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電話の向こうにも、心は伝わる

「〇月〇日、〇名様でお待ちしております。」


電話で、
1件の予約を受けた。

いつも通り、
流れにそって聞き取る。


そして、
そのお客さんの、
予約した日がやってきた。


「いらっしゃいませ!お席ご案内いたします。」


そのあと、
最初の注文を取りに
お席に向かった。


注文を聞いて、
立ち去ろうとしたとき、


「違ったらすみません。」
「もしかして、予約の電話口の方ですか?」


(???)


なぜ聞かれたのか、
わからなかった。


(何かやらかした?)
(ク、クレームか?)


たしかに、
予約を受けた人は
「自分」であると記録に残っていた。


ただ、
機嫌を損ねるようなことは
してないはず。


「はい、わたしです……」


答えてしまった。
何を言われるのか……


そんなことを考えていたら、


「やっぱりそうですよね!」

『いらっしゃいませ』の声を聞いたときに、
すぐに『この人』だってわかりました!」



予想外の言葉が飛んできた。


もはや、
すぐには理解できなかった。

(怒っては……なさそう……だよね?)


理解が追いつかないまま、
そのお客さんは、
続けてこう言った。


「とても丁寧に、
それに聞き取りやすい声で対応してくれたから
覚えてたんです!」


まさかの褒め言葉。

驚きを隠せなかった。


電話でのやり取りを
褒められたことが、
まず嬉しい。

しかも、
実際に声を聞いて
「この人だ」と気づいてくれた。

そのことが、
何よりも嬉しかった。


それに、
言葉にして
直接伝えてくれた。


こんな経験は、
もう二度と
ないかもしれない。

そう思うと、
この貴重な経験をさせてくれた
お客さんには、
感謝の気持ちが溢れてくる。


たった一度の
巡り合わせかもしれない。


でも、
その人がかけてくれた言葉は、
きっとこれからも忘れない。


嬉しかったことも、
驚いた気持ちも、
あの日のあたたかい空気も。


これからは、
わたしも誰かに
「ありがとう」や「素敵だね」を、
ちゃんと伝えられる人でいたい


そのお客さんは帰り際、

「あなたに対応してもらえてよかった。」
「また来ます!」

と話していた。


相手を前にしている時も、
相手の姿が見えていなくても、

心を込めて接すれば、
電話の向こうにも、
ちゃんと心は伝わる


そんなことを実感した、
あたたかい出来事だった。


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