【ライブレポート】タイラー・ザ・クリエイター、大歓声とシンガロングに洋楽ニューエラ到来を実感
タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, The Creator)「CHROMAKOPIA: THE WORLD TOUR」有明アリーナに行ってきました。自分が参加したのは2日目です。行こうかなと迷っているうちに先行が終了し、一般発売もソールドアウトになり、少し悔やんでいたら、ステージサイド席が追加販売され、購入して参加しました。
タイラーはアルバムが出るたびに聴いていて、自分の中でケンドリック・ラマー、Ye(カニエ)、ドレイクと同じくらいの位置付けでした。キャッチーな『Flower Boy』や完成度の高い『IGOR』はよく聴いていました。
『CHROMAKOPIA』も聞いてタイラーだなあと感心しつつ、決め手になったのは最新作の『DON'T TAP THE GLASS』でした。「あれ?タイラーってラッパーじゃなかったっけ」と思わせるファンクの大洪水に、プリンスで育った自分は、これは絶対に現地で見たいと思いました。
結論から言うと、めちゃくちゃ楽しかったです!いろんな人がアップしているけど、会場はシンガロングして一体感があって「ここは本当に日本?」と一瞬まわりを見てしまうくらいでした。初日のセットリストが公開されていて、予習してきた人もいたと思います。自分も予習して、途中からプレイリストでリリックを見ながら声を出したりしてました。
タイラーはめっちゃフレンドリーで、日本への感謝を伝えてくれました。ステージ前方でキレキレのダンスをしたり、メロウな曲では座ってラップしたり、ときには寝転んで天井を見上げるシーンもありました。ステージから降りて、もみくちゃになりながらハイタッチして回るなど、ファンサもすごかったです。全米ナンバーワンラッパーでグラミーウィナーのタイラーと目の前でハイタッチした人は、最高の思い出になったと思います。
TYLER, THE CREATOR CHROMAKOPIA: THE WORLD TOUR
2025.9.10 有明アリーナ セットリスト
1. Big Poe
2. Sugar on My Tongue
3. St. Chroma
4. Rah Tah Tah
5. Noid
6. Darling, I
7. Sticky
8. Take Your Mask Off
9. Stop Playing With Me
10. EARFQUAKE
11. ARE WE STILL FRIENDS?
12. She
13. Tamale
14. IFHY
15. LUMBERJACK
16. DOGTOOTH
17. WUSYANAME
18. SORRY NOT SORRY
19. Who Dat Boy
20. Like Him
21. See You Again
22. NEW MAGIC WAND
23. I Hope You Find Your Way Home
今回は『CHROMAKOPIA』のツアーで、『DON'T TAP THE GLASS』からは「Big Poe」「Sugar on My Tongue」と「Stop Playing With Me」をパフォーマンス。どれもめちゃくちゃハイテンションで、タイラーのまくしたてるようなボーカルとダンスに持って行かれます。「St. Chroma」からの『CHROMAKOPIA』パートはシアトリカルな構成で、タイラーと別人格のオルターエゴのやりとりを通して、壮大な心の闇みたいなものが迫ってきました。ビジョンの映像も効果的でした。
シンガロングは 「Darling, I」や「EARFQUAKE」「ARE WE STILL FRIENDS」「Like Him」でも起きていて、他の曲でも一緒に口ずさんでいる人が大勢いました。タイラーのメロウ曲はR&B調だけどスウィートなフックがあって、メロディセンスが抜群だなと実感しました。Xのタイムラインで「Noid」のチェワ語のコーラスを覚えてタイラーを驚かせよう、というポストが回ってきましたが、実際に歌っている人がいたのはおもしろかったです。
過去の代表曲「She」や「LUMBERJACK」「Tamale」「See You Again」はメドレー形式で披露されて、中だるみしない構成だったのもよかったです。最後は「NEW MAGIC WAND」でがっつり盛り上げて、「I Hope You Find Your Way Home」で退場までしっかりタイラーのショーを堪能しました。
終演後に余韻にひたりながら感想をスクロールしていると、最高だったという声が多く、みなさんタイラーのステージを楽しんでいたようで、自分もその場にいられてよかったと思いました。ラップでは異例のシンガロング率の高さも話題になっていて、洋楽にも未来があると希望を見いだしたり、若いリスナーの存在に驚く反応がいくつもありました。
昨日見かけたのはふだんからヒップホップやメインストリームポップを聴いてて英語がわかってそうな人が多かった。ただリスナー全体の中でいうと少数派で、彼らにとってマストなショーがタイラーだったのかなと
— 石河コ禹Heゐ (@vacant_sheet) September 11, 2025
自分はこうポストしたのですが、感度の高いリスナーが多かった印象です。実際に、芸能人や人気アイドルグループのメンバーもいたと後から知りました。自分は2階席の最上段でしたが、隣にいた女性2人組は、ケンドリック・ラマーが好きと話していて、仕事やファッションを通じてUSのラップと接点がありそうでした。それでも「歌詞を画面に映してくれたらいいのに」という言葉も聞こえてきたので、ネイティブまでいかないけれど、リテラシーのある層が参加していたと思います。
補足で、意外と無視できないのは、親日家で日本のファッション誌やカルチャー誌に何度も登場したタイラーは界隈や関係者に浸透しているということ。女性比率も高くて、単なるラッパー以上の存在として受け入れられている印象を受けました。洋楽リスナーの中でもハイセンスな層
— 石河コ禹Heゐ (@vacant_sheet) September 11, 2025
ロラパルーザやコーチェラの配信を見ていると、人気のあるラッパーだと、頭からサビまでオーディエンスが大合唱している姿を目にします。思い入れのあるヒット曲は、日本でも同じような状況を目にしますが、今回のタイラーは、そこまで行ってはいないけど、かなり近づいていると感じました。
ラップがメインストリームになって、日本でもリリックを理解する人がいたり、ネイティブなみに英語を扱える人が増えたことで、言葉の壁は徐々に低くなっていると感じます。近い将来、フェスでもラップのライムや大サビをシンガロングする光景が見られるかもしれません。
