愛すべき宿敵ほのかちゃん
ほのかちゃんとは幼馴染み
クリクリお目目の
可愛い子
大人に好かれる術を
身につけていた子だった
あぁいうのを大人達は
利発
と言うらしい
この辺りの子はみんな
たんぽぽ幼稚園に通ったが
ほのちゃんだけ
隣町の幼稚園
みんなと違うってのは
特別感がある
博士みたいな帽子に
焦茶色のセーラー服
かっこいい!
それに比べて
たんぽぽ幼稚園ときたら
黄色いベレー帽
たんぽぽ幼稚園だからって
少々安易すぎやしないか?
歩いて1分の
ほのちゃん家
毎日一緒に遊び
小学校へ上がる
布製の学校指定ランドセルが
あるのにも関わらず
ほのちゃんは革のランドセル
「ママぁ!なんでぇ?
ほのちゃんだけ?
ズルい!」
「お婆ちゃんに
買ってもらったんだって」
「じゃ私もお婆ちゃんに
買ってもらう!」
「みんなと一緒でいいの!
革なんて重いのよぉー。
布が1番!」
なぜだ?!
どうして一緒じゃないのだ?
ツルツルテカテカランドセル
私もあれが欲しかったぁ。
学校へ通うと「利発」って奴は
さらに輝きを増していった
ほのちゃん
学級委員だってよ!
凄いわねぇ
ママンはいつも
ほのちゃんを褒める
ちっ!
学級委員なんてのは
大人に気に入られたい奴が
やるのだ
私は大人に
好かれたくないもん
小学生時代は
毎日遊んだ
小学5年のある日
国語のテストの話になった
国語と音楽だけは得意だった
勉強しなくてもいいから
自信ありげな
ほのちゃんは
「こないだのテストどうだった?」
と聞いてきた
あれは我ながら
いい点だった
だって1問間違えただけ
負けるはずはない
「出来たよ」
と返す
いつもボケーっとしてる私を
鼻で笑い
「点数教え合う?」
と聞いてきた
受けて立とうじゃないか!
「いいよ」
ほのちゃんは可愛いお鼻を
ツンと少し上に向けて
「95点」
と言うと
微笑んで私を見た
キタァー〜ーー
ここだぁー!
今こそ撃ち放てーーー
野ネズミBは
飛び上がりたい気持ちを
堪えきれず
つま先立ちで答えた
「98点」
言ったぁーーー
言ってやったぞぉーーー
口角が思いっきり
上がっているのが
自分でもわかった
いかんいかん
調子に乗ると
ろくなことがない
ほのちゃんの反応は?
南東向き
夕方
オレンジ色に染まる
よく片付いた
ほのちゃんの小さな部屋
私より10センチほど
背の低いほのちゃん
さらに背伸びしてる私
小さな沈黙
あ、ちょっとまずかったかな?
いや、私だって
人生に一度くらい
「勝ち」を
味わいたい!
夕日を浴びたほのちゃんの頬は
まるで怒ってるみたい
プーっと膨らんだかと思うと
「先生が言ってたもん!
100点以外はみんな一緒って!」
まさかの反撃
えええええええええええ!?
勝ったはずの野ネズミB
浮かれポンチな野ネズミB
ごもっともな一撃を受け
項垂れてほのちゃん家を出る
道を一本挟んだ
野ネズミB宅
自分の陣地に帰り
傷を癒す
明日こそは!
明日こそは!
