広瀬AIを作ったもう一つの理由——レバETFで850万円溶かした男の話
少し前「じっちゃまの1,000記事で広瀬AIを作った男の話」という記事を書いた。5年前に「じっちゃまが死んだらどうする?」と偉そうに書いたバカが、じっちゃまの記事1,000本をAIに読ませて広瀬AIを作るまでの話だ。
あの記事では「記憶力が足りなかった」「だからAIに補ってもらった」と書いた。嘘ではない。でも全部は書いていなかった。
広瀬AIを作ったもう一つの理由がある。それは自分の投資がボロボロだったからだ。
■ 850万円が消えた2年間
2024年1月から2025年12月までの2年間、私は133回の取引を行った。
結果はこうだ。
レバレッジ銘柄:126取引
非レバレッジ銘柄:7取引
レバレッジで失った金額は850万円。
レバETFに手を出すまでは年利7~8%で順調に稼いでいた。それがレバに触れた瞬間、全部壊れた。
■ なぜレバに手を出したのか
2024年、私は転職した。
10年以上いた会社を辞めて、新しい環境に飛び込んだ。会社のデータを分析してマーケティング戦略を考える仕事だ。朝から晩までモニターに張り付いていた。成果を出さなければ居場所がなくなるというプレッシャーの中にいた。
本業で消耗し、投資に冷静さがなくなった。
日中は新しい職場で神経をすり減らし、夜は相場を見た。疲れた頭で「もっと早く資産を増やさないと」と焦る。40代後半、転職で年収はそれなりには上がったが、合わせて焦りも増えた。
その焦りがレバレッジETFへの入口だった。
1倍の株を買って年7~8%のリターンを積み上げる。それが正しいことは頭ではわかっていた。でも8%では遅い。100万円が108万円になるのを1年待つ余裕が、当時の自分にはなかった。
3倍レバなら24%になる。もっと早く自由になれる。そう思った。
■ なぜ抜けられなかったのか
最初の数回は勝った。勝つと「やっぱりレバは正しい」と確信する。
問題は負けた後だ。
損が出る。取り返したい。レバなら少ない値動きで取り返せる。その計算が頭の中で自動的に走った。
これが地獄の入口だった。
損を取り返すためにレバを使い、さらに損が膨らみ、さらにレバで取り返そうとする。この循環に一度入ると、意志の力では抜けられない。「次こそは」「あと1回だけ」「ここまで来たら引き返せない」。ギャンブル依存と同じ構造だ。
仕事のストレスが高い日ほど、取引回数が増えた。疲れた脳は「慎重に待つ」という判断ができない。目の前のチャートが動いていると、何かしなければいけない気がする。何もしないことが一番合理的な場面で、ポジションを取ってしまう。
2年間で126回。平均すると3日に1回、レバレッジETFを売買していた。冷静な人間の行動ではない。
■ ある3倍ベアETF、69回の地獄
最大の元凶はS&P500に連動する3倍ベアETFだ。「相場が下がると思ったら買う」という商品だが、実態はもっと残酷だ。
この1銘柄だけで69回取引した。結果は-1,126万円。
なぜ69回も取引したのか。答えは簡単だ。「次こそは当たる」と思ったからだ。
レバレッジETFの怖さは値動きの大きさではない。「方向が合っていても負ける」構造にある。3倍レバはボラティリティの減衰(volatility decay)で、レンジ相場が続くだけで価値が削られていく。上がって下がってを繰り返すだけで、元本が溶ける。
さらに悪いことに、損が出るとナンピンした。「ここまで下がったなら、もう少し買えば平均取得単価が下がる」。この論理は1倍の株では一定の合理性がある。だが3倍レバでやると、減衰効果で底が抜け続ける。ナンピンした分だけ損が膨らんだ。
■ AIに自分の取引を入れてみた
ある日、何気なしにAIに自分の取引履歴を入れてみた。広瀬AIではない。ただのAIだ。深い考えはなかった。手元にAIがあるんだから、試しに自分のデータも見てもらおうか、くらいの気持ちだった。
-850万円という数字が出てきた。驚きはなかった。薄々わかっていた。ただ、AIに数字で突きつけられて目が覚めた。
じっちゃまのnote記事を5年間読んできた。投資で大事なことは全部書いてあった。金利を見ろ。バランスシートを読め。キャッシュフローを追え。感情で売買するな。
全部読んだ。全部わかっていた。それでも「感情で売買するな」だけは守れなかった。
この経験が、広瀬AIを作るもう一つのきっかけになった。前の記事ではじっちゃまの知恵を保存するために作ったと書いた。それは本当だ。でも同時に、自分の衝動を管理してくれる仕組みが欲しかった。じっちゃまの哲学で自分を止めてくれるAI。両方が重なって、広瀬AIが生まれた。
■ 広瀬AIが返した答え
広瀬AIに「このデータからルールを作ってくれ」と頼んだ。
AIが返した答えがこれだった。
「3倍レバレッジETFの売買を禁止します」
「ベア型ETF/ETNの売買を禁止します」
そして広瀬AIで最初に行った取引は、持っていたレバETFを全部処分することだった。
■ 今のルール
広瀬AIが作ったルールは6つある。
1. 3倍レバレッジETF売買禁止
2. ベア型ETF/ETN売買禁止
3. 1取引あたり最大損失50万円
4. -8%で自動損切り
5. +15%で半分利確、残りはトレーリングストップ(-10%)
6. 0勝の銘柄への追加投資禁止
どれも当たり前のことだ。投資の教科書に書いてある。でも一旦壊れた取引ルールを、自分の力ではもとに戻せなかった。AIに矯正してもらって、やっと戻れた。
■ この話を書いた理由
前の記事では「バカが勉強して、AIを作った」という話を書いた。多くのスキをもらいありがたかった。
でもあの記事は、きれいな話すぎた。
本当は、あのバカは投資でも850万円溶かしていた。じっちゃまの教えを全部読んで、全部わかっていて、それでもレバETFをやめられなかった。今年の2月まで。
広瀬AIは「じっちゃまの知恵を残す」ために作った。そして「自分を止める」ためにも作った。これが本当の理由だ。
もしこれを読んで「自分にも似た話がある」と思った方がいたら、よかったらコメント欄で聞かせてください。レバETFじゃなくても構いません。FXでも信用取引でも仮想通貨でも。
失敗の話は、一人で抱えていると「自分だけがバカだった」で終わってしまう。でも何人か集まると、共通のパターンが見えてくる。集まった話は、次の記事で広瀬AIに読ませて「なぜ人はわかっていてもやめられないのか」を分析してみようと思っています。
前の記事「じっちゃまの1,000記事で広瀬AIを作った男の話」はこちら→
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