【映画】風の武士(神保町シアター・2026/06/24)
昨日は錦ちゃんでしたが今日は橋蔵様です!
お客さんは昨日に増して男性比率が高く、意外でした。
いつものごとく事前知識は入れずに観たので、抜けが多いかもしれませんがお許しを。
原作は司馬遼太郎の小説。脚本は野上龍雄。
女好きでありつつヤクザじゃなく、武士系職業の主人公は珍しい気がする。
スタート時の雰囲気は「滅法腕が立つ諸星あたる」という感じ。
2人の女性を口説きつつ、それが双方にバレバレで、でも「ンもう」と思われている程度でやっぱりドロドロ展開にはならない。
それが少しわかる人徳というか爽やかな主人公、信蔵なのでした。
お金への執着も薄く、前金で貰った一両で酉の市の巨大熊手を購入し、彼女(しかも現在の本命ではない)にポンとプレゼントしてしまうくらい。
実はこの、お金への執着の無さが後半に効いてきます。
昨日の「風と女と旅鴉」はWヒロインでしたが、今回は入れ替わりながらのトリプルヒロイン!それぞれキャラクターが立っています。
道場主の娘(どうやら何らかの訳あり)、清楚な「ちの」(桜町弘子)
信藏のいないところで呟く「嫌いです!」が「好きです」にしか聞こえない、女心が滲む表情!監督の匠の技ですな。
そして信藏が少し前にモノにした(と、姉の野際陽子が言っていた)飲み屋のおねいさん「おせい」(久保菜穂子)!横顔が美しい。
別れの朝、「私のところに帰ってこなくていいから、うんと長生きしてね」の言葉に深い愛を感じました。
そして信藏の後姿を見送り「一度も振り向いてくれないのね……」が、切ない。
そんなおせいと入れ替わるように登場する第三のヒロイン「おゆみ」(中原早苗)はどうして橋蔵様に惚れたのやらよくわからんけど時間内に納める為の「とにかくそーゆー事なの!」感がありました。
この映画、全体的に相当編集で切っている雰囲気がある。
彼女が「猫」のいない時に信藏へ秘密を語るシーン、画面の両端に各々が立っている画面構成から、二人が近づき、カメラが動いてアップのツーショットになる。全部の構図が見事。巧みとしか言いようがなかった。
彼女に関してはなんだか存在自体が力技な分、男女の機微というか、そういう意味ではちょっと弱い。でも実は人知れず、彼女が全体の物語内勢力図のカギになっているのでした。
そして、隠密「猫」役のナンバラン。
猫っていうか顔はジャガーっていうか、まぁ猫が合ってるのか。
思いの外終盤までコンスタントに出番が多く、相変わらずアクが強い演技が楽しめました!
そして語っておきたいのが西村晃、今回いわば依頼人役なので出番は多くはないものの、そういうのが必要な役回りではないにもかかわらず色気が香って、インパクト大でした!
ご老公役しか知らない人は西村さんの他の出演作品を見てみると驚くのではないかなといつも思います。実は小柄なんだけど、そんな風に見えないオーラを感じます。
さてさて、今回の最大のライバル、敵役が大木実。大木実が嫉妬に狂ったり悪な役をやると他の俳優より見たくない感が強いのは何故だろう……
この大木実はかなり悪いしヒロインを襲ったりもするし、すぐ嘘をつくし、嫌だったな~!
個人的に、真面目一徹イメージが強いもので。
序盤は小汚かったのが、どんどんこざっぱりしていくのはポイントかもしれない。
物語は熊野山中深くにある秘密の国「やすらい」をめぐるナンタラ。
その国に行く道は謎に包まれており、金が産出されているという。
紀州藩、そして幕府もその存在に気づき、金を我が物にしようとしている……!
紀州藩、「暴れん坊将軍」を除くと時代劇ではほぼほぼ常に悪役で大変悲しい。何故だ。東京の人からは馴染みが薄い土地だからか。今は田舎だから舐められているのか。くっ……くやちい!
閑話休題。
その国に行く鍵となる巻物が「丹生津姫草紙」。この巻物を巡って大活劇がと思いつつ、割と手に入らない勢力もそこそこ進めていて内心ずっこけました。ま、まあ「熊野山中」まではわかっているし原作では多分もっと色々あるのでしょう!編集した感じあるから!(2回目)
ちなみに「丹生津姫草紙」は「にうつひめぞうし」と読みます。
ワタクシ、和歌山県出身でございまして、和歌山の山中、熊野……とは少しズレますが、高野山近くの山中に「丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)」という由緒正しい神社があります。その神社があるのは現・かつらぎ町。少し「やすらい」と似た語感だな……と思うなどしました。
偶然にも丹生都比売神社には去年参拝しておりまして、
それはそれは自然豊かで癒される環境でしたので、高野山詣りのついでに(車両必須です)いかがでしょうか。
神犬(紀州犬)が2頭いらっしゃって、凛々しかったです ※常に公開されているわけではありません。公式サイトをご確認ください。
実際そこそこの山の中なので、司馬先生による「やすらい」モチーフの一つかもしれません。
和歌山、良いところですよ!ご飯もおいしい!皆様是非に!
えーとさてさて、少なくとも映画の方では「やすらい」国はあまり映らないのが残念。
駆け引きありつつ、戦いつつ、突発的な諍いもあり、
そんな中でやっと再会したヒロインと主人公。
朝チュンでめでたし、ハッピーエンドかと思ったら……!
そこそこビターエンドでした。意外。
桜町弘子の気高さが際立つラストでした。
橋蔵様はどうするのか。届かぬ彼女を求め続けるのか、
待っている彼女のもとに帰るのか。
前者のような気がしつつ、それは観客に委ねる形です。
見ごたえありました!冒頭だけちょっと暴力の刺激が強いかもですが、
後は大丈夫です。
流血シーン自体は少ないけれど、その少ない機会に毎度しっかり血が流れるのが、加藤泰監督 ぅ……と思いました。
思えば序盤は血の跡を追うとヒロインがいて、終盤はヘンゼルとグレーテルの如く落としていった小道具を追うとヒロインがいたな。狙ったんだろうか。
ちょっと言いたいこと思いついたことを全部書いたのでまとまっていませんが、当日書く感想は勢いが大事ですよね!
という事で「風の武士」本日の勢い感想文は以上です。
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