【創作】プレゼント①

今夜も一人で海を見ている。
海を眺めながらこれまでの自分の人生を振り返る。
そしてこれからの人生を考えては、絶望する。
それを頭の中でぐるぐると繰り返す。
こんなことを毎夜続けていた。
なぜこうなってしまったんだろう。どこで間違えたんだろう。
この世界には自分以外誰もいない気がする。
いやもしかして自分すらいないのかもしれない。
ずっと目を閉じて夢だけを見ていたい、そう出来たら本当に楽なのに。
誰か助けて、誰でもいい、誰か私を助けて…
悲痛の想いと一緒に涙が頬を伝い、ポツリと落ちたその時だった。
「あのう、ちょっとすみません。」
突然、背後から声を掛けられた。
驚いて振り返るとそこには大きなかばんを持った少年が1人、笑みを浮かべながら立っていた。
つばの広いフェルトハットとポンチョのような服を身に纏い、まるでおとぎ話から出てきたような出で立ちだった。
「お尋ねしますが、この辺りでついさっき涙の落ちる音が聴こえた気がしたんですが、誰の涙か分かりますか?」
涙の落ちる音?誰の涙か分かる?
私はこの少年が何を言っているのかよく分からなかった。
「ごめんね。私には分からないわ。」
そう言ってその場を離れようとした。
しかし少年から真っすぐな目で見つめられると不思議と動けなかった。
「そう言えばあなたはずいぶん赤い目をしているね。」
少年は私の目を見つめながらそう呟いた。
確かに私は泣いていた。けれど見ず知らずの赤の他人にそれを指摘されるのは癪にさわった。
少年の言う”誰の涙”は私の涙を指しているとでも言いたいのだろうか。
「あなたに関係ないでしょう。もういいかしら。さようなら」
「ちょっと待って。待ってったら!」
少年は、踵を返してスタスタと歩く私の洋服の裾を掴んで私を止めると、おもむろにかばんから一冊の本を取り出した。
「この本をあなたにプレゼントします。どうぞ。」
いきなり本を差し出され困惑する私を気にもせず、少年は強引に本を手渡してきた。
「あなたの物語です。ちゃんと読んでおくように、いいね。」
そう言って少年はウインクを一つ私に送ると「じゃあ、また明日。」と手を振りながら暗闇の中へ消えていった。
突然の出来事にあっけに取られた私は、少年が一体何者なのか?どうして私に本を渡すのか?何も聞けないまま、ただ呆然とするばかりだった。
何一つ分からないまま、渡された本をしげしげと見つめた。
灰色一色のハードカバーにタイトルだけが書かれていた。
【ユミの物語①】
タイトルに私の名前が入っていた。偶然なのか?それとも…
私は本を捨てられず家に持ち帰った。
そして半信半疑のまま本のページをめくった。
(つづく)
※原作:BUMP OF CHICKEN プレゼント
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ゴールデンウィーク中に完結出来ればと思っています。
休み中のお暇つぶしになれば幸いです。
※6話か7話くらいを予定しております。
