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知らない香り、温かな出会い。(11月は児童虐待防止推進月間)

今月は児童虐待防止推進月間です。児童虐待について考えるきっかけになればと思い、虐待を受けていた頃のお話をしてみようと思います。
今回のお話には、虐待について暴力的な描写は含まれておりません。
私が虐待を受けそこから助け出されるまでの話と、今も抱える生きづらさについて過去にnoteでお話しておりますので、興味を持ってくださったら、一番下のリンクから飛んで読んでいただけると嬉しいです。(全編無料で公開しております。)


私の大好きな時間

身体や心がヘトヘトで後回しにしてしまったり、入れないまま1日が終わってしまうこともあるけれど、なんとか浴室までたどり着けた日は2時間くらいお湯に浸かって出てこないくらいお風呂が大好きです。毎日違う入浴剤を使って、好きな音楽を聴きながら入る…私の大好きな時間です。

でも、母と2人で暮らしていた頃の私は、お風呂なんて好きじゃありませんでした。
貧乏と親からのネグレクト、言葉の暴力に疲れ果てる毎日。せめて温かいお風呂にゆっくり入れていたならどれだけ心が安らいだだろうと今の私なら思うけれど、当時の生活はそれを許しませんでした。

ガスが止まり、なかなか入れなかったお風呂

私が小学生の頃、ガス代が払えず、お風呂に入れなかった時期が何度かありました。外では雪が降り積もるような日でも、学校で「臭い」と嫌われたくなかった私は、冷たい水で体を洗ったり濡らしたタオルで体を拭いて少しでもきれいでいたいと心がけていたのです。

夏の暑い日には2リットルのペットボトルに水を入れて朝から庭に放置し、太陽光で温まったお湯で体を流したこともありました。ラベルが黒いレモンスカッシュのペットボトルはよく温まって嬉しかった記憶があります。

どうしてもお湯に浸かりたいと思い、衣装ケースにカセットコンロで沸かしたお湯やペットボトルのお湯を入れて浸かったこともあります。本物の湯船より小さいからお湯が少しで済むけれど、小学校高学年になると、入るというよりぴったりハマるというような状態で、気持ちの良いものではありません。

そういう経験もあってか、当時の私からしてみるとお風呂というものに癒しなどは存在せず、ただただ学校で周囲から嫌われないための作業にすぎなかったのです。。

ではいつからお風呂を好きになったんだろうと思い返してみると、母と離れ新しい道を歩むことになった日の温かい出会いが、私の気持ちを変えてくれたのではないかと思います。

親と離れて、温かさと出会う

中学3年生の10月のことでした。精神病を患うも10年近く治療を受けずにいた母は、娘である私と母自身の身の回りの世話が出来ずにいたため病院へ保護され、私は数日間校長先生の家にお世話になることになりました。

母と離れて暮らす数週間前、文化祭のステージに立つ私。文化祭の準備と、母を入院させるための話合いを同時に進めており、心労で保健室で横になることが多かった。

校長先生と先生の奥さまは、私をまるで本当の娘のように迎えてくれて、"良い子"であろうとする私にそんな必要はないと教えてくれました。
校長先生は家では普通のおじさんで、奥さまはそんな先生よりも強くて優しい、とても温かい空気を持つご夫婦でした。お二人との出会いは10年近く続いた辛い日々を耐えたご褒美だったんじゃないか、そんな風に思う自分がいたことを覚えています。

お風呂の時間になり、シャワーを貸してくれるだけだと思い込んでいた私は、まっさらなお湯が張られたお風呂を見て(私なんかが人様の風呂に入って良いのだろうか…)とたじろいでしまいました。それでも、「好きなの入れてね」と私に入浴剤を選ばせてくれた奥さまの優しさのおかげで、安心してお風呂に入ることが出来ました。

そのとき私が選んだ入浴剤はオレンジ色で、1粒1粒がゴツゴツ大きくて、何より香りがとんでもなく良いものでした。お湯に浸かる瞬間は緊張したけれど、ちょっとだけ苦さもある柑橘系の香りに全身が包まれるとなんだか凄くホッとしました。

お風呂からあがったあと、布団の中にもぐり込んでもなおふわっと香る入浴剤に、自分の知らない生き方がこの世にはあったんだなとカルチャーショックを受けて涙を流したりもしましたが、いつか自分も好きな入浴剤を入れてお風呂を楽しみたいと思うようになったのでした。

校長先生の家にて。就職され家を出た娘さんの部屋を使わせてもらっていた。物が正しく整頓された部屋で一人入浴剤の香りを嗅いで、自分もこんな家庭で育っていたらな…と感傷的になることもあったのです。

今でも好きな香り

校長先生の家を出てから何年経っても、あの時浸かったお風呂の香りは忘れられませんでした。
大人になって自由にお風呂を楽しめるようになってから、お風呂場に置ききれないほどの入浴剤を集めて、毎日好きな香りのものを楽しんで、そんな日々の中であの時の入浴剤と同じ香りを見つけたときは凄く嬉しくて、毎日でも入りたいと思ったけれどちょっと高くて諦めたり…。

今でも、ちょっと高くて良い香りのあの入浴剤が大好きです。自分を癒したいとき、あの頃の優しさを思い出したくなったときに使うようにしています。
私にとってあの香りは、いつまでも特別なものなのです。

虐待について

私の虐待への想いを綴ったnoteのまとめです。
興味を持ってくださり、その気持ちが身近な子どもたちとその家族への愛となったら嬉しいです。
子どもたちが愛され、温かいお風呂に入ることがあたりまえの未来になりますように。

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