ねじを締め直せるAIロボットは、なぜ強いのか − 安川電機「第5工場」が示すフィジカルAIの現在地

安川電機の2027年2月期第1四半期は、売上が前年同期比10.6%増の1,390億円。それでも営業利益は19.2%減の85億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は21.7%減の54億円だった。売上は伸びたが、利益は落ちた。増収減益である。
特に厳しかったのが、ロボット事業だ。
売上は前年同期比2.0%増の567億円だったが、営業利益は82.3%減の9億円。営業利益率は9.0%から1.6%へ落ちた。会社は、基幹システムの移行に伴う生産への影響と、欧州における事業構造改革費用の計上を主な理由に挙げている。ロボットの未来を語る会社で、足元のロボット事業の採算が急激に悪化した。数字だけを見れば、そういう決算だった。
ただし、すべてが悪かったわけではない。
半導体やデータセンター関連の需要に支えられたモーションコントロール事業は、売上が21.5%増、営業利益が50.1%増と伸びた。全社の受注も前年同期比29%増、前四半期比8%増だった。会社は通期見通しを据え置いた一方で、基幹システム移行後の定着状況を慎重に見極めるとしている。
つまり、需要が消えたわけではない。注文は来ている。けれど、少なくとも第1四半期は、その強さをロボット事業の利益へ変えきれなかった。
ここで問われるのは、新しいロボットを売れるかだけではない。
ロボットを、もっと柔軟に、止まりにくく、採算よく作れるか。受注を、きちんと売上と利益へ変えられる生産体制を作れるか。
そんなタイミングでヘッドラインが流れてきた。
「安川電機、AI搭載ロボがAIロボを生産 ネジ締めミスも自ら学んで修正」北九州市の最新鋭「ロボット第5工場」が、本格生産に入ったという。
「AI搭載ロボがAIロボを生産」
いかにも未来の工場っぽい。映画の予告編なら、ここで低い音楽が鳴る。ロボットがロボットを作る。人間はガラス越しに見ているだけ。そんな絵が浮かぶ。
ただ、今回の話でいちばん面白いのは、そこではない。
ぼくが引っかかったのは、ねじだった。
ねじが少し斜めに入る。ねじ山がうまくかみ合わない。普通の産業用ロボットなら、決められた動きをそのまま続ける。うまくいっていなくても、同じ軌道をなぞる。けれど安川電機のAIロボット「MOTOMAN NEXT」は、それを認識して、もう一度やり直す。
この「やり直す」が、やけに人間くさい。
読者が工場の専門家でなくても、ねじならわかる。家具を組み立てたことがある人なら一度は経験している。最初の角度が少し違うだけで、ねじは入らない。力を入れるほど、かえって溝を傷める。そこで一度戻す。角度を直す。もう一回、そっと入れる。
たったそれだけのことが、工場では難しい。
そして、その難しさこそが、安川電機の今回のニュースをただの新工場ニュースで終わらせない理由だ。
みんなが見るAIと、工場で困るAI
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