竿を投げるようにスケールを弾く
スケール(音階)練習
……苦手だ。
大学の時のスケール試験、ダメダメで追試になった。
そこからさらに苦手意識が強くなっていった。
しかし、ピアノを弾く上で、避けては通れない。
そんな中、宮川彬良氏がスケールの弾き方についてこう仰っていた。
「遠くに釣竿を ペッッ!! と投げるように弾く」
釣竿?
「音楽をやる上では何にでも必要だと思う。投げるように。つまり鞭の原理だよね」
アキラさんはこう続ける。
鞭は根元が太い。先にいくほど細くなる。
それをシュパーーンッ!!ってやった時に、物凄い音がする。何メートルもある本物の鞭。信じられないような音がして、それは実は、衝撃波という音なんだよね。ただの音じゃなくて、音速を超えた瞬間の音。
何か触った音じゃない。空を切った音。打点があるわけでもない。要するに、スピードが出るということは、力を逃がす作用が鞭にはある。
楽器や多分指揮も同じで「置いておく」という感じではなくて、スパンと逃がす。それは竿を投げる感覚と似ている。弾いた音はそこに残骸があるだけで、力は逃げている。
そうか。私は今まで、一つひとつの音に固執するような弾き方をしていた。あろうことか、まるで逆のことをやっていたのだ。
スケールを弾く時も、ただ単に音を出すのではなく、一個ずつ音を逃がしていく。
そう言ってアキラさんは、右手でスケールを弾きながら、左手は手前から向こう側に(シッシッという感じで)払っていた。
私も同じことをやってみた。シッシッ。
分かるような気もするし、分からないような気もする。電子ピアノだからなのだろうか?
早速グランドピアノのある練習室を予約して、向かった。
釣竿を、鞭を投げるイメージでスケールを弾く。
なるほど。確かに、音が遠くに飛んでいく感覚がある。
話は少し逸れるが、久しぶりにグランドを弾いた。
1時間880円という激安練習室を選んだ私がそもそも悪かった。音がバカでかいのである。弱く繊細な音が全く出ないピアノだったのだ。
ピアノの質の問題もあるが、その部屋も大問題だった。だからピアノも「いやぁ、俺も俺で結構参ってんのよ」と言っているような気がした。実に気の毒だ。
しかし、特段「うるさい!」と感じた自分の音は、もしかすると普段から私のタッチが良くないだけなのかもしれない。そう思うと、これも必要な経験だったのかもしれない。
そしてアキラさんはこうも仰っていた。
付点で練習。高足運動!軍隊が足を上げる行進のような。逆の付点も練習する。それを散々、20分ぐらいやる。
やはり、地味で地道な練習が一番大事なのだと改めて思った。
やるしかないのだ。
