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壁にぶつかるたびに誰かが教えてくれた

私は雇用機会均等法4期生です。総合職として働き始めた女性たちは、まだロールモデルの少ない時代を歩いていました。

結婚したらどう働くのか。
子どもを持ったらどうするのか。
管理職を目指すのか。

今のように参考になる先輩女性はほとんどいません。地図のない道を、それぞれが手探りで進んでいた時代でした。

60歳になった今、振り返って思うことがあります。私は、一人でここまで来たわけじゃない。壁にぶつかるたびに、誰かが現れ、道を示してくれました。

公立高校不合格—「やれるだけやったらいい」

高校受験で第一志望の県立高校に不合格でした。悔しくて、悔しくて。

智弁和歌山高校に入学したものの、一年生の間は気が抜けてしまい、勉強に身が入りませんでした。転機は二年生の夏。叔父の何気ないひと言でした。

「やれるだけやったらいいんじゃないの」

その言葉を聞いた瞬間、不思議と肩の力が抜けました。結果を恐れるより、まずはやってみよう。そう思えるようになったのです。

三年生になると、奈良の智弁から赴任してきたベテランの国語教師が担任になりました。もともと得意だった国語への興味はさらに深まりました。

そして夏休みには、予備校の数学特訓に参加しました。そこで出会った年配の数学教師が、まるで物語を語るように数学を教えてくれたのです。その時、私は初めて思いました。
「数学って、深く考えるという点では国語と同じなんだ」
苦手だと思い込んでいたものが、少しずつ面白くなっていきました。

まさかその数年後、自分が理系出身者ばかりのリクルート情報通信部門に配属されるとは思ってもいませんでした。

当時の私は戸惑いの連続でしたが、数学への苦手意識を克服していた経験が支えになりました。苦手だと思うことでも、やってみれば意外と道は開ける。

今振り返ると、この時の経験が、その後の私のキャリアの土台になっていたように思います。

リクルートで教わったこと

大学卒業後、私はリクルートに入社しました。配属されたのは情報通信部門。周囲は理系出身者がほとんどでした。

それまでの私は、パソコンもFAXもほとんど触ったことがありません。そんな私に研修担当者が言いました。
「わからないことは誰でもいいから聞きなさい。リクルートに教えてくれない人はいません」

そして続けて、
「新人は知らなくて当たり前。でも二年目は違うよ。だから今のうちに聞きまくりなさい」
とも。その言葉は、今でも私の働き方の土台になっています。

研修期間中、よく一緒に帰っていた同期がいました。神戸大学工学部出身の関西人です。彼もまた、希望していた勤務地ではなく、慣れない東京で少し心細そうでした。

研修が終わると、京王線沿線の寮へ帰る前に、新宿のファミリーレストランでよく話をしました。私は研修内容についていくのに必死。彼は慣れない東京暮らしに戸惑っている。

立場は違っても、どこか心細さを抱えていた私たちは、そこで励まし合いながら過ごしていました。分からないことがあれば、彼はいつも丁寧に教えてくれました。

私は素直に質問する。彼は分かるまで説明してくれる。そんな時間が自然と続いていました。

あれから30年以上が経ちました。彼はその後、専門分野で経験を重ねて独立し、今も第一線で活躍しています。

情報通信部門だけで100人、リクルートグループ全体では1,000人近い同期がいましたが、今でもまた会いたいと思う数少ない同期の一人です。

素直に聞けば、人は教えてくれる。そして、人との出会いは思いがけず人生を支えてくれる。その原体験は、あの頃の同期との時間の中で育まれたのだと思います。

60歳の私が思うこと

少し前、テレビで総合職として働き続けた女性の特集を見ました。老後の働き方を模索していたものの、参考になる女性のロールモデルが見つからなかったそうです。その方は最終的に、好きな料理を学ぶため料理教室に通い始めていました。

その姿を見ながら、私は複雑な気持ちになりました。私たち均等法世代は、キャリアの前例が少ない中で歩いてきました。だからこそ今もなお、多くの女性が次の働き方の地図を探しているのではないでしょうか。

私自身も、壁にぶつかるたびに誰かに助けてもらいながらここまで来ました。
叔父の言葉。
国語教師との出会い。
数学の面白さを教えてくれた先生。
リクルートの研修担当者。
そして同期。

その時々で誰かが道を照らしてくれたから、今の私があります。今度は私が、その経験を次の世代へ手渡していく番なのだと思っています。

どこにいても、何があっても。良いと思った教えを受け継ぎ、誰かへ渡していく。それが私のキャリアの軸であり、強みの原点です。

📎このnoteでは、私自身の経験を振り返りながら、「キャリアを再編集する」という視点をお伝えしています。


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#ワークライクバランス

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