遠回りの、こども会議。
「そろそろ、一回使ってないおもちゃは片付けて」
夫は片付けに厳しい。
その日も夕方までに、4回は
「片付けて」を言っていた。
けれど子どもたちは、言われても少し片付けて、すぐにまた別のおもちゃを出して遊ぶ。
出しっぱなしのカードと絵本を、三男がぐちゃぐちゃにしているのを見た夫は、とうとう長男と次男を呼んだ。
――会議の始まりだ。
「パパは今日、ずっとなんて言ってた?」
「おかたづけちて。」すぐに答えるのは次男。
「そう。今、お部屋を見てどう思う?」
「おもちゃいっぱいで、ちたない。」
長男は黙ったまま。
「そうだよね。それで、カードと絵本、どうなっちゃったんだっけ?」
「三男ちゃんが、ぐちゃぐちゃちた。」
「うん。そのカードと絵本は誰がくれたの?」
「サンタたん!」
「サンタさん、せっかくあげたのにぐちゃぐちゃにされて、どんな気持ちだと思う?」
「かなちい!」
まだ、長男は黙ったまま。
私の胸が、ぎゅっと痛くなる。
「悲しいよね。どうしたらぐちゃぐちゃにならなかった?
ふたりで相談してきて。それでパパに教えて。」
長男がなかなか口を開かないので、夫が優しく促す。
二人の話し合いが始まった。
「長男くん?次男くんと長男くん、仲良くすればよかったね?」
初めに口を開くのは、いつも次男。
「ちがうよ!今そういう話じゃないよ!」
否定から入る長男に、夫が一言添える。
「ちがわないよ。どんな意見も間違いじゃない。思ったことはなんでも言っていい。」
次男がまた言う。
「ふたりでさ、仲良く、お片づけしたらよかったね?」
長男「うん。」
次男「次男くんさ、高いとこにしまうのできないんだよね。長男くんに一緒にやって欲しかったんだよ。」
長男「だったら、やってって言ってよ!」
素直になれず、少し語気が荒くなる長男に、
次男は応じる。
「わかったよ。いうね。
だからさ、二人で仲良くお片付けすればよかったね。」
長男「うん。」
次男「よち!パパに言いに行こう!」
その言葉で、ふたりは手を繋いでパパのところへ向かう。
ふたりでパパに報告した後、みんなで話し合い、
「おもちゃが5個出たら片付ける」
「誰が出したおもちゃでも、ふたりで片付ける」
「片付けが難しいときは、できる人に言う」
というルールを決めた。
私は、ふたりが自分の言葉で話し合う姿を見て、
子どもたちが自覚し、気づく瞬間を目の当たりにした。
つい、
「あなたたちが片付けないからでしょ!」
「一個出したら一個しまって!」
と、すぐに答えを言ってしまいがちだった自分を、少し恥ずかしく思う。
でも、今日わかった。
大人のフォローは必要でも、問題の原因や解決策を、子ども自身が考え、言葉にすることで、「じぶんごと」として理解できるのだ。
毎回はできないかもしれないけれど、
この遠回りが、いつか近道に思える日が来るといいな、と静かに願った。
