なぜRay-Ban Metaは日本発売が遅れたのか
Ray-Ban Metaとは
2026年4月1日、Ray-Ban Metaが日本で発売が公式発表いたしました。Metaからは"数か月以内"という曖昧な表現になっています。お隣の韓国では7月に発売の噂なので、その前後ではないかと予測しています。
Ray-Ban MetaとはMetaが発売しているスマートグラスと呼ばれる商品です。

眼鏡型のデバイスで、眼鏡のフレーム部、こめかみ付近にカメラが付いており、写真が撮れることが特徴です。また、Hey!Meta!と話しかけることで、AIとの対話も可能です。また、カメラが付いていることで、目の前の景色についての質問も可能です。
しかし、Ray-Ban Meta(厳密にはRay-Ban Meta Gen2)が発表されたのは2025年9月18日でした。そこから考えると、半年以上遅れて日本での発売となっています。
では、
なぜ日本でRay-Ban Metaの発売が遅れたのか?
ということを自分なりの意見を出してみようと思いました。理由は大きく3つです。
MetaのAIにおいて日本語対応の優先度が低いから
MetaのAIが弱いから
日本の電波法が厳しいから
1つ1つ解説していこうと思います。
MetaのAIにおいて日本語対応の優先度が低いから
これは「【世界の言語】使用人口と使用状況」というサイトから引用してきた、2025年7月の「世界で話されている言語TOP20」という表の一部です。

こう見ると言語話者として、日本語話者は全世界人口の80億人からすると1億人程度です。そう考えると、英語や北京語、ヒンドゥー語などに対応するほうが多くの人に使ってもらえるので合理的です。そのため、AIに日本語対応するメリットが、費用対効果として薄い。と考えられます。
MetaはLlama4というオープンなLLMモデルを公開しています。
このモデルを簡単に使えるollamaというツールのページを見てみます。そうすると以下のような記述があります。
Supported languages: Arabic, English, French, German, Hindi, Indonesian, Italian, Portuguese, Spanish, Tagalog, Thai, and Vietnamese.
となっており、日本語の対応がありません。「MetaのAI」=Llamaということではありませんが、Metaが公式に出しているオープンな最新のAIモデルにおいて日本語対応が薄い。というのは事実だと思います。
そのため、こういったAI応答をメインとするスマートグラスを日本において出しにくかった。という一因だと推測しています。
MetaのAIが弱いから
先ほど、オープンソースのLlama4が日本語対応していない。と解説しました。では、性能についてはどうでしょうか?これは2026年4月5日時点での結果ですが、Llama 4 Maverickに関してはIntelligence Index(知能指数)という項目において18というスコアです。Gemini 3.1 Pro Previewが57、GPT-5.4(xhigh)が57と比べて劣っています。少しフェアに話をするとオープンなモデルとしてはGoogleの作ったGemma 4 31Bがあります。これはスコアが39です。

こう考えるとMetaのAIは相対的に賢くない。ということが分かります。ただし、ここには2つ要素があり、Llama4は2025年4月5日に公開された、ほぼ1年前のモデルであること。Llama4 ≠ Meta AIであるという部分は考慮すべきポイントではあります。
AppleがAIの部分では弱い。ということは、割と言われている事実ではありますが、Metaに関してもAI開発は、それほど強いわけではない。ということが分かります。
また、最近のLLM事情ですが、「Rakuten AI 3.0」が公開されました。これは中国のDeepSeekをベースにしているという報道がありました。
他には、国立情報学研究所(NII)が「LLM-jp-4 8Bモデル」「LLM-jp-4 32B-A3Bモデル」というモデルを公開しました。
「LLM-jp-4 8B」は「Llama 2」をベースに作成し、「LLM-jp-4 32B-A3B」は中国Alibabaのオープンモデル「Qwen3」のアーキテクチャを採用しています。
これは状況証拠でしかないですが、あまりMetaの推進しているLLMのアーキテクチャ(特にLlama 4)と、日本語の相性が悪いのではないか。ということを感じています。むしろQwenやDeepSeekなど中国語圏の方が日本語との相性が高いように思います。これは言語学的な問題も絡むのではないか。と思います。
「MetaのAIにおいて日本語対応の優先度が低いから」「MetaのAIが弱いから」は鶏と卵の関係だと思っており、前者は経済的側面から、日本語の対応の優先順位を下げる。結果、MetaのAIが日本語に対し弱い。また、MetaはLlama4の状況を見ると、Googleやその他の企業ほど高い性能のAIが作れていません。そう考えると、Metaは性能を高める。その際には、英語など大多数のユーザーに影響を与えられるようにチューニングするようになる。すると、やはり日本語対応はやはり後回しになる。という負のスパイラルがあるようにも思います。
日本の電波法が厳しいから
ある日、面白いポストを見ました。
日本でAirPods Max 2を買っても、5GHz帯の電波規制のせいで、ゲームやVision Proとの低遅延連携は恩恵ゼロ。
— t0nAr1sm(となりずむ) (@t0nAr1sm) March 31, 2026
国ごとで別の製品みたいな感じになってしまうのは、ちょっと残念ですね。https://t.co/AKzhYQv6z8#AirPodsMax2 #AirPodsMax #Apple #アップル #ノイズキャンセリング #レビュー
このようにAirPods Max 2は5GHzの電波帯を利用することにより、低遅延を実現する機能があります。しかし、これが日本ではオフになった状態でしか利用できない。という話でした。
ここでMetaのページを見てみるとこのような記述があります。

Ray-Ban Metaは5GHz帯のWifiを利用する設計
になっています。
ここで総務省の「無線LANの屋外利用/上空利用について」というページを見てみます。
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/wlan_outdoor/index.htm

ここから日本の屋外で5GHz帯のWifiを使うのは「5.2GHzの条件付き」か、「5.6GHzのDFS機能付き」の2択になります。
ここで、5.2GHz帯の条件について見てみましょう。

こう見ると1に関しては、Ray-Ban Metaは「高出力データ通信システムの基地局」、「陸上移動中継局」にあたらないので除外されます。では2の「(1)と通信する無線LAN端末(子局)」にあたるか?と言われると、個人的にはNoです。ある程度、いろんなスマートグラスを触ってきましたが、スマートグラスに入った画像データをスマホへ転送する際、一時的にスマートグラスが無線LANの親機になり、それをスマホ側が子機となり転送するアーキテクチャが見られます。そうすると、スマートグラスが親機になる場合があり、これに抵触するのではないか。と思います。
例えば、眼鏡市場から発売されているスマートグラスLinseでは、bluetoothのログからWifiへの接続などが指示されていることが確認できます。
— Taku🤖🧠 (@taku_sid) February 14, 2026
総務省の資料を見ると結構見ると厳しくて、5.2GHz帯であれば、スマホのテザリングも禁止と明言されています。

また、当たり前ですが、スマートグラスは自動車内無線LANではないので、3にも該当しません。したがって、5.2GHz帯域は実質屋外で使えない。ということになります。そして、表からわかるように5.3GHz帯はそもそも屋外が利用できません。
そして、最後に5.6GHz帯域になります。これに関しては、DFS機能が必須だと書かれています。このあたりは若干話が怪しくなります。私も詳しくないのでChatGPTの話をベースに話します。
まず、DFSとはDynamic Frequency Selectionの略で、「レーダーと干渉しないための国際的なルール」とされています。アメリカではFCC、EUではETSI、日本では総務省がこのDFSを要求しています。しかし、認可の基準が国ごとに異なり、日本はこのDFSのルールが厳格なために認可を通しにくい。ということらしいです。(ChatGPT調べ)
このようなことから、5GHz帯を日本で使うのは手間がかかるということが分かると思います。
最近、Ray-BanからはBlazerとScriberという2種類の新型が発表されました。そして、過去のRay-Ban Meta Gen2の型番もわかりました。

ここから同様に総務省の資料を探してみると、以下のようなことが分かりました。


Ray-Ban Meta Gen2シリーズは5.6GHz帯域を屋外で使えるように申請しています。
こういうパターンの1つとして、安く済ませるために、2.4GHz帯だけ使う。という戦術があります。これは先ほどのAir Pods Maxの戦術です。しかし、Ray-Ban Meta Gen2シリーズは真面目に屋外で使えるように認可を通していることが分かります。なのでほぼフルスペックのRay-Ban Metaが使えます。うれしい!!
これは推測の域を出ませんが、Gen1が日本で売られなかったのは、こういった電波の認可の兼ね合いがあったのかもしれません。もしかしたら、「認可を受けたときとしても、その認可にかかる手数料と売り上げ見込み個数が損益分岐点を超えなかった。」とか「DFSを日本向けに実装していなかった」とか、「ソフトウェア的に5GHz帯域をオフにする方法を用意していなかった」といったことが考えられます。たぶんGen1が再度日本で売られることがないので、総務省の認可がとられることが無いので、この辺の事情が判明することはないでしょう。
まとめ
私の思う「なぜRay-Ban Metaは日本発売が遅れたのか」という理由。
「MetaのAIにおいて日本語対応の優先度が低いから」
日本語を使っている世界人口が少ないため、日本語対応しても売り上げを見込みにくかったから、Meta内でのAI対応が後回しになった。
「MetaのAIが弱いから」
Metaは自社でAIを作っていますが、オープンモデルのレベルで言えば、割と低い性能にランク付けされています。そのため、より高性能なモデルを作って提供し、利益最大化をするためには、英語を優先順位をあげざるを得ません。また、日本語LLMの状況を見ると、Metaの作っているLlama4のようなアーキテクチャは日本語との相性が悪く、日本語性能を上げることが難しかった。のかもしれません。
「日本の電波法が厳しいから」
日本でWifiの5GHz帯を使おうと思うと、アメリカやEUに比べて厳格な規定を守る必要があった。それがコストになっており、Gen1のような売れるか分からないタイミングでは、そこにコストをかけてまで進出するメリットを感じなかった。しかし、700万台も売れたために、日本でも売れると確信したため、コストをかけてGen2からは認可を取った。
というのが私の意見です。
眼鏡というものに忌避感がある。という話はありますが、実際のところはそうでもなく、日本人の60%は眼鏡を装着しているそうです。その意味で、日本人はスマートグラス耐性がありそうです。
海外では性行為やナンパの盗撮などプライバシーの問題や、入試での不正行為、裁判の証言中での利用など様々な社会問題が発生しています。日本では入試が問題にはなりましたが、それ以外は、あまり問題になっていません。たぶん記憶している人も少なくなっているのではないでしょうか。私は、この業界を追っているので、かなりの量を知っていますが、日本人全体としては「知らない人」の方が多いと思います。そのため、忌避感はそれほど大きくないと思います。むしろ、売り出されてから"問題が発生した後"の忌避感は大きいかもしれません。そこからが本当のスマートグラスの時代、スマートグラスの社会受容の始まりなのかもしれません。
Meta公式ストアの販売について
ちょうど記事を書いているうち(2026/04/06)に、Meta公式のRay-Ban Metaのストアが公開されたようです。まだ、購入は出来ませんが値段は公開されています。

しかし、実は少し抜け漏れがあります。
Wayfarer (Gen 2) → ¥89,100
Skyler (Gen 2) → 入手不可
Headliner (Gen 2) → 入手不可
Blayzer Optics (Gen 2) → ¥82,500
Scriber Optics (Gen 2) → ¥82,500
Oakley Meta Vanguard → ¥96,580
Oakley Meta HSTN → ¥77,220
本来、Skyler,Headlinerというスタイルもあるのですが、これらは入手不可になっています。
したがって、一部モデルはまだ日本展開は未定のようです。
Amazonで売っているRay-Ban Metaの注意
一応、Amazonなんかでも手に入るようになっているみたいです。ただし、Meta公式?ではなく中間の業者が入っているみたいです。Metaストアへのリンクがあったので、公式だと誤認しました。また、これらはGen1のようで、技適が通っていないので、自分で特例申請する必要がありそうです。
この記事で取り扱っているGen2のモデルはRW4012,RW4013(F),RW4014,RW7001,RW7002です。このような方法で買う際は、製品番号を必ずチェックする必要があります。
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