PMVVって必要? そこから始まる、理念が空気にならないためのPMVV入門
「うちの会社ってビジョンとかないんですか?」
「あるじゃん。2年前に作ったやつ。ホームページにも載ってるし。」
「でも、現実と違いすぎて誰も信用してないんじゃないですか…。」
少し苦い話ですが、こんな会話を耳にすることがかなり多いです。
「パーパスを作りましょう」
「MVVを整理しましょう」
「クレドがないと浸透しません」
最近、このあたりの言葉を聞かない日はありません。
もはや経営界隈の“横文字大運動会”みたいになっています。人類は時々、概念を増やすことで仕事をしている気分になります。
ただ、本来これはもっと地味で、もっと誠実な話のはずです。
注)
P…パーパス
M…ミッション
V…ビジョン
V…バリュー
なぜ今、PMVVが求められるのか
この20数年で、働く環境は大きく変わりました。
特に20代、30代では、「何をする会社か」だけではなく、働くことに意味を求めています。
なぜ存在しているのか
何を大切にしているのか
どこを目指しているのか
まで気にされるようになっています。
その流れの中で、
パーパス
ミッション
ビジョン
バリュー
いわゆる「PMVV」を整備する企業が増えました。
ただ一方で、現実には、
求人向けの見栄え
株主向けアピール
“ちゃんとしてる会社感”の演出
が目的になっているケースも少なくありません。
そして、きれいな言葉と現場の実態にギャップがあると、組織は静かに疲弊していきます。
「言ってることと違うよね」が積み重なるからです。これは意外と深刻です。
人は忙しいことより、不一致に消耗します。
本来、PMVVは何のためにあるのか
本来のPMVVは、会社の“本音”を伝えるためのものです。
情報が簡単に手に入る時代だからこそ、
どんな目的で
どこへ向かい
何を大切にして
活動しているのかを示す必要があります。
ただし、それは「うまく見せる文章」では意味がありません。
少し不器用でもいい。地味でもいい。
ちゃんと、その会社の心の声であること。
そこに誠意が宿ります。
そして結局、その誠意が一番強いブランドになります。
私が考えるPMVVの原則
原則1:PMVVを作る目的を明確に
PMVVは、現在行っている企業活動の背景や価値観を示し、信頼関係を強めるためのものです。
顧客
従業員
株主
協力会社
こうした関係者に対して、
「自分たちはこう考えて動いています」
を表明する行為です。
だから、会社によって表現方法は違って当然です。フォーマットを真似しすぎないこと。
組織においては、一貫性のほうが圧倒的に重要です。
考えがきちんと浸透していればいいわけで、事細かく無理して作る必要もありません。
原則2:外したくないポイント
PMVVは、「評価されるために作る」ものではありません。
本来は、「もともとある想いを、形にする」プロセスです。
もちろん結果として、
採用にプラスになる
定着率が上がる
ブランドになる
ことはあります。
でも、順番を逆にすると苦しくなります。
“良く見せるための言葉”は、現場運営で必ず無理が出るからです。
何よりも、目的から手段を考えることです。
原則3:経営側の視点を変えてみる
経営者としては、
「良い会社に見せたい」ではなく、
「自分たちのこだわりや強みを伝えたい」に変換したほうが、長期的にはうまくいきます。
また、
「他社より立派に見せたい」ではなく、
「言ったことと行動を一致させたい」に軸を置くことも重要です。
結局、人は完璧さより誠実さを見ています。
原則4:従業員側の視点も踏まえる
従業員は、案外ちゃんと見ています。
きれいな言葉を並べた会社より、
現実と一致している
無理をしていない
本音で話している
会社のほうが信頼されます。
早期離職の原因として、“リアリティギャップ”はかなり大きいです。
入社前の期待と、現実のズレですね。
採用時に盛れば盛るほど、あとで反動が来ます。人類はなぜ毎回これを繰り返すのでしょう。
よくある失敗
失敗1:コンサルの型に無理やり合わせる
本来必要ない項目まで増え、
パーパス
フィロソフィー
ミッション
ビジョン
バリュー
クレド
全部入りラーメンみたいになります。結果、誰も覚えていません。
失敗2:伝えたいことが多すぎる
あれも大事、これも大事、と増やしすぎると一貫性がなくなります。
すると現場では、「結局どっちなの?」が発生します。
組織は、情報量より判断基準の明確さのほうが大事です。
失敗3:唱和しているのに浸透しない
朝礼で読んでも、浸透しないことは普通にあります。
理由は単純で、「日常会話で使われていない」からです。
本当に浸透している会社は、
上司との会話
評価面談
日々の判断
表彰
採用
などに自然に出てきます。
逆に、額縁の中だけにいる理念は、だいたい空気になります。
どう進めるべきか
間違って痛い目を見ないようにするには以下の手順で進めます。
1. 正しい目的を認識する
2. 誰に何を伝えたいかを明確にする
3. 分量を絞る
4. 用語を整理する
5. タイミングを計る
そして、管理職が橋渡し役となって運用しましょう。
そのためには、理解し説明できる内容であることが大事です。
自分が実践できていないなんて本末転倒です。
いきなり完璧を求めても失敗してしまう
まずは、「譲れないもの」「一番大切にしている判断基準」これだけを浸透させることに全力を注ぎましょう。
そこから徐々に、
・複数の判断基準
・その背景にある思想
・目指す姿
を広げていけばいいのです。
出来ることから、一貫性をもって、誠実に行うこと、これが組織を健全に動かすよりどころとなるのではないでしょうか。
