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【短編】2人で過ごす時間

目の前に座っている水色の髪、青い瞳の少女が、とびきりの笑顔を向けているのを、私はぎこちない笑顔で受け止める。

なんでも冬の寒い時期に、家族で集まって、過ごす行事があるそうなのだが、それを知らずに仕事を入れてしまう私に、彼女は怒っているのだ。

この冬は、私と彼女が婚姻して初めて過ごす家族としての冬である。
それを特別と思わず、いつも通り摂政役せっしょうやくの仕事をこなしている机に向かい合うように置かれたソファーに、今、彼女は座って、私の仕事が終わるのを待っているのだ。

ミシェルも彼女が来ると、何も言わず、ソファーの前の卓の上に、お茶の用意をして、部屋を後にした。
いつもは私に付き添っているフォルネスも、今日は彼女と入れ替わるように、自宅に帰っていった。きっと、婚約者のアンダンテとゆっくり過ごすのだろう。

「カミュスヤーナ様。まだ、お仕事は終わられないのですか?」
少女が笑顔ではあるが、目が笑っていない状態で問いかける。
「アルスカイン様にも、今日は、早く仕事を終わらせて、自宅に戻るようにと言われているはずですが。」

彼女の言うことは、もっともで、義弟であり領主でもあるアルスカインからは、普段から働きすぎなのだから、この日くらいは、早く帰って休むようにと言われてはいた。
言われてはいたけれど。。

「そんなに怒らないでくれ。テラスティーネ。」
「あら?私は怒ってなどいませんよ。カミュスヤーナ様。」
敬称付、フルネームで私の名を呼ぶことからも、彼女が怒っていることは、明白だ。この分だと、機嫌を上向かせるのは、なかなかに難しそうだ。

私は手元にあった資料の類を、机の引き出しにしまい、代わりに球形の物体を取り出した。
それを持って、ソファーに腰掛けている彼女のそばまで歩いていき、卓の上にそれを設置する。物体は床に設置する部分は平らになっているので、卓の上を転がることなく、置いた場所に留まった。

テラスティーネはその青い瞳を瞬かせた。
「これは、魔道具ですか?」

魔道具は、魔力を込めると、特定の作用をしてくれる道具のことだ。
卓に置いた魔道具に魔力を込めると、魔道具自体が、淡く発光し始める。私は、それを見届けてから、部屋の明かりを消した。
魔道具から、色とりどりの光のうずが、放たれ、部屋の中に広がっていく。

彼女は、その美しい光をしばらく無言で眺めていた。
「綺麗ですね。。」
彼女がぽつりと呟いた。
私は、ソファーに座っている彼女の隣に座り、同じように光のうずを見つめた。

「なんでも、この行事の時には、家族の間で贈り物を送りあうのだろう?だから、これが私から君への贈り物だ。」
「もう、お仕事はよろしいのですか?」
「今日やらなくてはならない分は済んだ。」
彼女が隣に座っている私の方にもたれかかった。そして、斜め下側から私の方を見上げる。

「昨年の今頃は、このようにカミュスと過ごせるとは思っていませんでした。」
呼び掛けが略称に変わったことに安堵しながら、私は昨年の今頃のことを思い返す。あの頃は、まだテラスティーネはフォルネスと婚約しており、私は彼女とは、事務的なやり取りしかしていなかった。この行事の日も普通に領主の仕事をしていたと思う。
考えてみると、この一年でいろいろなことがあり過ぎた。とはいえ、昨年の私の行動は、彼女にとってひどいものであったと思う。

「すまない。テラ。」
「いいえ、謝らないでください。私は今幸せをかみしめているのですよ。」
彼女は私を見て、フフッと笑った。
「このような穏やかな時を、貴方の側で過ごすことができて幸せです。」
「ああ、私もだ。テラ。」
私は隣に座っている彼女の肩を引き寄せた。
そのまま二人で、部屋にあふれる光の渦を飽きるまで眺めていた。


今日はクリスマス・イブですね。
皆さま、何かご予定等ございますか?私やカミュスヤーナと同じように、お仕事の方も多いのではないでしょうか?
明日はケーキを食べようと思ってます。大学生のクリスマスの時は、自分一人暮らしなのに、コンビニで売っていたホールケーキ買って食べたことがあります。(気が向いたら、短編でアップしようかな?)

カミュスヤーナとテラスティーネは、私が書いた長編小説「目を覚めたら夢の中」の登場人物です。本編は、「終局」と「成人の夜」の間くらいの時期をイメージして書いています。
気になる方は、以下リンクからお読みください。


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