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あなたはデザイナーになりなさい

完全に流れで中学受験をした。進研ゼミを1人で勉強することに飽き飽きしていた小学4年生のある放課後、友達が「塾に行くのが嫌なので、一緒に通って欲しい」と懇願してきた。友達と切磋琢磨しながら勉強したら、まだ楽しいだろうと思い、すぐに親に塾に通わせて欲しいと頼んだところ、承諾してくれた。

早速、体験授業に行くと、あまりのレベルの高さに驚愕した。一応、それまでもクラスでは上位の成績であったが、授業は全く理解できないことばかりだったのだ。塾って、こんなにもヤバい場所だったのか。失意。

体験授業後、親と講師の面接のようなものがあった。そこで「どこの中学を志望されていますか?」と聞かれた。僕は「え、地元の公立中学校ですけど。」と思っていたが、隣の親の顔色が変わった。そこは、中学受験用の塾だった。

そんなこんなで、誰も中学受験なんてしたいと思っていなかった我が家が、なんか中学受験をすることになる。とっても辛かった。友達と遊べないとか本当に地獄。けど、運良く第一志望に受かってしまった。そこからが、また地獄。(ついでに塾に誘ってきた友達とは別の中学に入ることになった。)

小学生までクラスで一番頭が良かった僕。第一志望に受かった僕。自分って本当に頭良いんだと思っていたが、入学直後に行われたテストで学年で下から2番目の成績を叩き出した。圧倒的な挫折。泣きながら帰った。

また僕は小学校の頃、漫画とか小説とかを遊びで描いて、友達に見せていた。友達も楽しんでくれていた。けど中学校では、授業中にノートに描いていた漫画や小説を、ロッカーから勝手に盗まれ、みんなに回されバカにされた。あ、これって痛いことだったんだ。もう、創作なんてやめてしまおう。

同じクラスに超絶イケメンでスポーツ万能、後に東大に受かるような頭の良さを誇るRくんがいた。The 完璧人間。その存在を目の当たりにして、自分が大したことない人間だと、日々思い知らされた。俺、なんでこんなところ来ちゃったんだろう。

とある日の美術の授業。木の立方体に彫刻刀で模様を削る授業だった。僕は完璧人間Rくんの隣の席で、黙々と作業していた。ベテランの女性教師が、生徒の作業の様子を覗き込み、辛口なアドバイスをしながら教室を回っていく。「6面で違いを出しなさい。」やら「こっちの彫刻刀を使いなさい。」やら。そしてRくんの立方体を見て「あんた、真剣にやりなさい。」と怒る。何でも器用にこなすRくんでも怒られるんだと少し驚く。

次、僕の番。先生が覗き込む。ごくり。

「あなたは、デザイナーになりなさい。」

美術教師による夢の押し付けである。だけど挫折だらけの中学時代を迎えていた僕にとって、希望の光となる言葉だった。救われた。

「僕にも得意なことあったんだ。」

社会人になって、毎日のように深夜0時まで働いている。先生!おれ、ぜんぜんデザイン得意じゃないじゃん!普通に苦労してるよ!
まぁ、けど良い建築を設計できるまで、抗ってみるよ。

スクールゾーンのゾの濁点の位置がかわいい

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