端っこに座りたいきもち。
電車で、地下鉄で、しょっちゅう見る光景がある。
駅に止まり扉が開いて、わらわらと大勢の人が降りていく。
座っていた人が立ち上がり、座席に隙間が生まれる。
座席の端っこが空いた、その瞬間。
座席の真ん中とか、端っこから離れた位置に座っていた人が素早い動きで端っこに移動するのだ。
いつもちょっと不思議になる。
元々立っている人が、端っこの席が空いたからそこへ座ろうとするなら話はわかる。それはいい。私も電車に乗った時、端っこが空いていたらそこに座りたい。
そうじゃなくて、もう座席に座ることができている人が、端っこが空いたからといってなんでいちいち移動するんだろう。
いいじゃん、もう座ってるんだから。わざわざ移動しなくてもいいじゃん。端っこじゃなくてもいいじゃん。降りるまでそこにいたらいいじゃん。
そう思うのは私だけだろうか。
端っこが空くや否や、俊敏な動きですすすすっと移動する人々。
そんなに端から詰めなくったって、次の駅で乗ってくる人たちが座るだろうに。
端っこを空いたままにしておくのは罪という雰囲気すら漂わせ、あっという間に端っこは埋まる。
この現象を見る時、いつも思い出す映像作品がある。
トモトシさんの『ブザービーター』だ。
電車で、端っこへ素早く移動する人の様子を集めたアート作品。
端の席に座りたがる人がこんなに大勢いるのだとわかる、人々の反射的な動きを捉えた映像だ。
この映像作品を埼玉のトモトシさんの個展で観た時、なるほど確かになあと唸った。
世の中に溢れている行為でも、集めれば社会の縮図のようになる。
思っている以上に全国の電車の中で、この現象は起こり続けているんだろう。
そこに着目して映像作品にしてしまったトモトシさんのセンスが私は大好きだ。
電車で言えば、2人がけの座席を自分+荷物で塞いで1人で独占している人もいる。
足が長いのを自慢してるんですか? というくらい足を広げまくって、1人で3人分くらいのスペースを奪っている人もいる。
マナー的にどうなんだ! と警鐘を鳴らしたいわけではなくて(まあマナー的に良くはないんだけど)、みんな自分のパーソナルスペースをしっかり確保したいんだなあ、と思うのだった。
自分のすぐ隣に誰かが座るのがあんまり良くない、なんなら許せない、耐えられない、という感情が働いているように見える。
自分が元気な時はなんとも思わないけれど、ものすっごく疲れていて座りたくてたまらない時にそういう行為を目にすると、流石に苛立ちが込み上げてしまう。私だって座りたいんだよ! と叫びたくなる。
端っこだったら、自分の片側は間違いなく空白になる。だからパーソナルスペースをしっかり確保したい人からしたら、空いた瞬間に素早く移動したいんだろう。それが当たり前になっていて、ほとんど無意識のうちに端っこを確保しているんだろう。条件反射みたいなものかもしれない。
いっそ、みんな1人がけの座席にすれば解決しそう。必要以上にスペースをとることもできなくなるし、みんなきっちりパーソナルスペースがもらえる。その代わり座れる人数も減っちゃうか。この案、どうでしょうか。
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