マダム天使のお告げ
20代なかば頃に行った、スピリチュアル系イベント展での話。
オラクルカード占い、ヒーリング、前世、守護霊、天使。
キャー♡ラメ子の大好物がたくさん♡
その中で、目の周りを黒のラメでキラキラさせているマダムがいた。
そのマダムは、相談者を守護している天使からのお告げを伝えてくれる人だという。
ラメ子、ピンときたね。この人だ!
(大丈夫か)
そうしてマダム天使のブースに並び、順番が来て、私はマダムの前に座った。
マダムは、落ち着いた声で言った。
「何を天使に聞きたいですか?」
私はいくつか悩みを話した。
恋愛のこと、仕事のこと、人間関係のこと、将来のこと。
マダムはそのたびに、
「では、天使に聞いてみますね」
そう言って、目を閉じて静かに集中する。
👼…天使と交信中…👼
そして、目を開けると天使からのメッセージを伝えてくれる。
私は、なるほど、これが天使のお告げか、と思って聞いていた。
ちなみにこの辺のお告げの内容は、忘れた。
でもなんだか、マダムのただならぬオーラと話し方で本当に天使に聞いてくれているんだな!と、私はすっかり酔いしれてしてしまい、当時いちばん現実的に困っていたことを相談した。
お金である。
エンジェルの前で、金の話である。
でも本当に困っていた。
その頃の私は、金運がまったくなかった。
あ、ごめん。いつものことだった。
いや、金運というより普通にゲンナマがなかった。
そこへ、知人や友人の結婚式の招待が続いた。
結婚式は喜ばしい。
本当におめでたい。
行けるなら行きたい。
お祝いしたい。
でも、ご祝儀がいる。
服もいる。
交通費もいる。
二次会があれば、さらにいる。
おめでとうの気持ちをSuicaにチャージできたら良いのに…。
私はマダムに言った。
「金運が全然なくて、お金もないんです。でも結婚式の招待状が続いていて、行くのも本当に大変で……」
するとマダムは、
「そんなもの、お金がないなら欠席すればいいじゃない」
と、黒ラメの奥の瞳がかつてないほど現実を捉えた状態で、冷静な口調で即答した。
目も閉じない。天使に聞く間もなかった。
私が、おや?という顔をすると
「……と、天使が言ってます😅」
と、付け加えた。
天使、即答?
いやいやいやいや。
それはマダムの意見だろう。
心の中で、ラメ子は静かに突っ込んだ。
今のは絶対、マダムの意見である。
あまりにも人間の正論だった。
もちろん、言っていることは間違っていない。
お金がないなら、断ればいい。
本当にその通りである。
結婚式は義務ではない。
無理して行って、自分の生活が苦しくなるなら、欠席をする選択もある。
大人として、まともな意見である。
でも私は、天使のお告げを聞きに来ていた。
天使の羽音を待っていた。
なのに飛んできたのは、黒びかりラメのマダムによる現実的なアドバイスだった。
その時の私は、笑うに笑えず、
「そうですね……」
と、答えた。
実際は、その後も結婚式には無理をして行った。なんとかゲンナマを捻り出して。
でも、行ってよかったと思っている。
大変だったけれど、お祝いできてよかった。
友達や知人の晴れの日を見届けられたことは、私にとっても大事な思い出になっている。
ただ、マダム天使のお告げは、ごもっともだった。
お金がない。でも、行きたい。
それなら、自分で現実的に動くしかないのだ。
本業以外に、日払いバイトでもなんでもして、なんとかする。
現実的にお金がない問題を、スピリチュアルに丸投げしてはいけない。そんなことを、黒ラメのマダム天使から学んだお話でした。 イベントで使ったお金、結婚式にまわせたぜ。
