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10年経った今、父に贈りたい言葉

そんなの、卑怯だ

言ってしまいたかった。

口に出さなかった自分に、今はほっとしている

そうしていたら、ぼくたち兄弟は今頃どうなっていたのか。


10年前の12月。父が亡くなる1週間前の話だ。

胃ガンだった

医者でなくても、もうすぐ、とわかるくらいに父は弱っていた。言葉もろくに話せない。聞こえているかどうかもわからない。


当時、ぼくは父の病室の入り口に立っていた。


父は呼吸器をつけ、体にはいくつもの管がつながっている。建築の仕事でガッチリしていた体は細くなり、骨ばっている。

病室のベットの背もたれが少し上がり、もたれかかるように父は座っている。腰の骨がベッドにあたって痛いらしい。

兄はベットのそばにしゃがみこみ、両手で父の手を握りしめている。


兄はどんな顔をしていたのだろう、父にかけた言葉だけは覚えている。


「お父さんの子どもに生まれて良かったよ」


今なら兄ちゃん偉いなあと思う。


だが、当時、ぼくの心に浮かぶ感情はまったく違っていた。


そんなの、卑怯だ

心の中で吐いた

自分はひどいやつだと自覚しても、その感情は消えなかった。


ぼくは見てきた、兄と父のそれまでの確執を。


二人の仲は良くなかった。ぼくや母から見ても、明らかに兄は父を嫌っていた。

思春期の年頃ならよくある光景かもしれない。でも、父が邪険にされるのは、見ていて辛かった。


父に対し、兄は心ない言葉をぶつけていた。父の言葉に舌打ちし、無視する姿も何度目にした。


それを見てきたからか、ぼくだけは父と仲が良い息子であろうとした。もし離婚したら、自分が父についていくと決めていた。

一緒にゴルフをし、父の仕事を手伝ったこともある。二人でたくさん話をした。

父を好きだった。


だからなのか、

ぼくが言いたい言葉をあっさり口にした兄が憎かった。


兄が病室を出た後、たどるようにぼくも父の手を握る。細くても、手のひらのあたたかさで父だと実感する。


自分とよく似た太い眉毛・少し茶色がかった瞳・面長の顔。


緊張する気持ちを抑え、想いを伝える。


お父さんの子どもに生まれて良かったよ


わかっていた、


気持ちに反し、ぼくの口はキュッと結ばれている。言葉が出ない。

誰も見てない、父に聞こえているかすらわからないのに。


お父さんの子どもに生まれて良かったよ
お父さんの子どもで幸せだよ


その想いは、心の中だけで何度も跳ね返った。

結局ぼくの口は動かないまま、手を強く握りしめることしかできなかった。


ちゃんと伝えたいのに、恥ずかしいのか口にできなかった。

情けない、親不孝ものだ、何が恥ずかしいんだ。


「また来るわ」
口から出た言葉は、たったそれだけ。


兄が卑怯じゃないことは知っていた。
でも、ぼくが伝えたいことをあっさり言った兄を認められなかった。

自分の方が思ってるのに、って


当時は、自分の情けなさを認められず、兄を悪者にした。


そして、10年が過ぎた。


遅くなったけど伝えたい

何十年後でも父に直接言いたい

そして、またあの大きな手をつかみたい

心の中で言うなんて、卑怯なことはしたくない



過去の心の中をぶちまけた文章でしたが、ちゃんと読んでくれてありがとうございます!

この出来事はいい思い出となっていて、今も兄と誕生日を祝いあうくらいには仲が良いです。

そして、当時伝えられなかった後悔があったので、母親にはきちんと伝えました。

照れながらですが、「二人の子で俺幸せやで、ありがとう」と伝えました。


こういう重めの内容の記事ってコメントするのに勇気が必要やと思うんですが、ゆみさんから長文のコメントもらったので、ぜひ掲載させてください!

朝から泣かされました!!こたらさんにとっては苦さや辛さを伴うお話かもしれないので不謹慎かなとも思いつつ、全然重いとか感じない、好きなお話でした。 お兄さんの言葉も、お父様にとっては素敵な贈り物だったと思います。でも、こたらさんと一緒に過ごされた何十年もの思い出は、きっと誰にも真似できない贈り物としてお父様に届いていたと思います。最後に言葉を発することはできなくても、こうして今もこたらさんの中で生きてるお父様と同じ様に、今までこたらさんと過ごした沢山の時間を胸に天国へ旅立たれたんじゃないかなぁなんて思っています。 今回の企画をきっかけに読ませてもらえて良かったです。ありがとうございます♡

この太字の部分を改めて読むと
うるっときました。

父親がこう思ってくれてるとええなぁと思いながら、しみじみしました。(いつもハゲてたとかいじってごめんなさい笑)

ゆみさん、ほんまええコメントありがとうございます。

ゆみさんは未経験やのに、限界集落でマルシェを開催して無事大盛況だった。そんなすんごいバイタリティーの主婦さんです。

余裕がなくてその後のnoteは書けてないそうですが、下の記事でマルシェ開催までの過程を見れます。テーブルや椅子も手作りで作っててすげぇってなります👇


ちなみにこの父への贈り物への記事は、11月7日から、ぼくがやっている企画の応募記事です。(実は1225文字キッチリ🎄)

自分の企画への記事としては、ちょっと重い内容だったかなって、公開するのめっちゃ迷いました。

これ見るのしんどくならんか…って

ですが、贈りたい言葉を考えたときに、父との話が浮かんだので、自分に正直になってこの記事を書きました。素敵なコメントももらえましたし、結果的に書けて良かったです!


ぼくにとって、ずっと忘れられない贈りたい言葉です。

あなたにとって忘れられない贈り物はありますか?

あなたの物語も聞かせてください👇

限定のスキ画像という特別なクリスマスプレゼントも受け取れるので、ぜひ参加してみてください!


気持ちを伝えることで、予想もしていないお話になります。
noteやってて一番感動したこと👇


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