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ベストな有酸素運動強度を探せ!

えーと、今回はこういうご質問を
いただきましたので…

僕、こういう『そもそも』的な質問
大好きなんですよ
いわゆる今更聞けない系ってやつですかね

でも、こういうのってやっぱり
大切だと思いますし
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
とか言うじゃないですか
そもそも知らない・わからないんだから
それを聞くことは恥ではないと思いますが
ちょっと勇気いりますよね
だから僕はそれを賞賛もするし
答えられることなら答えます

ってなわけでイクゾー

✅生きているだけで有酸素運動

有酸素運動と無酸素運動
この2つがよく聞く言葉だと思いますが
運動生理学的な面から見ていくと

エネルギー供給機構の違いになります
私たちは絶えずカラダの中で
エネルギーを作り出す必要があります

カラダを動かすためのエネルギーは
もちろん、皮膚や爪・髪などを作り出す
代謝のエネルギー、
そもそも心臓を動かすためのエネルギー

つまり、生きるということが続く以上は
絶えずエネルギーを作り出さなくては
いけないです

じゃあ、そのエネルギーを作り出す過程で
酸素を必要とするのかしないのか?
酸素を必要とする場合は
有酸素性のエネルギー供給機構で
酸素を必要としない場合は
無酸素性のエネルギー供給機構と
言います


そして、酸素を必要とする
有酸素性のエネルギー供給機構からの
エネルギー供給がメインで
行なっている運動を
『有酸素運動』


酸素を必要とせずとも
エネルギーを産生できる
無酸素性のエネルギー供給機構が
メインで行なっている運動を
『無酸素運動』

と呼んでいます

私たちは寝ていて意識がない時でさえ
呼吸はしています
それは酸素を体内に供給するためで
その供給された酸素を
エネルギー産生に活用するためです
つまり生きているだけで有酸素運動です

息を引き取るって言葉がありますが
息を引き取って酸素の供給が途絶えた時
有酸素運動が終了した時に
私たちの命も尽きるってことですね

✅どこまでが有酸素運動?

では、このあたりから
頂いた質問にも関わる部分になってきます
まず、頂いたご質問に本当に正確に
答えていくと
今有酸素運動になっているかどうかを
判別することはほぼ不可能です

有酸素性のエネルギー供給機構が
ほぼ『ゼロ』の状態で
無酸素性のエネルギー供給機構が
100%になっているというのは
基本的にはあり得ないんですね


ここが結構誤解を招きやすいところで

例えば400m走は
『究極の無酸素運動』
って言われたりします
こういう風に言われると
無酸素性のエネルギー供給機構のみで
400mを走っているような
イメージになるかもしれません
ただ、実際には
400mを全力で疾走する時
その半分くらいのエネルギーは
有酸素性のエネルギー供給機構から
供給されています

究極の無酸素運動って言われる
400m走でさえ
エネルギー供給機構を基に考えれば
半分くらいは有酸素運動ってことです

ただ、おそらく質問を
していただいた方は
こういう事を聞きたかったん
じゃないだろうと思います

✅何が違うの?

じゃあもうちょっと一般的な
ところにまで話を持ってきまして
じゃあ何で私たちは
有酸素運動だ、無酸素運動だと
区別をしているの?
ということになってきます
だってほぼ全ての運動で
有酸素性のエネルギー供給機構は
関与しているわけですからね

ここで重要になってくるのが
2つのエネルギー供給機構の特徴です

無酸素性のエネルギー供給機構は
簡単に言えば『枯渇』します


CP系と呼ばれるクレアチンリン酸を
エネルギーに変換したり
解糖系と呼ばれるグリコーゲンを
分解していきながらエネルギーを産生する
そしてこの時に酸素は必要としない
これが無酸素性のエネルギー供給機構に
なるのですが
クレアチンリン酸やグリコーゲンは
枯渇します

諸説はまだまだありますが
全力でカラダを動かした場合
約40秒ほどでクレアチンリン酸や
グリコーゲンは枯渇します

この40秒という時間が
エリートアスリートの400mのタイム
くらいなんですね

つまり無酸素性のエネルギー供給機構の
基になるクレアチンリン酸やグリコーゲンを
枯渇するまで走るのが400m走

だから『究極の無酸素運動』
と呼ばれるわけです
ただ、言ったようにこの時に使用している
全エネルギーの半分くらいは
有酸素性のエネルギー供給機構から
生まれています
あくまでも無酸素性のエネルギー供給機構が
枯渇をするっていう意味です

なので、イメージでも実体験でも
よいですが
400m走を全力疾走して
走り切った時に
『そのまま止まらずに
もう一周走ってきて!』
こんな無茶ぶりをされても
一応何とかなります

400mで無酸素性のエネルギー供給機構が
枯渇したからその瞬間に
脚が完全に止まって
もうカラダはぴくりとも動かない
こんなことにはならないのは
有酸素性のエネルギー供給機構が
まだ働いているから

ただ、無酸素性の方はもう枯渇してますから
その分のエネルギーは出せない
つまり、目に見えて『失速』をします

そして、このことが
有酸素性のエネルギー供給機構の
特徴を表してもいますが
有酸素性のエネルギー供給機構は
理論上はほとんど枯渇しないです


さすがにここの細かな部分は
割愛させてもらいますが
有酸素性のエネルギー供給機構の
基になるメインは『酸素と脂肪』です
酸素は大気中にいっぱいあります
脂肪は体脂肪としてカラダに蓄えています

食品の栄養成分表では
脂肪1gあたり9kcalで計算されている
場合がほとんどです
1kgで9000kcalってことですね
これだけのエネルギーを作り出す
素養があるのが脂肪です
実際に人体でエネルギーとして
活用する場合には変換時の
エネルギー損失なども考慮して
一般的には
1kgで7200kcalのエネルギー源と
説明されることが多いですね

ちなみに7200kcalってのは
一般的な体型の成人男性が
フルマラソンを2回完走できるくらいの
エネルギー量になります

つまりあくまでも理論上ですが
有酸素性のエネルギー供給機構が
枯渇することはほぼないということです

もっとざっくりとしたイメージでは
・無酸素=財布に入れた現金
・有酸素=銀行に預けている貯金
・筋肉など=テレビや車などの家財

こういうイメージを持ってください

財布に入れた現金は常に持ち歩いています
支払いですぐに出すことができるお金
それが無酸素性のエネルギー供給機構です
ただ、財布の中のお金を使い切れば
もう支払いはできません

アタッシュケースに常に全財産を詰め込めば
一応いつでもすぐに現金で支払いができますが
みなさんそんなことしてないですよね?
荷物になりすぎるし、何よりも危ない
カラダも同じです
無酸素性のエネルギー供給機構の
基になるクレアチンリン酸やグリコーゲンを
体内に大量に蓄えるというのは
すごく非効率的かつ危険です

なので、みなさんはある
一定以上のお金は銀行に預けます
この貯金しているのが脂肪です
脂肪が多い=貯金が多い
ってことですね
なのでこのお金はカードがあれば
引き出して使うことができます
ただ、そのためにはATMや窓口で
手続きが必要です
つまりちょっと時間・手間がかかります
その代わり持ち歩くのもカード1枚で
済みますから便利です
これが有酸素性の
エネルギー供給機構の特徴

せっかくなので一応説明しておくと
みなさんの家(カラダ)にある
テレビ(筋肉)や車(骨)も
お金(エネルギー)の価値があります
ただ、これを換金するのは
銀行に預けた貯金を引き出す以上に手間です
更に基本的には買った時の値段より
高値になることはなくて
かなり安く買い叩かれます
非効率的な換金手段ってことですね

なので、財布のお金が
なくなったからといって
銀行に貯金があるにも関わらず
よし!テレビを売りに行こう!
とはならんはずです
テレビや車を売るのは最終手段
銀行に貯金もないけど支払いがある
そんな時に泣く泣くすることが
家財の現金化です
カラダも全く同じで
専門的な言い方をすると
『糖新生』になります

無理なダイエットはダメですよ!
って言われるのは家財を売り飛ばして
生活してるからだと思ってください

✅じゃあどうするのか?

では、ここからが質問の
1番欲しい答えになる部分かと思います
私たちは生きているだけで有酸素運動
ウォーキングをしても有酸素運動
400m全力疾走しても半分は有酸素運動
という風に
今、有酸素運動か?という見方をすると
広義ではほぼ全部イエスになってしまいます


なのでトレーニングの世界では
どこから無酸素性のエネルギー供給も
たくさん動員されはじめたのか?

こういう見方をします

自動引き落とし(日常動作)で
預貯金(有酸素)から支払っていた以外の
お金(エネルギー)が出費として
必要になった
なので、財布の中のお金(無酸素)から
それを支払っていくということですね
まぁ、コンビニで買い物したとでも
思ってください

コンビニで商品を手にして
それをレジで買った時
ここが無酸素運動の始まりです

このポイントは判別することができます
それが乳酸性作業閾値
『LT』と呼ばれるポイントですね

✅自分で判別できるのか?

運動の強度が高まってくると
その分たくさんのエネルギーが 
必要になるので
無酸素性のエネルギー供給機構も
動員され始めます
そして、その時には代謝産物として
『乳酸』も発生してきます
※乳酸はあくまでも代謝産物で
疲労物質ではないです

つまり、血中で乳酸の濃度が高まってくる
ポイント(LT)、ここが無酸素運動が
カラダの中で始まったポイントになります

お話ししてきたように無酸素性の
エネルギー供給機構はいずれ枯渇します

ただ、LTは無酸素性の
エネルギー供給機構が動員され始めた
っていうくらいのものなので
それならば枯渇するまでは
60分あるいはそれ以上は
もったりします


そこで更に運動強度を高めると
もう一段階乳酸の蓄積が急激に
高まるポイントがあって
そこをOBLAと言います

血中の乳酸濃度が4mmol/Lに
到達したポイントで
OBLAに入ると約20分程度で
無酸素性のエネルギー供給機構は
枯渇すると言われています


厄介なのは血中の乳酸濃度なんて
簡単にわからないってことですね

実際にちゃんと測定する時は
本当に採血をします
僕の場合は小指の先に針を刺して
血を採って測定しました
多分1番一般的なやつ
ただ、もちろん測定器もいりますから
一般的ではないですよね

なので、まずかなりざっくりとした判別は
その強度・ペースの運動を
あとどれくらい持続できそうか?
一応これも判別材料になります

あと1時間くらいは
この運動を維持できそうだ
と感じるくらいの強度なら
『だいたい』それはLTくらいの
強度になっていて有酸素運動としては
しっかりと頑張っている有酸素運動

と言えそうですし

いや、これだと30分ももちそうにないな
と感じるくらいならば
それはOBLA近辺になる運動強度で
有酸素運動をあまりしない人にとっては
強度が強すぎてケガなどのリスクも
高まってしまう強度

と判別することができます

こういう判別もできますが
これは主観もかなり入りますから
もうちょいいきましょう

✅ちょっとだけ頑張って

多分怒られないと思いますから
大阪体育大学の教授からいただいたデータを
ちょっと公開していきましょう

ちょっと見方がややこしいかもしれませんが
今まで話してきたことを踏まえると
そうでもないです

まず、
12分間できるだけ
長い距離を走ろうとします
精一杯12分間頑張って走ってください

ということです
このデータは400mトラックを
周回してますので
できれば高低差があまりない
地形を走れればベストです

12分間頑張って走るっていうのは
かなり大変です
5kmくらいは休みなく走れて
ちょっと体力ついてきたなって
くらいになってからしてください

で、あなたは12分間で
どれくらいの距離を走ることができたか?
それが表の1番左です

赤文字のやつを例にしていきますと
『3000』とありますから
12分間で3000m(3km)頑張って
走ることができたということになります

では、そこから右を順に見ていきます
すると
LTスピードは205m/分
1kmあたり4分52秒で走るペース
これがあなたのLTのポイントになります、と

同じくOBLAスピードは243m/分
1kmあたり4分06秒で走るペース
これがあなたのOBLAのポイントなので
仮にこのペースでランニングすれば
30分もたずに失速します、と

こういう見方をします

ちなみになぜ12分間かというと
まずアメリカではダースの概念がありますから
12というのはキリがいい数字であること
また、いわゆる持久力を測定する時には
ちょうどいいくらいの時間でもあるので
アメリカではサンプル数がすごく多くて
信憑性も比較的高いデータ取りだからですね

ちなみに実際に血液を採取して割り出した
LT・OBLAと
12分間走で割り出したLT・OBLAを
比較するとこんな感じです

ほぼ一致してくるんですね
血液を採取しなくても
12分間走でだいたい自分のLT・OBLAを
知ることができるわけです

僕自身、血液からLT、
呼気からVT・Vo2maxを実際に
測定したこともありますし
12分間走をしたこともありますが
やっぱりほぼ一致していました

なので、運動を今から始める人は
体力的にもケガのリスク的にもいきなり
12分間は絶対お勧めしませんが
ちょっと体力がついてきて
より効果的なポイントで運動できるように
LT・OBLAを知っておきたい場合には
かなりおすすめです

✅ずぼらなあなたへ

とは言ってもマジでしんどいんすよ…これ
まぁ、あとは走りやすい環境で
12分間測定するのも単純にめんどい!
って人もいるでしょう

そんな人にはもうボルグスケールです

自覚的運動強度、あるいは
主観的運動強度ってやつですね

この『表示13』・『自覚度ややきつい』
ここがLT付近です

そして『表示15』・『自覚度きつい』
ここがOBLA付近です


ちなみに表示の数字に×10をしたのが
心拍数の目安にもなっています

ただ、心拍数に関しては20歳前後を
基準にしています
そして、やっぱりこれは
『自覚的』『主観的』です
つまり本当のLTやOBLAから
ズレてしまうことは多々あります
ちなみに僕は根性ないので
LT付近でもないのにややきついと
感じるタイプです

まぁ、このあたりに
さっきのLT・OBLAの時に話したこと

ややきついけど1時間くらいは続けられそう
とか、きついな…これは30分もたないぞ
みたいな部分を組み合わせると
ちょっとはズレも修正できるかもしれません

メリットは有酸素運動であれば
何でも当てはめられます
水泳でも自転車でも縄跳びでも

✅まとめ

というわけで
今の自分がしている有酸素運動の
強度のようなものを知りたい場合

理想だけで言えば
実際にLTを測定する
やっぱりこれがベストです
ただ、現実的でもないです

次に12分間走
かなり実測値のLTに近いので
これがオススメです
また、ランナーではなくとも
これがひとつの有酸素運動能力の
基準になるので
それで割り出したLTペースで
走った時の自覚的運動強度(きつさ)を
自分のしている競技・運動に当てはまれば
単なるボルグスケールよりも
信憑性は高まるかなとも思います

最後にボルグスケール
自覚的・主観的なのでズレが出やすいですが
最も手軽に試せる利点はあります

例えば中高年以降を対象にした場合
体力(持久力・有酸素運動能力)を高める
目的で有酸素運動をするならば
LTを少し超える、LTの手前、
これを一回の運動中に繰り返すと
ケガのリスクも抑えながら
体力をつけるには非常に
良い運動強度になります

しっかり走り込んだりしたい人や
もっと若い人ならOBLAまで
突っ込ませることもよいでしょう

こういう基準を作るためにも
LTをある程度知っておくことは
オススメはします

トップアスリートはもちろんですが
一般の方でもしっかりやりこんでいる
有酸素運動競技者で
自分のLTが全くわからないって人は
ほぼ皆無じゃないかと思います
正確な数値まではわからなくても
いわゆるレースペース、練習ペースといった
感じでかなりLTに近い基準を
持って運動していることがほとんどですね

ただ、僕は
最も効果的な事を伝えることだけが
仕事じゃないですからね
12分間大変そうだな…
そう思ったならボルグスケールでいいです
30分以上も有酸素運動できないな…
できる時間だけでいいです

無理してケガをしないこと!
続けられそうなことをすること!

これもすごく大切です
むしろそっちの方が大切!

確かにそれは最高率ではないかも
しれないです
でも、そこで生まれる効率差よりも
やらない(0)とやった(1〜)の
差の方が圧倒的に大きいですからね

一回好きなことを好きなように
してみたらいいです
そこで楽しめたなら
話してきたような事も少し
取り入れながらしてみてください
ってなことをみなさんにお伝えして
終わりです、またね

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