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【詩】たしかめて。静かな夜に

夜風が吹く。


それだけで


きみの名前を

思い出してしまう。


窓の向こうの灯りが

ひとつ、


またひとつ、


きみになっていく。


困るなあ。


世界はこんなに広いのに、


僕の夜だけは

きみで満ちてしまう。


息を止める。


そうすると


胸の奥で


会いたい、



小さく鳴る。


星はきれいだ。


泣きたくなるほど

きれいだ。


けれど今夜の空は


ひとりの人を想う心に

勝てない。


遠い。


ほんとうは

とても遠い。


それなのに


振り向けば

そこにいる気がする。


隣の椅子に。


読みかけの本の向こうに。


静かに眠る夜の中に。


言葉にしたら


壊れてしまう。


朝露みたいに。


触れた指先から

消えてしまう。


だから言わない。


言えない。


ただ、


風が吹いて、


胸が少しだけ痛くなって、


きみを想った。


その一瞬だけで


僕は生きていた。



(おしまい)

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