見出し画像

【人生いろいろ、学校もいろいろ】

今年の4月からうちの奥さんは美容師の資格を取るために専門学校に通っています。

「いつか美容系の仕事をしたい」

そんな自分の夢を叶えるべく強い覚悟を持って専門学校の門をくぐった奥さんでしたが、入学当初はやはり慣れない授業などにかなり四苦八苦したようです。
しかも20人弱いるクラスの中で奥さん以外は全員高校を卒業したばかりの若者でした。周りが全て10代の中、一人40代の環境はまさに四面楚歌で奥さんはかなりきつかったと思います。さらに奥さんのクラスの若者たちは結構やんちゃな子が多く、授業中にお菓子を食べながらおしゃべりしていたり、床で寝転がっている子もいるみたいでした。
#どんな状況だよそれ
時代なのかそういう学校方針かは分かりませんが先生たちは特に注意もせずたんたんと授業を進めるだけだったとのことです。

学校から帰えるといつも奥さんは「あの子たち何のために学校来てるの!真面目にやらないなら辞めて欲しい!」と憤慨していました。しかし一部の若者たちの授業態度は一向に改善されないみたいで、それどころかそれに感化された若者もいるようでどんどんとクラスは荒れていったようです。
#なにこのスクールウォーズ状態

そんな状況に奥さんは「あの腐ったみかん達マジでムカつくわー!」と金八先生もビックリなとんでも発言をかましつつ、それでも1日も休むことなく真面目に学校に行き授業をちゃんと受けていました。
プンスカしながらも頑張る奥さんを「すごいなぁ、偉いなぁ」と尊敬の眼差しで僕は見ていました。


しかしある日のこと。奥さんの学校生活に激震が走りました。
なんと、学校側から5月末をもって閉校すると発表があったのです。

5月初旬頃、【運営に関する大事なお知らせ】と銘打って急遽保護者説明会が行われました。

経営不振で5月末で閉校せざるを得ない、入学金授業料は返還できません、次の引受先は現在当たっていますなどなど、学校側の一方的な言い分に保護者側は非難轟々、怒り爆発です。
しかしそんな保護者側の意見にも耳を貸せないほど学校の経営状態はどん底の状態でした。結局その日は明確な今後の見通しなど分からないまま「5月で閉校する」という事実だけを突き付けられ説明会は終わりました。

厳しい環境の中でも頑張ってきてようやく慣れてきた奥さんにとってこの事件はかなりショックだったようで、一時は美容師への夢を諦めるという選択が頭によぎるほどでした。


5月での閉校は決定していましたが、それでも授業は普通に行われました。「やる意味なくね?」とクラスメイトの何人かは学校を休んだり、真面目に授業を受けなかったりしていたようでしたが、奥さんは真面目に授業を受けていました。
そんな奥さんの姿に先生たちは心を打たれたのか、ほぼマンツーマンで丁寧に教えてくださったそうです。
「今日は先生からシャンプーを褒められたよ」とようやく笑顔が出てきた奥さんを見て、絶対に美容師の資格を取らせたいなと僕は思っていました。


そんな中、ある学校が受入先の一つとして手を挙げてくれました。
その学校は愛知県内に美容院をいくつも経営している会社が運営しており、自社のお店へ即戦力を送り込むためにかなり厳しく指導することで有名な学校でした。実は奥さんもその学校に行こうかどうか迷っていた時期がありました。
ただ資格を取るだけではなくきちんとスキルを学びたい、そう思ってあえて厳しい学校に行こうかと考えていたそうです。しかし家から少し遠いことと、入学金や授業料が高かったことなどから今の学校に決めました。

手を挙げてくれた学校ですが、どうやら6月1日から編入ができるようで、なんと入学金や授業料は免除されるとのことでした。
他の学生たちは迷っていたようでしたが、奥さんは迷わずそこに行くことを決めました。僕も全く反対はありませんでした。
結局その学校を選んだのは奥さんともう一人だけで、あとのクラスメイト達は他の進路を選びました。


6月に入り、奥さんは新しい学校に通学しています。
これまでの学校とは違い、やはりとても授業は厳しいようで毎日ヘトヘトになって帰宅しています。でも授業中お菓子を食べたり床に寝るような子は一人もおらず(当たり前だけどね)、みんな真剣に授業を受けているみたいでした。奥さん曰く「腐ったみかんはいない!」とのことです。#酷いな
疲れた様子の奥さんですがその表情はとても充実していました。

「同じクラスの子にシャンプーのやり方を注意されたわ。でもお母さんくらいの年齢の私にそんな風に言ってくれるのってありがたいよね」

そう言って目をキラキラさせる奥さんを見ていると、学校が閉校して良かったなとそんな不謹慎なことを思ってしまう自分がいました。


人生は本当にいろいろあります。決して平坦な道ではありません。
それでも今奥さんが歩いている道はきっと奥さん自身で切り開いた道なんだと僕は思います。
そしてそんな奥さんを僕は心からカッコいいと思っています。


頑張れ!応援してる!



#創作大賞2024
#エッセイ部門

いいなと思ったら応援しよう!