わたしに見られなかった、ブロックの家
仕事から帰って、両手に荷物。
子どもたちは遊んでいる。
その間も、私は走っていた。
少しでも早く。
少しでも効率よく。
そんなことばかり考えて、動いてしまう。
その日も、夫の帰りが遅くて、
ひとりで子どもたちにご飯を食べさせ、その片付けとお風呂の準備をしている時だった。
次男と長男が、ブロックで何かを作っていて、
「ママ見て!」「すごいのできた!」「早く見て!」
キラキラした目を、何度もこちらに向けていた。
気づいては、いた。
「お皿片付けてるから、ちょっと待ってね!」
そう言ったわたしに、ふたりは不満をぶつける。
「まだ!?」「おそいよ!!」「早く来てって言ってるじゃん!」
見に行くのなんて、一瞬。
でも余裕のないわたしは、あなたたちが食べっぱなしのお皿を片付けているんだけど、なんて大人気ないことを思いながら、
意地を張ったように、
「ちょっと待ってって言ってるじゃん!」
そればかりを繰り返した。
結局、ふたりは、わたしを呼ぶのを諦めた。
違う遊びを始め、
部屋は静かになる。
その静けさに、わたしは少し安心して、皿洗いを続けた。
ひと段落して、お風呂に行く前。
さっきまでふたりが遊んでいたブロックに、ふと目をやる。
不恰好で、めちゃくちゃな家。
そのまわりに、人形がたくさん並んでいた。
「ちょっと待って」
わたしは、今日も簡単に言ってしまった。
でも今日、わたしは、
子どもたちを、永遠に待たせた。
“ちょっと”を、守ってあげられなかった。
あの家は、
わたしに見てもらうのを、待っていた。
