爺ちゃんが死んで、婆ちゃんが高級葬式コースを頼んだら、坊主が六人出てきてオーケストラを始めた件について

高校三年生の時の話だ。
まだ夏でもギリギリ長袖が着れた2017年の8月、祖父が死んだ。

最後はほとんど喋れなくなっていたが、気さくだった爺ちゃんは孫の僕たちを困らせまいと、手を強く握って元気なフリをしてくれていた。

そんな爺ちゃんが、死んだ。
あっという間に葬式が進み、ドライアイスに包まれて物理的に冷たくなってしまった爺ちゃんを囲みながら生前の話をしつつ、今回の葬式についてばあちゃんから説明があった。

なんでも、葬儀に500万かけたらしい。

どこの地方で惜しまれつつ亡くなった大御所演歌歌手だよ。
花置かれすぎて、爺ちゃん葬式会場を極楽浄土と勘違いして成仏できないよ。
てか、毎回スシローで高い皿をたのむとき、あんな親の仇みたいな目で見てきたのにそんな出せるんかい、と内心思いながら、「良かったねぇお爺ちゃん葬式のミシュランだねぇ」などと語りかけてあげた。

【葬式当日】
あなたは500万も葬式にかけると葬式がどんな様相を呈するか知っているか。

壇上の花だけでは、500万も使いきれない。
じゃあどこにいくのか。そう、坊主が増えるのだ。

大抵は坊主なんて一人いれば十分過ぎるだろう。
それが、今回の高級葬式コースでは、6人いた。

6人。

一人は歌うとして、あとの五人は何をするのだ。
コーラスか?天使のラブソングならぬ、坊主の釈迦ソングでもするのだろうか。

お焼香が始まり、一人ずつ立ち上がる時、全貌がわかった。

まず、木魚パートの坊主。
そして、チーン担当の坊主。
歌い手の坊主。
コーラスの坊主二人。
そして、銅鑼の坊主だった。

余り散らかしている。葬式特需じゃぶじゃぶである。
コーラスが入ってくる時なんて笑ってしまって、厳かなムードも台無しだ。

爺ちゃんもこんな賑やかに見送られて、無事に旅立てるのだろうか。
銅鑼が鳴り響く会場の中、爺ちゃんにお焼香をしつつ私は疑問に思ってしまった。


駄文を書き連ねてしまったが、本当にあった出来事である。
静岡で葬式をすることがあればぜひ500万を投じてみてほしい。

きっと、坊主のフルコーラスに立ち会えるから。

#創作大賞2026 #エッセイ部門

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