紅椿 ―あの日の言葉―
「三つ編み、似合うじゃん」
昔、この髪型で登校した日に、あなたが言ってくれた言葉。
けれど私は、嬉しそうな顔を見られるのが恥ずかしくて、 「別に、いつもと変わらないでしょ」 なんて、可愛くない返事をしてしまった。あの時、ちゃんと笑ってありがとうって言えていたら、何か変わっていたのかな。
大好きなあなたに言われたその一言を、 私は今でも心の奥にしまっている。

もしかしたら、私の気持ちに気づいてくれるかもしれない。
そんな小さな期待を胸に、今日も髪を編んでいる。
今の関係を壊したくない。
だけど、本当の気持ちも知ってほしい。
ある日、あなたの隣で楽しそうに笑う女の子を見た。
胸が苦しくなった。
それでも私は、この気持ちを口にすることができない。

紅椿は、花の名前シリーズとして制作し2026年6月11日
に出品した作品です。
椿の持つ凛とした雰囲気と、心の奥にしまったままの想いを重ねながら、 「言えなかった気持ち」と「あの日から忘れられない一言」をテーマにしました。
強く想っているのに、関係を壊したくなくて踏み出せない。 嬉しかった言葉を大切に抱えながらも、素直になれなかった後悔を少しだけ残している。
そんな、静かな片想いを抱えた子としてご覧いただけましたら嬉しいです。
この物語には、別の視点から見たもうひとつの物語があります。
後日、別の視点から見た物語も公開予定です。
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