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匿名性の高い対面の関わり、匿名性の低いオンラインの関わり

さて、コミュニケーションにおける他者との関わりを考えるときに、オンラインでのコミュニケーションが活発になって以降、改訂すべき人間関係観がある、と思う。つまり、人間関係の作り方が確実に変わっている。

これには、地域的な、また文化的な差異を考慮に入れた考察が必要だ。

分類

一つ目は、匿名性の高い対面的な関わりで、焦点の定まったもの、加えて継続的な関係性を持つもの。

これは、都会のバーカウンターで定期的に出会うが、身元を明かしていないようなもの。

これの成立には、ある程度の都市の規模の大きさ、人口の多さ、加えて個人主義を必要とする。

二つ目は、匿名性の低いオンラインの関わりで、焦点は定まっており、継続的な関係を持つもの。

オンラインのサークルに相当するようなもの。

これの成立には、会うのが容易でない物理的距離を必要とするし、オンラインの関係に、対面の匿名的でない人間関係の繋がりによる承認がオンラインで目に見えるようになっていること、を必要とする。

三つ目は、匿名性を強く保ったままで、オンラインで行われる、継続的な関係を持つ繋がり。

例えば、ツイッター、Xでやり取りを介した繋がり。

似たようなものでも、研究者たちが行うなら、二と同種になるが、「対面の匿名的でない人間関係の繋がりによる承認」を得られないアクターには、三として経験される。

四つ目は、これまで考察されてきた対面の焦点の定まったやり取り。

以上から分かるのは、焦点の定まらないオンライン上のやり取りは、観察の仕方を変えないと観察できないし、匿名性の高さは、同じ集まりの中で異なる仕方で展開されるので、同じ、同時進行のやり取りでも、アクターにより異なるレイヤーで経験される、ということだ。

人間関係形成

さて、オンラインで人間関係を形成する場合、ジェネレーションギャップは考慮に入れなければならない要素だろう。この場合のジェネレーションは、ベビーブーマー、エックス、というようなものというより、インターネットとの関わりの形成の仕方と、より強く関連している。

年寄(私も、上の観点からするとそう捉えられるが)は、三で始まり、三のまま継続する恋愛関係と、自分の経験には、かなりの距離や不可能性を感じるだろう

対面で身体的な関わりも持つことを想定した場合に。しかし、出だしが二なのは、対面的な関係性と、さほど変わらない。

恋愛関係の相互行為的分類

ここで、もう一つ考慮に入れなくてはならないのは、恋愛関係、あるいは「肉体関係」すなわち性行為が介在するやりとり、の持ち方の分類だろう。

一つは、ホックアップ。類似の概念は、ワンナイト。ゆきずりの恋。

これは、実際に会うまでに、コミュニケーションを必要とするが、以降の人間関係を避ける目的で、匿名性を高めたまま行われる。

二つ目は、これが継続する日本的なセフレ。これに類似の概念は北米ではまだ見つからない。

これは、先のコミュニケーションの分類なら一つ目のやり方で行われる。

三つ目は、オンラインで全てを賄う場合で匿名性の高いもの。つまり、先の人間関係の三つめで、恋愛関係を形成するもの。大人が子どもを心配するのは、これの場合で、片方が手練れで、または犯罪目的で、子どもは人間関係の二へ移行するように対面で面会しようとするが、手練れ側には一つ目の分類になる場合。

四つ目は、コミュニケーションの分類の二から三へ移行するもの。これは、年寄りにもやりやすい。また出会い系のアプリで、いわゆる通常の恋愛から結婚に至るようなことを目的にしている場合には、この分類の関係性の持ち方を想定している。

なお、日本の出会い系アプリは厳密な個人情報の登録を求めることが多いようで、そうすると上の例には該当しない可能性が高く、別途考察が必要。

処方箋

子どもがネットを介した性被害を避けられるようにするためには、以上の分類を使って説明すると分かりやすいかもしれない。つまり、匿名で出会い、コミュニケーションの二つ目の分類のやり方に、相手が移行できないなら、危険回避の難易度は高まる、という判断の手段があれば、具体的に考えやすい。また二と対面的なやり取りは具体的にどう違うかを考えるのも、危険回避の方法として良さそうだ。

もちろん、子ども、というのは、比喩である。一方、年寄りは、そこまでではない。

学術的な処方箋は、以下。

マルチモーダルとは異なる相互行為上のレイヤーには、同時に進行するやり取りのなかで、やり取りされている量が異なるレイヤーがあること。これは戦略としての指し手という、別のところでした複層的レイヤーの話とはまた別のものであるし、かつて出版した、視界の秩序という複層的レイヤーの存在とも、また別のもの、である。


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