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【アジャイル開発・スクラム】正しいものを正しくつくる プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について

【12分で解説】【アジャイル開発・スクラム】正しいものを正しくつくる プロダクトをつくるとはどういうことなのか、あるいはアジャイルのその先について - YouTube

みなさん、こんにちは。本日は「正しいものを正しくつくる」という書籍についてお話ししたいと思います。正しいものを正しく作る、一見すると当たり前のようにも聞こえます。しかし、このタイトルが示す意味はとても深いです。「正解のない世界で、いかに自分たちのつくるものが『正しい』といえるかを問い続けること」「それを、最適なプロセスを通じて、正しく形に落とし込んでいくこと」。これを実行するのは、実は思っている以上に難しい。その難しさに正面から向き合い、アジャイルな考え方や具体的な手法を通じて乗り越えようとするのが、この本の肝となります。

まず、簡単に本書の概要をお伝えしておきましょう。これまでのソフトウェア開発、とりわけウォーターフォール型に代表される開発の流れというのは、ある程度“正解”が見えていることを前提として進めるスタイルでした。要件定義フェーズであらかじめ要件を固め、そこに向かって、なるべく効率よく間違いのないように作りこむ。一方で、現代のプロダクト開発現場はそうはいきません。何しろ、顧客のニーズや技術動向はものすごいスピードで変化していく。一年前に想定していたことが、半年後には通用しなくなる。そういう“不確実性”が当たり前に襲いかかる状況では、当初の要件定義どおりに作ったとしても、そもそもそれが本当に「正しいもの」なのかどうかが分からないわけです。

ここに登場するのがアジャイル開発という考え方。本書の著者は、アジャイルや仮説検証のアプローチを深く実践してきた方です。ただ単に「アジャイルをやりましょう」と説くのではなくて、「どうやってアジャイルな開発チームをつくるのか」「どうやってプロダクトの正しさを検証していくのか」といった実践的なノウハウを細かく紹介しています。そしてその狙いは何かというと、「プロダクトづくりを関係者全員で共創する」ことに尽きます。お客さんと開発者、デザイナーやビジネスサイド。役割は違っても、共通のゴールは“ユーザーが求める本当の価値を実現すること”。この一点を見失わないよう、チーム内外の境界線を越えながら、必要な人たちが共通の認識を育てていくプロセス。そこに、仮説検証型アジャイル開発の真髄があります。

なぜプロダクトづくりがうまくいかないのか

では本書の章立てに沿って、もう少し詳しく見ていきましょう。まず第1章では「なぜプロダクトづくりがうまくいかないのか」について。大きな理由の一つは、多様性が増していること。たとえば、エンドユーザーとの接点を深めるようなシステムか、それとも企業の基幹を支えるようなシステムかによって必要とされる要件も大きく変わりますし、働き方の多様化によってコミュニケーションスタイルすら一様ではない。さらに、そもそも正解がない世界であるため、要件をいくら定義し合意を取ったとしても、それ自体が間違っている可能性があるわけです。そうした不確実性へのアプローチとして、従来のウォーターフォール型のような手法では対応しきれなくなり、そこでアジャイルなアプローチが期待されるようになった。そんな背景が示されています。

プロダクトをアジャイルにつくる

第2章では、「プロダクトをアジャイルにつくる」ことがテーマ。スクラムをはじめとしたアジャイル開発フレームワークが具体的に解説されます。スクラムの三本柱、つまり「透明性」「検査」「適応」というキーワードを通して、チームが短い期間(スプリント)で開発し、レビューし、レトロスペクティブ(ふりかえり)で改善していく流れを学べます。著者はこの章で大事なこととして「なぜそれをやるのか」を常に意識しよう、と何度も強調しています。アジャイル開発を導入するのがゴールじゃないんだよ、と。あくまで「正しいものを探り当てる」「正しく形にする」ためにスクラムやXPといった手段を用いている。その意義を見失わないためにも、自分たちのWhy(目的)をいつも問いかけていく姿勢が大切だというわけですね。

不確実性への適応

続く第3章は「不確実性への適応」。まさにアジャイルが得意とする部分ですが、この章では合意形成にどう対処するか、学びによってどんどん新しい仕様や要望が湧いてくるときにどうやって範囲をコントロールするかなどが扱われます。具体的には「余白の戦略」という考え方が示されています。たとえば、開発のスケジュールや機能の作り込み具合に、あえて調整可能な余白を組み込んでおく。そうすることで、想定外の学びやアイデアが出てきたときにも対応しやすくなります。また、「ユーザーストーリーマッピング」や「インセプションデッキ」など、チーム全体がどのような価値やミッションを目指しているのかを可視化し、共有しながら進めるための手法が紹介されています。こうした実践的なアドバイスは、実際にチーム運営をしている方にはとても役立つはずです。

アジャイル開発は2度失敗する

第4章は「アジャイル開発は2度失敗する」。ここでは、アジャイルそのものを導入し始める段階で陥りがちな失敗と、プロダクトをリリースしてみたらユーザーに全然刺さらなかったという失敗の二つが語られます。ここで重要なのが「プロダクトオーナーと開発チームの境界線」の問題です。多くの現場では「作るのはエンジニアで、企画はビジネスサイド」というように、どこか役割分担がはっきりしすぎている傾向がある。でも、本当に不確実性の高い領域では「誰が作り、誰が仕様を決める」みたいな分断は、かえって問題を引き起こすことが多いです。プロダクトオーナーだけに「何を作るか」を背負わせすぎると、開発チームはとにかく実装だけやる、というスタンスに陥りやすい。結果として「正しく間違ったもの」をすごく頑張って作ってしまう。そうならないためには、チーム全員がプロダクトの方向性に責任をもち、越境していく必要がある。それが第5章「仮説検証型アジャイル開発」の大きなテーマになります。

正しいものを正しく作る

その第5章。「正しいものを正しく作る」ために、仮説と検証をどのように回していけばいいのかが具体的に示されています。例えば、「仮説キャンバス」を活用して、自分たちが想定するユーザーの課題や、提供したい価値、競合となる選択肢は何か、などを整理する。そして「本当にそんな課題は存在するのか?」「その解決策は使われるのか?」をインタビューやプロトタイピングで検証していく。まさに「作って確かめる」アジャイルの強みです。ここで大事なのは「どこまで作り込むか」の見極めです。最初から大きく作り込みすぎると、もし違うと分かったときに大きく方向転換しにくくなる。一方で、何も作らずに頭の中だけで考えていても手応えが分からない。だからこそ、必要最小限のMVP(Minimum Variable Product)を形にしてユーザーからのフィードバックを得るのが重要になります。

ともにつくる

最後の第6章、「ともにつくる」。ここは、本書が目指すゴールのような章です。要は、プロダクトづくりを通して得られた学びや気づきを共有しあい、さまざまな視座・視野を持ったメンバーが協力して「正しいものは何か」を探り、かつ「正しく作られているか」を問い続ける。これが、本書でいう“越境”の概念。単に役割の壁を越えるだけではありません。技術とビジネス、あるいはユーザーと提供者といった枠を越えて、本当に必要とされる価値を作りだそうとする。この行為自体が「正しいものを正しく作る」ということの本質だ、と本書は説きます。ゴールというよりは、より高次の“姿勢”とか“あり方”と言った方が近いかもしれません。

実際、この「正しいものを正しく作る」というフレーズには、勘違いされやすい側面もあるようです。「そもそも正しさなんて誰にも分からない」という批判もある。でも、それは著者自身も理解していて、だからこそ「正しさ」を問うのは、あくまでも自分たちに対してなのだと強調しています。他者から「それは正しい」と判定してもらうような話ではなく、チームが“今はこう考える、これが正しいはずだ”と設定した仮説を、本当にそうだろうか?と疑い続ける。その姿勢を持つことが「正しいものを正しく作る」というキーワードの本当の狙いなのです。

こうした本書のメッセージは、アジャイル開発やソフトウェアエンジニアリングの世界だけにとどまらず、サービス開発、事業企画、あるいはチームマネジメントなどにも活かせる視点だと思います。なにせ、いま多くの組織が直面しているのは「先が読めないこと」そのものです。誰も経験したことがない新規事業とかDXとか、あるいは大きく変わりつつあるユーザー行動や市場環境。何をするにもリスクがつきまとうし、正解がない。でもやらなければならない。そんなときには、とりあえず作ってみて、すぐに学びを得るアジャイルのやり方が非常に有効です。しかし「アジャイルを導入すればうまくいく」なんて単純な話でもない。この本を読むと、その先にある「仮説検証」と「ともにつくる」アプローチが大切だと分かります。こうした観点をチーム全員で共有できれば、不安定な時代でも柔軟に進んでいけるのではないでしょうか。

最後に、この本は「開発チームの技術者」に限らず、「プロダクトオーナー」や「企画サイド」、さらには「経営者」の方にも非常に有用な内容が詰まっています。実際、著者自身がプログラマからキャリアをスタートして、プロジェクトマネージャーやプロデューサー、アジャイルコーチなどを経て、この共創というキーワードにたどり着いたという経緯をもっています。その実践知が本書には凝縮されています。もし、今チームや組織で「本当にこれでいいんだろうか?」「作っているものは価値があるんだろうか?」と悩んでいるなら、ぜひこの『正しいものを正しくつくる』を手に取ってみてください。アジャイル開発のやり方や心構えだけでなく、プロダクトづくりや事業づくりの本質的な考え方に触れられると思います。

以上、『正しいものを正しくつくる』についてご紹介しましたが、まだまだ語りきれない内容や具体例が本書にはたくさん盛り込まれています。初めてアジャイル開発に触れる方にとっては入門書としても活用できますし、ある程度経験がある方にとっても新たな発見があると思います。また、後半で描かれる「プロダクトを越境しながら共創していく」ビジョンは、多様性のあるチームづくりや組織づくりという側面からも学ぶところが多いです。「境界する」は、口で言うほど簡単じゃないですが、一緒にやっていこうとする意識があれば、きっと得られる成果はきっと大きいと思います。

改めてまとめると、「正しいものを正しく作る」とは、つまり「常に問い、仮説を立て、検証を繰り返すこと」。そこには、技術的にも組織的にもコミュニケーション的にも数々の困難が待ち受けています。が、それをチーム全員でシェアし合い、学び合い、越境しながら少しずつ前に進む。そうすれば“不確実性”は脅威ではなく、むしろ新たな発見をもたらすチャンスになり得るんだということが、本書のメッセージとして受け取れるのではないでしょうか。

もしあなたが「うちのプロダクト、本当にこれでいいのか」とか、「もっとユーザーの声を反映させたいけど、どう動き出せばいいのだろうか」といった悩みを抱えているなら、この『正しいものを正しくつくる』という一冊は大いにヒントになるはずです。ぜひ手に取ってみて、あなたやあなたのチームなりの「正しさ」を探求するきっかけにしてみてはいかがでしょうか。読んだあとで、この本に書かれているワークやアジャイルのプラクティスをほんの少しだけでも試してみる。そうすると、きっとチームやプロダクトに変化の芽が生まれると思います。

というわけで、本日はアジャイル開発や仮説検証型アプローチをベースにした書籍「正しいものを正しくつくる」についてご紹介しました。皆さんの参考になりましたら幸いです。あなたのプロダクトづくりやチームづくりが、より“正しく”、“価値ある”方向へ進んでいくことを願っています。ご興味があれば、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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