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【過去話まとめ2】疲れた日に読みたい3選

暮らしの森の物語も100話を超えました。
新しく森を訪れてくれた方向けに、
過去のお話をまとめてお届けします。

少し疲れた日に歩く森。
ちょっと笑える話。
雨の日に読みたい物語。

その時の気分に合いそうな話を、
テーマごとに複数話選んでいく予定です。

一度読んだ方も、『こんな話あったな』と
思い出してもらえたら嬉しいです☺️


少し疲れた日に歩く森

今日ご紹介するのは、
少しだけ疲れている日に向いている3話です。

なんとなくうまくいかない日。
少し立ち止まりたくなる日。
そんな日に合いそうな話を選びました。


□ 1. モコのちょっぴり悲しい日

モコは森の小道を、
いつものようにのんびり歩いていた。

小鳥のさえずりや川のせせらぎが、
静かに耳をくすぐる。

「今日も気持ちいいモコ」

赤いベリーをひとつ拾って、カゴにころん。
木の実をひとつ拾って、ころん。

「いっぱいになってきたモコ」

そのときだった。

「わあっ!」

ドタン!

足元の幹につまずき、
カゴの中身が転がり出た。

「あ〜」

木の実たちはそのままコロコロと転がり、
そのまま水たまりに、ぽちゃん。

木の実が、水の上にぷかぷかと浮かぶ。

そこに、少し遅れて落ちた木の実が、
また、ぽちゃんと水を揺らす。

「全部落ちちゃったモコ……」

「……かなしいモコ……」

モコは地面にぺたんと座り込み、
残ったいくつかだけを拾い集めた。

それからトボトボと歩き、
湖のほとりにそっと腰を下ろした。

胸の中の重たい気持ちは、すぐには消えない。
けれど、森の空気がゆっくりと入りこんでくる。

落ち葉の音。
遠くで鳴く小鳥。
穏やかな湖面。

その時、優しい風が頬をふわっと撫でた。

モコは水面を見つめながら、小さくつぶやく。

(……大丈夫モコ)

もう一度、息を吸う。

(木の実は、また拾えるモコ)

しばらくして、モコはゆっくり立ち上がった。

太陽の光が木の間から差し込む。
モコは空に向かって体を伸ばした。

それから、「また集めるモコ」と、
小さくつぶやいた。

カゴを拾い上げ、森の小道へ歩き出す。
森の光が、やさしく差し込んでいた。

🌿モコのひとりごと
✔︎森の空気をすうモコ
✔︎ちょっとのびるモコ
✔︎また元気になるモコ

#モコ森


□ 2. ゴミ出しとマダム・ザマスの雷

メイの家の玄関には、きちんと口を縛ったゴミ袋が置かれている。こないだテキパキたちと一緒に片付けた時のゴミだ。

メイはソファに横になりながらそれを見る。
「あー、今日ゴミかぁ」

壁の時計を見る。

「……ま、次でいいや」

そう呟き、まだ眠たそうな目をこすった。

数日後の朝。
同じ場所に、同じ袋がある。

「あれ?まだあったんだ。ゴミの日いつだっけ」

カレンダーを見る。

「あー昨日か。じゃ、また今度で」

そう言いながら外に出て、コーヒーをひと口。

大きなあくびをした瞬間、そこに
マダム・ザマスが通りかかった。

「あ……、マダムこんにちは」

(見られたかな……?)

マダム・ザマスはメイの顔をじっと見た。

「……目の下、すごいざますね」

「え?」

「クマが住んでるざます」

メイは頬をかく。

「あー、ちょっと夜更かししちゃって」

「ふむ」

マダムの視線がゆっくり下に落ちる。

「それ、何ざます?」

メイは素直に答える。

「あ……出し忘れたゴミです」

「いつからそこにあるざます?」

メイは天井を見る。

「この前シレットと片付けたやつだから……
先週?」

眉間にシワを寄せ考える。

「……いや」

「先々週です!!」

一拍。

「二週間も玄関にゴミを住まわせてるザマスか!!」

家が揺れた。

「ひいぃ」

マダムは腕を組んだまま袋を指す。

「その袋は観葉植物ザマスか?」
「それとも玄関の置物ザマスか?」

「……違います」

「ではなぜ」

メイがぼそっと言う。

「あの……、タイミングを逃して……」

マダムはうなずく。
「暮らしが崩れる理由はだいたいそれザマス。
判断の先送りがすべての原因ザマス!」

メイは袋を持ち上げる。

「……確かに。でも明後日なんだよな」

「ではあと二日、玄関の家具ざますね」

メイが笑い出す。

「家具!」

マダムはうなずいた。

「ゴミは二週間で景色の一部になる。
次は家具になる前に捨てるざます」

「……はぁい」

マダムは微笑む。

「その返事、判断の先送りにならないことを祈るざます」


#メイ森


□ 3. 木の実は明日の分も落ちている

森に暖かな日差しが差し込む。
草の上には、ころころと木の実。
昨日の風が落としていった、小さなごちそう。

モコはしゃがみこみ、
カゴに木の実を集めていた。

「これ、おいしいモコ!」

ひとつ拾って、かじる。
またひとつ拾って、かじる。
拾っては食べ、拾っては食べ。

その様子を、少し離れた木陰から、
マダム・ザマスが見ていた。
日傘をくるりと回しながら、ゆっくり近づく。

「……モコ」

「ザマスー!」
モコは口いっぱいのまま手を振る。

「その木の実、全部食べたらどうなるざます?」

モコはきょとんとする。

「えっと……なくなるモコ?」

「そうざます」

マダムは草の上にしゃがみ、
ひとつ木の実を拾う。

「森の実は、“今日の分”と“明日の分”が
混ざっているざます」

モコは手を止める。

「……?」

「全部食べたら、今日のお腹は満たされる。
でも明日の自分は少し困るざます」

「でも、お腹すいたら食べたいモコ……」

「それも正しいざます」

モコはしばらく木の実を見つめていた。

風が吹く。
またひとつ、木の実がころんと落ちた。

モコはそれを拾い、少し考えてからカゴに入れる。もう一つもカゴへ。
そして最後の一つだけを口に入れた。

もぐもぐ。

「……おいしいモコ」

マダムは微笑む。

「森は奪わなければ、だいたい足りるざます」

モコも小さくうなずき、
もう一度カゴを見る。

「こっちは、だいじに取っておくモコ」

マダムはゆっくり立ち上がり、
日傘をくるりと回した。

「それが“備える”ということ。
明日の分を残せる人は、困らないざますから」


#暮らしの森・過去話まとめ


それでは、また来週。
次のルート案内でお会いしましょう。


🌳森の管理人 こより



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