母が見せたかったものは、この景色ではなかった。
誰かを大切に思い、誰かの幸せを願う。
その心がある限り、人は何度でも光を生み出せる。
どんな暗闇の中でも。
私は空を見上げ、小さくつぶやいた。
「おばあちゃん、ありがとう。」
夕陽は何も答えなかった。
けれど、その眩耀は、確かに私の心を照らしていた。

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