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芹沢鴨と八木邸 〜歴史を歩く・新撰組〜

壬生にあった八木家は後の新撰組となる近藤勇率いる江戸試衛館のメンバー8名と水戸藩脱藩の芹澤鴨率いる元天狗党メンバー5名が、江戸から京都に登ってきて最初に定宿となった場所。よりによってなんでこんな濃いメンバーになったんでしょう?初めの頃壬生浪と呼ばれ、嫌がられていたのは、京の都には不釣り合いな無粋な輩だったのかもしれません。八木家の人達も素性のわからない浪人の宿にされてさぞや大変だったことでしょう。

江戸で近藤らが浪士組に応募したときは徳川家茂が上洛する前に「つゆ払い」する名目で京へ登るというお話だったのが、いざ到着したら尊王攘夷のため、と言われます。寝耳に水状態の浪士組の面々!
八木邸に間借りしていた近藤一派と水戸一派を含む24名が江戸へ引き返す浪士組に対して袂を分つ形になり、元々の目的のため京へ残ることになりました。この時発起人の清河八郎は従わない彼らに怒って畳を蹴って席を立ったといいます。

なぜ清河八郎ような人物がこの役に抜擢されていたのかというのが不思議ですが、同行していた旗本たち(当時の役人?)は家茂のためにと忠義を尽くしていて、騙されていたことがわかって皆辞職したりしました。清河は九州などで遊説していた経緯もあるので、清河の口八丁に乗せられてしまったのでしょう。集められた浪士たちは食い扶持に乗って京へきた者たちで、特に思想を持っていた人たちではなく、言われるがまま引き返していきました。つまり、残った者たちは徳川の為に、という思想を持っていたということがわかります。
さて、世話役の旗本の1人、鵜殿鳩翁に上様のために禄高(給料)がなくても残留したい旨を伝えると、会津藩に話を通してくれます。会津藩は最後まで徳川に忠義を尽くした藩でした。実直な美男子だった会津藩主の松平容保。会津藩の忠義の思想と近藤らの思いは通ずるものがあって、会津藩預かりの壬生浪士隊(のちの新撰組)が結成されたのでした。

その出発点がこちらの八木邸でした。
筆頭局長は芹沢鴨。彼は水戸藩の歴とした武士であり、神道無念流免許皆伝で、この中では地位もあり腕の立つ男。近藤はもとは農民の出自であったので、少し下がって水戸派の新見錦と共に局長に。副局長が土方歳三、山南敬助。このような体制になりました。

芹沢鴨?という説があったけど、違う人の写真w


さて、芹沢鴨という人物ですが、江戸では天狗党という尊皇攘夷のグループに入っていて、あちこちで荒っぽいことをやっていました。その結果、京へ登る少し前には捕まって死刑宣告を受けていたのを、政局が目まぐるしく変わる中で、無罪になった人間です。なので、この人が京に残ったのは、別に徳川への熱い思いがあったわけでもなし、単に色々やらかした江戸に戻るよりは京都にいた方を選んだだけかもしれません。その結果やっぱり京でもあちこちから苦情が出る状況になっていきました。
押し借りは当たり前に行われ、力士と揉めて斬り殺したり、自分を袖にした芸妓の髪を断髪させたり、とまあ結構ひどいものだったようです。とうとう芹沢粛清の命令が会津藩より出てしまいます。

芹沢鴨の鎖帷子


ちなみに、「酒さえ飲まなかったら・・・」という話も残っていて、芹沢は今でいう酒乱だった説があります。酒を切らさないでたえず飲んでいた、ということのようですが、シラフの時、子供と遊んでいたり、八木家の葬式の際は受付をやってあげていたという話も残っています。

江戸で死刑宣告を受けていた時の芹沢の辞世の句が残っております。

「雪霜に 色よく花の魁て 散りても後に匂ふ梅が香」

これをみる限り、とても教養のある人物だなと思いました。
(雪霜の季節、美しい梅の花が早くも咲き、散った後でも香りだけは残るものだ。)
花の魁(サキガケ)といえば、一番に春を告げる梅の花。それと早出のリーダーという意味でもある魁をかけていて、なくなっても傑物は残るものだと残しています。

他にも「尽忠報国之士 芹沢鴨」と書かれた鉄扇を愛用しており、8月18日の政変で御所を固める会津藩士と通せ通さぬの押し問答の際、突きつけられた槍を鉄扇で受けて悠々と通って行ったという話が残されています。でも個人的にこちらは眉唾かなと思っています。ちょっと漫画っぽくないですか?

ともあれ、悪人として描かれることの多い芹沢ですが、豪胆な凄腕の剣客であり、酒で身を滅ぼした、という人物像が浮かんできますよね。
その男が暗殺されたのが、この八木邸です。八木亭に見学に行くと、芹沢の暗殺されたお部屋で当時の状況をガイドさんが語ってくれます。実際の部屋で聞くお話は臨場感たっぷり。
暗殺部屋の隣の間には八木家の女将さんと子供達が寝ていたというのも生々しくて、実際に目にして初めて状況を体感する事ができました。
そして最後は現代の八木家のお茶とお菓子を頂き、とても良い体験となりました。

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