見出し画像

「めちゃくちゃ」な演奏が、脳を育てる

アメリカの大学の研究チームが、子どもたちにこんな実験をしました。

まず、簡単な音の並び(ドレミのようなもの)をひとつ教えます。そのあと2つのパターンで演奏してもらいました。

・教えた通りの順番で弾く
・その音を使って、好きなように自由に弾く

このとき、子どもたちの頭にはfMRIという機械をつけていました。fMRIというのは、脳のどの部分が活発に働いているかを画像で見られる装置です。血流の変化を捉えることで、「今この瞬間、脳のどこがよく働いているか」がわかります。

結果、「決められた通りに弾いているとき」と「自由に弾いているとき」とでは、脳の働き方がまったく違っていたそうです。

■ 自由に弾いているとき、脳は「静か」になっていた

意外だったのは、自由に音を鳴らしているときのほうが、脳の中で「活発に動いている場所」が少なかったということです。

研究では、活発な部分を赤、休んでいる(あまり働いていない)部分を青で色分けしていたそうですが、自由に演奏しているときの子どもの脳は、ほとんど青色だったといいます。

休んでいたのは、主に「自分の状態をチェックする」役割を持つ部分でした。イメージとしては、「今の合ってるかな?」「これで正解かな?」と自分をモニターする機能が、自由に音を出しているあいだはお休みしていた、という感じです。

大人のプロのジャズミュージシャンを対象にした別の研究でも、似たようなことが見つかっています。即興演奏のとき、「自分を評価する」働きをする脳の部分がおとなしくなり、代わりに「自分らしさを表現する」部分が活発になっていたそうです。

■ もっと驚きだったのは「楽しい!」を感じる場所の反応

さらに面白いのが、自由に音を鳴らしているとき、脳の「報酬系」と呼ばれる場所が、決められた通りに弾くときよりも強く反応していたことです。

報酬系というのは、おいしいものを食べたときや、好きなことをしているときに働く、「快感」や「うれしい」を感じる脳の部分のこと。

つまり、子どもにとって「自由に何かを生み出すこと」自体が、上手・下手に関係なく、脳にとってごほうびのように感じられている可能性がある、ということです。

これは大人のミュージシャンの研究では、そこまではっきりとは見られなかった特徴だそうです。子どもならではの反応、と言えるかもしれません。

■ この研究から、子育てのヒントとして受け取りたいこと

専門家ではなくても、この結果から感じ取れることがいくつかあると思います。

・「うまくできるようになってから」ではなく、「まず自由にやってみる」ことに意味がある

・間違いを気にせず手や声を動かす時間、それ自体が子どもの脳にとってうれしいことかもしれない

・大人が「もっとこうしたら」と口を出す前に、まず自由にやらせてみる時間を作ってあげる

音楽じゃなくても、お絵かき、粘土、ダンス、鍋やコップを叩く音遊びでも、同じことが言えそうです。

大人はつい「上手にできること」を先に求めがちですが、この研究は「まず自由にやらせてみる」ことの意味を教えてくれます。

正解のない時間を、子どもと一緒に楽しんでみるのも良さそうです。


出典:How Musical Improvisation Rewires Brain Activity


いいなと思ったら応援しよう!