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宇宙人チョピット④『チョピット、オバケに会う』

『チョピット、オバケに会う』

なまあたたかい風がぬるりと吹きました。
ふいに街灯が、バチ、バチン!と音をたてて消えました。
コンビニからの帰り道…
だぁれもいない公園は、夜があーんと口をあけているかのようにまっくらです。

トラのトラチャンは、ぶるっとみぶるいして、しましまのしっぽをギュッとつかみました。
「ね、ねぇチョピット、アイスがとけちゃうから、はやく帰ろう」
そういって、ふりかえったら…

「ギャァッ!」

トラチャンは腰をぬかしました。
なぜって、すぐうしろに、ぼうっとあやしい光が…
チョピットが、みどりいろに光って立っていたからです。

「トラチャン、どうしましたか?」
「だだだって! チョピット、きみ光ってるよ!」

ピピット星からやってきた、宇宙人チョピット。
そのチョピットがかぶっている、もこもこした頭巾。
いつもは雲みたいに真っ白な頭巾まで、今はみどりからむらさき、むらさきから青、青からピンクに色をかえて光っています。

「トラチャンだって、目が光っていましたよ。とってもかっこいいです!」
チョピットがそういうと、チョピットの頭巾から、チーチーが、ぴょこっとでてきて、まぶしそうに顔をしかめました。

「トラチャンの目が光っているのは、網膜のうらにある『タペタム』が、わずかな光を反射して増幅させるためだチーチー」
チーチーは、頭巾の中にすんでいる、すみれいろのふわふわの、物知りなことり…チョピットの「チョットチーチーチー」です。

「へぇっ! タぺニャム? にゃむにゃむ?…よくわかりませんが、トラチャンはすごいですね! ワタクシの光は、しっぽのスイッチを押しているだけです」
チョピットがまるいしっぽをカチカチおしてみせると、チョピットのからだのみどりいろの光が、ついたり消えたりしました。

「ふふっ」
それがあんまりにぎやかに光るものだから、トラチャンがおもわずふきだした…そのときです。

キィ…キィ…キィ…

だれもいないはずの公園のブランコが、ふいに音をたててゆれはじめました。

キィ…キィ…キィ…

風でしょうか。
いいえ、風はやんでいます。

キィ…キィ…ギィィィィ

まるでこちらに気づいたかのように、ブランコがゆっくりとまりました…
つぎの瞬間、

ガタガタガタガタッ!

おかしな動きでブランコがふるえはじめたのを見て、トラチャンはおもわず目をとじてさけびました。

「キャーーーーーッ!」
「キャーーーーーッ!」


闇を切り裂くようなさけび声がふたつ、夜の公園にひびきわたりました。
ひとつはトラチャンの声でした。
もうひとつは…?

こわくて目を開けられないまま、トラチャンは、チョピットが話している声を聞きました。

「だいじょうぶですよ、こわくありませんよ」
(むりだよぅ、こわいよぅ)
トラチャンはぶんぶんと首をふります。

「安心してください。トラはトラでも、トラチャンはやさしいトラです」
(安心なんてできな……ん?…ちょっとまって…?)
トラチャンは、はて?と首をかしげました。
(…やさしいトラって…ぼくのこと⁈)
トラチャンは、そうっと目を開きました。

…チョピットは、ブランコのそばにいました。
だれかに話しかけているようです。
トラチャンは、おそるおそるブランコに近づきました。

「チョピット? だれと話してるの?」
そこでトラチャンが見たのは、青白く、うすぼんやりとすきとおった…

「オ、オ、オバ、オバ、オバケ…⁈」

「オバケとは、妖怪や幽霊といった、得体のしれないもののことだチーチー」
「はい! こちら、オバケの…えっと、名前は『ポンポン』だそうです!」

シーツをすっぽりとかぶったような形をしたオバケのポンポンは、トラチャンをみて、もう一度、
「キャー!」
とさけびました(さっきのもうひとつのさけび声は、ポンポンだったのですね)。
それからブランコの上で、ふるふるとふるえながら、
「トラこわい…」
といいました。
「こわいのは、オバケのほうでしょ」
トラチャンが、ちょっぴりムッとしていいました。

するとポンポンが、
「ほら! こわいっていった! あたしのこと、こわいっていった!」
といって、さめざめと泣きはじめました。
「え? え?」
トラチャンがおどろいてオロオロしていると、ポンポンは泣きながらいいました。

「あたしだってね、みんなと遊びたいんだ! 遊びたいのに、みんな、あたしのこと『こわい』っていってにげだしちゃうんだ! オバケだからこわいの? からだがすきとおってるから? あたしのこと、なーんにも知りもしないで!」

やがて、
「わーん! わーん!」
と、声を上げて泣きだしたポンポンのからだから、ぽたぽたと涙がしたたり落ちました。

ーーあたしのこと、知りもしないで…
トラチャンは、ハッとしました。
「オバケだから」というだけの理由で、みんなからこわがられているポンポン。
それがどんな気持ちか、自分だってよくわかっていたつもりなのに。

「ごめんね…」
トラチャンがうつむいてそういったとき、きゅうに、
「こわいオバケもこわくないオバケもこわいトラもこわくないトラもこわい宇宙人もこわくない宇宙人もいます!」
チョピットが、早口言葉のようにいっきにいって、とくいげな顔をしました。

「トラチャンとポンポンは、『こわくない宇宙人』だチーチー」
チーチーの言葉に、トラチャンは、一瞬「?」となりましたが、
「あっそうか! チョピットたちからみたら、ぼくたちのほうが『宇宙人』だもんね」

みんないっしょの宇宙人。
いつのまにか、空には満点の星が輝いていました。

「いいことをおもいつきました!」
チョピットが、ぴょんととびはねていいました。
「すきとおっているのがこわいっていわれるなら、これをかしてあげます!」

チョピットはそういうと、自分のしっぽをプチッととって、ポンポンのおなかにペタッとくっつけました。
それからスイッチをカチッ。

するとどうでしょう!
青白くすきとおっていたポンポンのからだが、みどり、むらさき、青、ピンク、と、カラフルに光りはじめたではありませんか!
「わぁ! きれい!」
トラチャンが手をたたきました。

「うれしい! ありがとう!」
ポンポンがくるりとまわってみせると、光がキラキラと虹のように広がりました。
「でも、いいの? だいじなしっぽなんでしょう?」
「みんなに『こわくないオバケ』だってわかってもらえたら、かえしてくれればいいです!」

そのときでした。
「たいへんだチーチー! アイスがとけてるチーチー!」
チーチーが、すみれいろの羽をパタパタさせてさわぎました。
「わすれてた!」
「ワタクシのアイスが! ワタクシの…アイス…」

とけたアイスをかかえて、がっくりとするチョピットに、ポンポンがいいました。
「あたしにちょっとかしてみて」
いうが早いか、ポンポンは、チョピットの手からアイスをパッととりあげて、
「3・2・1!」
と数えました。
するとみるみるアイスが冷えて、元どおり、カチンコチンにかたまりました。
「へへん! あたし、つめたいのには自信があるんだ」

それから、チョピット、チーチー、トラチャン、ポンポンの4人で、2このアイスをわけっこしてたべました。
「ふたについたアイスを、ペロっとなめるとおいしいですよ! トラチャンがおしえてくれました!」
「そんなの、あたしだってしってますよーだ!」

ふふふ、あはは!と、笑い声が空まで飛んでいきました。
流れ星がピューッと流れて、とってもすてきな夜でした。























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