文学少女とよばれて
中学1年生の頃、ちょっとだけ不良に憧れていた。
当時は『積み木くずし』や『不良少女とよばれて』といったドラマが流行っていて、中学校には「不良もどき」がいっぱいいた。
だから、なんとなく不良ってカッコいいものなのかも?なんて、思ったり、思わなかったり。
でも、根は真面目ちゃんの私。本物の不良になる勇気はなく、気持ちだけ学生カバンを薄くしてみるくらいがせいぜい。
ところが、月1ペースで行われていた服装検査のときに、“たわけ”というあだ名で呼ばれていた担任に「カバンが薄い!」とビンタされた。
不良はもっと薄いカバンなのに、なぜ私だけ?
親にもぶたれたことなんてないのに。
当時は、体罰が普通にある時代。安倍サダヲ主演のドラマ『不適切にもほどがある』の昭和そのまんまの世界で、生徒がビンタされるのは日常茶飯事だった。(もちろん先生による)
ただ、自分には縁のないことだと思っていた。まったくもって意味のないビンタ…
こんな理不尽な思いをするくらいなら、もう普通でいいや。
と、馬鹿馬鹿しくなって、結局カバンを薄くするのをやめた。
そして次の学期に入ると、私をビンタしたくせに、なぜか先生から学級委員に指名されてしまったのだ。
学級委員という立場上、もう不良の真似事なんてできなくなり、私の“ちょっとだけ反抗期”は終わりを告げることになる。
身の丈に合わない行いだったってことで、自分を納得させた。
そこから私はガリ勉になり、読書量も一気に増えた。その頃から、私は雑食タイプ。いろんなジャンルの本を読んでいる。
そのことについては、このnoteの「読書のすすめ」にも書いた。
1980年代は少女小説のパイオニア的存在のコバルト文庫の全盛期。
氷室冴子・新井素子・久美沙織などの作品を読みまくっていた。氷室冴子の『なんて素敵にジャパネスク』は、いまだに大好きな作品だ。
こうして、私が中3になった頃。
コバルト文庫のようなライトノベルがもてはやされる時代だったせいか、クラスメイトが書いた小説を回し読みするのが流行っていた。
キャンパスノートに書かれた小説。それを読みたい人が順番に読んでいく。感想もそのノートに書いていた気がする。
書き手は2〜3人いた記憶があるが定かではない。
私はもっぱら読み手側。なにか書きたいなと思いつつ、なにをテーマに書けばいいのか、さっぱりアイデアが浮かんでこなかったからだ。
書き手だった子のなかで、読んでいて本当に面白い話を書く子がいた。その才能が羨ましいと思うほどに。その子の名前だけはいまだに覚えている。
私はずっと文章を書くのが好きだった。小学生の頃の読書感想文では、よく代表に選ばれて、市のコンクールで入賞するくらいには上手く書けるタイプ。だから、書くのは得意だと思っていた。
それなのに、小説は書けない。一向に進まない。
書こうと思っても、読んでいた漫画や友だちが書いた小説のストーリーにどことなく引きずられて似たようなものになってしまう。
小説の冒頭を書いては消し、書いては消し…の繰り返し。
いま思えば、構成なんてものを知らずに「ざっくり、こんな感じ!」で進めていたので書けるわけがないのだけれどね。
それでも練りに練って、なんとかショートストーリーを書き上げた。そこは「あの頃の私、グッジョブ!」と褒めてあげたい。
でも、人に読んでもらうのは恥ずかしい。まだみんなに回し読みしてもらうような出来じゃないし。
変なプライドが邪魔して誰にも見せることなく、お蔵入りさせた。
それでも自分のなかで、達成感はあった。
自分の作品の一番の読者は自分。それだけで十分。
こんな時期からそう思っていたんだな、私。
このnoteに書いていた気持ちが、すでに中3のときに芽生えていたことに、40年近く経ってようやく気づいた。
昔は、誰かに自分の書いたもの見せる勇気はなかったけれど、いまはSNSやnoteというツールのおかげで自己表現の場がある。世の中、ものすごく進化したなぁと思う。
中3のときにnoteが存在していたら、当時はお蔵入りさせてしまった小説をそっと公開していたかも?
なぁんてね。
ともかく、中3の頃から漠然と書く仕事がしたいと思うようになっていたような気がする。
紆余曲折を経て、フランス語翻訳家からライターになったのも必然といえば必然なのかもしれない。
つまり、私の書く人生がはじまった瞬間は、担任からのあのビンタを喰らったときなんじゃないかと思う。あのとき、不良少女になり損ねて、文学少女になったのだから。
ある意味、中1のときの担任のおかげといえる。
でもね、言葉が悪くてごめんなさいね。これだけは言わせて。
体罰なんかしてんじゃねーよ!このたわけが!
〜〜〜〜〜完〜〜〜〜〜
このnoteは、みくまゆたんの企画「書く人生がはじまった瞬間」に参加しています。
そのきっかけとなる著書『書く人生のはじめかた』もライターとしてのリアルを描いた一冊です。ぜひ読んでみてくださいね。
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