うらやましさと、渇望のなさと
「いいなぁ、そういう人生……」
思わず、そう心の中でつぶやいていた。
ある日、私は仕事で契約に向かった。
出てきたのは――まだあどけなさの残る、大学生の男の子だった。
でも、契約者は彼じゃない。
書類にサインしているのは、隣にいた祖父。
BMWに乗り、高身長のイケメン孫を、にこやかに見守っていた。
契約による収益は、「孫のお小遣いになる予定」とのこと。
……相続が約束された人生。
不自由のない毎日。
正直、うらやましいと思った。
でも同時に、
渇望がない人生の中にある
うっすらとした“虚しさ”も、ふと浮かんだ。
なにかを求める強さや、
必死さの先にある“生きてる感覚”を、
この子たちはどう味わっていくんだろう。
揺れた。
でも最後は、静かに思った。
幸せって、
与えられるものじゃなくて、
自分で感じていくものなんだな、って。
もしこの物語が、あなたの中の“なにか”に触れたなら、
他の記事も、静かに綴っています。
「こともり」の記録に、そっと耳を澄ませてみてください。
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