その“普通”、本当に普通ですか?
「高望みしてるつもりはないんです」
「普通の人でいいんです」
婚活カウンセラーをしていると、本当によく聞く言葉です。
で、その「普通」を聞いてみる。
大卒。
正社員。
年収500〜600万円以上。
身長170cm以上。
年齢は同年代くらい。
できれば初婚。
「別にイケメンじゃなくていいんです」
「年収1000万円とか言ってるわけじゃないし」
「本当に普通の人でいいんです」
……なるほど。
でも、もう少し詳しく聞いていくと、その「普通」にはまだ続きがあります。
今日はそんな話です。
一つひとつは、確かに「普通」に見える
たとえば、
「年収500万円以上がいいです」
だけなら、ものすごく高望みをしている感覚はないと思います。
身長170cm以上もそう。
大卒も、正社員も、初婚も、それぞれ単体で見れば、
「そんなに珍しい条件じゃないでしょ?」
と思うかもしれません。
だから本人としては、
「私、別に年収1000万円なんて言ってません」
「身長180cm以上じゃないと嫌とか言ってないです」
「イケメンじゃなくてもいいんです」
となる。
うん。
分かります。
一つひとつを見ると、そこまで無茶なことを言っているようには見えないんですよね。
でも婚活では、ここにちょっとした落とし穴があります。
「普通」を全部乗せすると、普通じゃなくなる
大卒で、
正社員で、
年収500万円以上で、
身長170cm以上で、
同年代で、
初婚。
清潔感があって、
コミュニケーションも普通に取れる。
さらに、
タバコは吸わない。
借金はない。
「奨学金も借金ですよね?」
と、奨学金の返済が残っていることを気にする人もいます。
特定の宗教を信仰していない。
大きな持病がない。
親との同居はなし。
ギャンブルもしない。
金銭感覚もまとも。
家事もある程度できる。
ここまでクリアしたうえで——
顔が自分の好み。
生理的に受け付けないところがなくて、
一緒にいて楽しくて、
男性としてちゃんと「いいな」と思えて、
できれば、ときめきもほしい。
そしてもちろん、
そんな彼が、自分のことも好きになってくれる。
……。
ここまで聞くと、私はときどき思います。
それ、本当に「普通の人」ですか?(笑)
問題は、一つひとつの条件じゃない
誤解してほしくないのですが、
「そんな条件を持つな」
と言いたいわけではありません。
タバコを吸わない人がいい。
借金がない人がいい。
親との同居はしたくない。
顔だって、ある程度自分の好みの人がいい。
好きになれる人と結婚したい。
できれば、ときめきだってほしい。
どれも分かります。
結婚相手を探しているんですから、希望があるのは当然です。
問題は、それぞれの希望ではありません。
「全部」です。
大卒
× 年収500万円以上
× 身長170cm以上
× 同年代
× 初婚
× 非喫煙
× 借金なし
× 同居なし
× 宗教上の懸念なし
× 健康面の希望
× 清潔感
× コミュニケーション力
× 顔が好み
× 生理的にOK
× ときめく
そして最後に、
「その男性からも選ばれる」
まで必要です。
一つひとつは「普通」に見えても、それを全部掛け合わせたら、当然当てはまる人は少なくなります。
なのに本人としては、
「普通の人を探しているだけ」
という感覚のまま。
だから、
「普通の人でいいのに、全然いない」
となってしまう。
カウンセラー側から見ると、
いや、その“普通”、結構ハードル高いんですけどね。
……と思うことがあります。
もちろん実際の面談では、もう少し丁寧に言います(笑)。
本人も「条件」だと思っていない条件がある
そして、婚活の現場でもう一つよくあるのが、
最初から全部の条件が出てくるわけではない
ということ。
最初に、
「どんな方が希望ですか?」
と聞いたときは、
「そんなに条件ないんです」
「普通の方でいいです」
と言っていた。
ところが、実際に活動を始めてみると——
「タバコを吸う方はちょっと……」
「親御さんとの同居の可能性があるんですね。それは難しいです」
「奨学金がまだ残っているんですか?」
「持病がある方は考えていませんでした」
「転勤がある仕事なんですね……」
「離婚歴がある方はちょっと……」
と、後から後から出てくることがあります。
もちろん、最初に聞いたときに全部教えてくれる人もいます。
その場合は、
「この方はここを大切にしているんだな」
と分かるので、こちらも整理しやすい。
難しいのは、
本人もそれを「希望条件」だと思っていないケースです。
本人の中では、
タバコを吸わない。
借金がない。
親と同居しない。
大きな持病がない。
特定の宗教を信仰していない。
こういったことが「希望」ではなく、
「それって普通というか、当たり前ですよね?」
になっている。
だから、最初の希望条件には出てこない。
実際に該当する人が現れて初めて、
「あ、この条件もNGだったんだ」
とこちらも分かる。
これを何度か繰り返していくと、カウンセラー側から見えてくる「その人の本当の希望条件」は、最初に聞いていたものよりずっと多くなっていることがあります。
でも本人としては、
条件を増やしたつもりはない。
だって全部、
「普通のこと」
だと思っているから。
もしかすると「普通の人がいない」のではなく、
自分の中にある“当たり前”を、自分自身がまだ把握できていない。
そんなケースもあります。
「できれば」が、いつの間にか「最低条件」になっていませんか?
これも婚活ではよくあります。
最初は、
「身長は170cmくらいあったら嬉しいです」
だったはずなのに、
いつの間にか検索条件が、
170cm〜
になっている。
169cm。
検索結果にすら出てきません。
「できれば大卒」だったのに、大卒以外はプロフィールを開かない。
「年収500万円くらいあったら安心かな」だったのに、500万円未満は対象外。
「同居はできれば避けたい」だったのに、将来的な同居の可能性が少しでも見えたら対象外。
こうやって、
「できれば」が一つずつ「絶対条件」に変わっていく。
すると当然、会える人はどんどん少なくなります。
でも本人は、条件を上げたつもりがない。
だから、
「申し込みたいと思える人がいません」
「いい人がいないんです」
となってしまう。
さらに婚活には「会ってからの条件」がある
そして、プロフィール上の条件を全部クリアしたからといって、そこで終わりではありません。
実際に会ってみる。
すると今度は、
「なんとなく違いました」
「いい人なんですけど……」
「生理的にちょっと」
「顔がタイプじゃなくて」
「話はできたんですけど、ときめかなくて」
が出てきます。
これも分かります。
結婚する相手ですから、誰でもいいわけではありません。
でも、
プロフィール上の条件をクリアして、
本人も気づいていなかった「隠れ条件」もクリアして、
実際に会った印象もクリアして、
さらに自分が男性として好きになれて、
ときめいて、
そして相手も自分を好きになってくれる。
ここまで全部そろう人を探しているとしたら。
やっぱりそれは、
「普通の人を探している」婚活ではないのかもしれません。
婚活は、自分だけが選ぶものじゃない
婚活をしていると、つい忘れてしまうことがあります。
プロフィールを見て、
この人はあり。
この人はなし。
年収が……
身長が……
見た目が……
家族構成が……
と、自分が相手を選んでいる時間が圧倒的に長い。
だから無意識に、
「自分が誰を選ぶか」
ばかり考えてしまいます。
でも婚活には、もう一人参加者がいます。
相手です。
自分が「この人いい!」と思った男性にも、当然希望があります。
年齢の希望もある。
見た目の好みもある。
性格の好みもある。
生活スタイルや価値観についての希望もある。
つまり、
自分が条件をつけているように、相手も条件を持っています。
自分の希望条件を全部クリアした男性を見つけたとしても、その男性が自分を結婚相手として選ぶとは限らない。
ちょっと厳しい言い方ですが、ここも婚活の現実です。
婚活って、
「自分の条件に合う人を探すゲーム」ではなく、
「お互いに選び合える人を探すもの」
なんですよね。
じゃあ、妥協すればいいの?
ここまで読むと、
「結局、条件を下げろってことでしょ?」
と思われるかもしれません。
違います。
なんでもいいから申し込みましょう、という話でもありません。
私が一度考えてみてほしいのは、
「その条件、本当にあなたの結婚生活に必要ですか?」
ということです。
たとえば、
身長170cm以上。
なぜ170cmなのでしょう。
169cmの男性とは幸せに暮らせない?
大卒。
結婚生活の中で「大卒であること」は、自分にとって何を意味しているのでしょう。
年収500万円。
なぜ500万円なのか。
自分も働くのか。
子どもを希望するのか。
どんな暮らしをしたいのか。
そこまで考えたうえで必要な500万円なのか。
それとも、
「これくらいが普通かな」
という、なんとなくの数字なのか。
初婚もそう。
初婚だから幸せな結婚生活を送れるわけではないし、再婚だから結婚相手として問題があるわけでもありません。
もちろん、
「私はタバコだけは絶対に無理」
「宗教についてはこう考えている」
「親との同居はできない」
など、
人それぞれ、本当に譲れないことはあっていい。
そこは無理に曲げる必要はないと思います。
ただ、
本当に譲れない条件と、なんとなく持っている“普通”を一緒にしないこと。
これは婚活では、とても大事だと思っています。
「普通の人」より、「自分に合う人」
身長169cmでも、一緒にいるとすごく安心できる人かもしれない。
年収450万円でも、お金の価値観が自分とよく似ているかもしれない。
再婚でも、過去の経験があるからこそ、家族を大切にしようとしている人かもしれない。
口下手でも、あなたの話を最後までちゃんと聞いてくれる人かもしれない。
最初は顔がタイプじゃなかったのに、何度か会ううちに笑った顔が好きになることだってあります。
プロフィールの条件だけでは分からないことって、結構あります。
というか、
会って話してみないと分からないことの方が、たくさんあります。
写真では特にタイプじゃなかったけれど、
実際に会ったら思っていたより笑顔が素敵だった。
話してみたら、なんだか居心地がよかった。
プロフィールでは少し堅そうに見えたけれど、会ってみたらよく笑う人だった。
最初は「恋愛対象になるかな?」と思っていたのに、話してみたら意外と楽しかった。
婚活では、こういうことも珍しくありません。
逆もあります。
プロフィールでは、
「この人、かなりいいかも!」
と思っていたのに、
実際に会ってみたら、
「あれ……?」
なんてこともあります(笑)。
だから私は、
絶対に譲れない条件以外は、最初からガチガチに絞りすぎなくてもいい
と思っています。
条件を少しゆるめて、
「ちょっと会ってみようかな」
くらいで会ってみる。
婚活では、この「ちょっと会ってみる」が意外と大事です。
だって、
プロフィールに
「一緒にいると、なんとなく居心地がいいです」
なんて書いてありませんから。
笑ったときの表情も、
声の感じも、
話すテンポも、
こちらの話を聞いているときの表情も、
ちょっとした気遣いも、
一緒にいて自分がどう感じるかも、
プロフィール検索では分かりません。
でも結婚生活で大切になるのは、案外そういう部分だったりします。
条件を一つ増やすたびに、
「会っていたら好きになったかもしれない人」まで、検索結果から消えているかもしれない。
これは、ちょっともったいない。
もちろん、生理的に無理な人や、どうしても譲れない条件まで無理して会う必要はありません。
でも、
「身長があと1cmあれば」
「年収があと50万円高ければ」
「できれば大卒がいいから」
「写真がタイプじゃないから」
そのくらいなら、一度会ってみてもいいのでは?
と思います。
「条件に合う人」と「自分に合う人」は、同じとは限りません。
そして後者は、会ってみないとなかなか分からない。
だからこそ婚活では、
プロフィールで完璧な人を探すことより、
「会ってみたら意外とよかった」を拾える余白を残しておくこと。
それも、ご縁を広げる一つの方法だと思っています。
あなたの「普通」、一度書き出してみてください
「普通の人でいいんです」
そう思っている人ほど、一度やってみてほしいことがあります。
まず、
自分が思っている「普通の人」の条件を、全部書き出してみる。
年齢。
年収。
学歴。
身長。
仕事。
見た目。
結婚歴。
家族。
健康。
宗教。
借金。
タバコ。
お酒。
ギャンブル。
家事。
コミュニケーション。
そして、もう一つ。
「どんな人だったら、自分は断るだろう?」
これも考えてみてください。
実はこちらの方が、自分でも気づいていなかった条件が出てくることがあります。
希望条件は3つしかない。
でも、
「これは嫌」
「これも無理」
「これは普通ないでしょ」
を書き出してみたら、NG条件が10個あった。
それなら実際には、
かなりたくさんの条件で相手を探している
ということになります。
さらに、
自分が好きになれる。
生理的に受け付けられる。
男性としてときめく。
そして、
相手も自分を好きになってくれる。
全部並べてみる。
すると、
たぶん。
思っているほど「普通」じゃありません(笑)。
でも、それでいいんです。
条件を全部捨てる必要もないし、無理に妥協する必要もない。
ただ、
「自分に本当に必要なもの」と
「なんとなく持っていた普通」を分けてみる。
それだけで、今まで検索結果から消えていた人の中に、意外といい人がいるかもしれません。
結婚する相手は、「普通の人」じゃなくていい。
あなたと一緒に暮らしていける人なら、いいんです。
婚活の現場では、きれいごとだけでは語れないことがあります。
これからこのnoteでは、現役婚活カウンセラーとして日々感じていることを、少しだけ本音多めで書いていこうと思います。
誰かの婚活をのぞきながら、
「私もこれ、やってるかも」
と、自分の婚活を振り返るきっかけになれば。
