【写真】氷と花の魔法にかけられて "enchanted"
美しい花が光り輝くとき、そこに生まれる不思議な力。
『美女と野獣』に登場する魔法のバラは、野獣に姿を変えられた王子が本当の愛を知るまでの、限られた時間を告げる砂時計のような役割を果たした。
『塔の上のラプンツェル』に登場する魔法の花(オリエンタルリリー)は、主人公ラプンツェルの若さと魔法の力の源となる金色の髪をあたえた。
ディズニーの世界に限らず、人々はその美しさに超自然的な力を感じ、さまざまな伝説や物語をはぐくんできた。

先日、不意に降った雪にみまわれ、
寒々しく、痛々しい姿になった花たちを見て
僕は可哀そうに思うよりも、その輝くばかりの美しさに心を奪われ、
夢中でシャッターを切っていた。

本来、雪や氷に閉ざされる前に
花や葉はその役割を終え、枯れて地上に身を投げる。
命をつなぐ種子や球根も、まだすやすやと土のゆりかごに眠る。
「色鮮やかな花々」と「雪や氷」は、
古来、同時に姿を現すことがないはずのものだった。

植物たちの「生」のひとつの頂点である花と、
生きとし生きるものにとって「死」を意味する雪や氷。
それらが同時に人間の目の前に現れたとき、
何ともいえない神秘的な印象を与える。

時間が経つのも、氷のように指先が凍てつくのも忘れ、
ただ夢中になって、シャッターを切りつづけた。
まるで、僕自身が “enchanted” かのように。
(おしまい)
