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「どうせ落ちるだろう」と応募したバイトで、夫に出会った話

人生、何があるか分からない。

本当に、何が起こるか分からない。

数年前の私は、
まさか自分がこんな人生を送るなんて思っていなかった。

ブラック企業で頑張りすぎて、

疲れて。

病んで。

もういいや。
何もしたくない。

そう思った頃には、
呼吸すら浅くなっていた。

夜になっても眠れない。

身体が、生きることをやめようとしている。

そんな気がした。

それでも、辞めることは怖かった。

迷惑をかける。

私が我慢すればいい。

頑張るしかない。

そうやって耐えていたけれど、

最後には罵詈雑言を浴びながら、
半ば強引に会社を辞めた。

もう、どうでもいい。

これで、

誰にも迷惑をかけずに、

生きることも辞められる。

そう思っていた。

準備はできた。

……と思った。

でも、

いつでもできると思ったら、

ふと、今まで頑張って貯めた
貯金のことを思い出した。

「……これ、使い切ってからでもいいか。」

贅沢をしなければ、
一年くらいは働かなくても暮らせる。

だったら、

それまでは生きておこうか。

やりたいことなんて、何もない。

でも、

そういえば読みたかった本があった。

漫画もあった。

今の頭でちゃんと読めるかは分からないけれど。

そんなことから始まった。

私の、人生の夏休み。

食べて。

寝て。

本を読んで。

漫画を読んで。

何もしない。

最初は、それでよかった。

でも…

実際にやってみると

三ヶ月で飽きた。

人間、食べて寝るだけでは、
案外飽きるらしい。

感情に鈍くなった心でも
飽きることができて、
ちょっと嬉しかった。

貯金はまだある。

でも、暇だった。

食べることも。

眠ることも。

前より少しずつできるようになっていた。

だから、

「……暇だし、バイトでもするか。」

どうせなら、やったことないことを

冥土の土産にはなるかもしれない。

そんな軽い気持ちで求人を眺めた。

その中に、

「なんか、ここ面白そう。」

と思える仕事があった。

どうせ落ちるだろう。

受かったとしても、
またしんどくなったら辞めればいい。

そもそも、

貯金を使い切るまでの暇つぶしだ。

そんな不純な動機で応募した。

そして、

なぜか受かった。

そして迎えた、初出勤の日。

そこで、

今の夫と出会った。

人生を辞めようと思っていた私が、

暇つぶしのつもりで始めたバイトで、

一生隣にいる人と出会った。

人生って、

本当に何があるか分からない。

あの時、会社を辞めなかったら。

あの時、もう少し頑張っていたら。

あの時、求人を見なかったら。

あの時、

「どうせ落ちるだろうけど。」

なんて思いながら応募しなかったら。

今の私は、

ここにいなかった。

だから私は、

人生に大きな意味があるなんて、
今でも分からない。

夢だって、特にない。

でも、

「なんか面白そう。」

と思ったものを拾ってみる。

「ちょっと読んでみたい。」

と思った本を開いてみる。

「暇だから。」

くらいの理由で、
やったことのないことを始めてみる。

案外、人生なんて、

そんなところから動き始めるのかもしれない。

あの時、

「貯金を使い切ってからでもいいか」

と思っていた私の貯金は、

未だ、使い切らずにいる。

やりたいこと、少しずつ見つかったから。

でも、

もう苦しくなることは、しない。

きちんと呼吸できる、
安心できる環境で。

私のペースで。

ゆっくり、生きていく。



今日もどこかで

「これは愛かもしれない。」

そう思える瞬間がありますように🌿

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