📚図書館編00|いいもの見つけた
森の中は、午後の光でやわらかく満ちていた。
モコは小さな川のそばでしゃがみこみ、じっと手の中を見つめている。
「……きれいだモコ」

ツルツルしてて、まん丸な、形の良い石。
光を受けて少しだけ光っている。
モコはそれを持ち上げて、角度を変える。
すると、またきらっと光る。
「……!」
ぱっと顔が明るくなる。
「すごいモコ!」
「見せるモコ!」
誰に、とは考えていない。
ただ、このまま自分だけで持っているのは惜しいと思った。
立ち上がり、
石をぎゅっと握ると、そのまま走り出した。
◆
しばらく歩いて、
最初に見えてきたのは森の図書館。
迷いなく扉を押す。
ぱっと明るい声が、図書館の中に広がる。
「いいもの見つけたモコー!」
何人かが顔を上げる。
静かだった空気が、ほんの少しだけ揺れた。
近くにいた司書が顔を上げた。
「ここは図書館だから、少し声を小さくしようね」
モコはきょとんとする。
「なんでモコ?」
「本を読んでる人たちの邪魔になっちゃうかもしれないから」
少しだけ考えて、小さくうなずく。
「……わかったモコ」
「それで、何を見つけたの?」
モコはぱっと顔を明るくした。
「これだモコ!」
小さな手が、すっと差し出される。
それを受け取り、指先で転がした。
「……どれどれ」
つるん、とした丸い石。
だけど、どこにでも落ちているような、
見慣れた質感のものだった。
モコは顔を上げ、目を輝かせる。
「モコが見つけたモコ!」
「キラキラしてたモコ!」
司書はメガネをずらし、
少しだけ目を細めた。
「……いい石だね」
そう言って石をそっと返す。
モコは満足そうな顔でそれを受け取ると、
大事そうにぎゅっと握った。
「また来るモコー!」

ぱたぱたと、小さな足音が遠ざかっていく。
やがてその音も聞こえなくなり、さっきまで賑やかだった扉の向こうには森の風だけが残った。
◆
部屋の中は、また静けさを取り戻していた。
さっきの石のことを思い出して、
司書は少しだけ手を止める。
「……いい石だね、か……」
窓の方へと視線を向ける。
外では小さな背中がまだ森の道を走っていた。

暮らしの森には、いろんな住人たちの
物語が詰まっています。
(好きな順路で自由に散策してみてください)
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モコってどんな子?⬇︎
