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読書ノート12

●トマシーナ ポール・ギャリコ
巻末の河合先生の解説が胸に刺さる。
人と人との関係、特に親子関係の難しさは、
「愛情一杯」に子どもに接しながら、
子どもの「たましい」を深く傷つけている人が多い、からだ…

妻を早くに亡くし、娘を唯一の心の糧として生きる父は、獣医師。
本人は、人間を診る医者になりたかったのだが、彼の父の反対にあい、やむなく獣医師になった。
その心の鬱屈は彼を、腕はいいが、見込みのないペットにすぐに安楽死を施す獣医師にしてしまう。

父に愛する飼い猫を安楽死させられた幼い娘は、
その日から父との対話を一切拒絶、生きる希望を失い、日に日に心と身体が弱っていく。
なんとか娘との関係をやり直したい父。
しかし二人はすれ違ったまま時は流れ…

念のために言っておくと、読後感はいい。
ギャリコのことを、
人間の心理的な問題を、物語として表現するのが上手い作家、と著作「猫だましい」の中で、河合先生も絶賛している。
以前何冊か読んだ記憶があるけど、ポールギャリコは、もう一度読み直してみたいですなぁ

●透析を止めた日 堀川惠子
「高橋源一郎の飛ぶ教室」で紹介された1冊。
ゲストとして出演した堀川さんのお話で、
緩和医療は、がん患者にしかないこと
よって透析患者として死期の近づいた堀川さんのパートナーは、ホスピスにも入れず、緩和医療も受けられなかったという話が衝撃的だった。

なのでかなり覚悟して読んだけれど、読後に感じたのは、「すごく勇気づけられた」

本書の前半は、堀川さんのパートナーであるNHKエグゼクティブディレクターの、林 新(はやし・あらた)氏の闘病記が、患者と支える家族としての視点から語られる。

後半になるにつれ、やはりその内容は「壮絶」と言わざる終えない。やるせなさ、無力感、悲しみ…そして医療機関への疑問や憤り。
それらが精密な闘病メモと共に、時系列で綴られていく。
透析治療について、全く無知な私にとっては、
驚くことばかりだった。

後半は、ノンフィクション作家である彼女が、
医療カルテや取材を通し、彼の闘病生活とは、
透析治療とはなんだったのかを、
ジャーナリストの目で再度、掘り下げていく。
冷静な記者としての視点は、ほんとにプロだな、と思う。

それによって、
◯救命医療と緩和医療はまったくの別物であること(ゆえに治療に当たった医師だけが、責められるとは限らないこと)
◯医療に携わる人の中にも、同じ問題意識を持つ人がいて、新たな道筋が見つかりつつあること
そしてその新たな道筋が
◯「鹿児島モデル」と呼ばれ、推進する医師が愛媛の宇和島での経験を経て、現在、鹿児島で活躍されていること
などがわかってくる。

透析患者の治療人生を、その最期までより良く迎えられる医療に携わる医師が、
愛媛、鹿児島と、自分になじみのある土地で行われていることが、
個人的になんかうれしいなぁ、と思うと同時に、

「これっておかしくない⁈」と思うことに、
きちんと向き合うプロがいる、というのを知れたのは、世の中捨てたもんやない、となんだか勇気がもらえました。

これはぜひ多くの人に(特に愛媛と鹿児島のメディアの人)に読んでほしい。何ならたくさん買って、テレビ局に直接送ろうかとさえ思っている笑

●ゲームの王国 小川哲
タイトルから、ゲーム業界の話かと思ったら、
全然違ってた。
上下巻のボリュームある小説だが、
圧倒的に面白かった。

内戦が続くカンボジア。
小さな村に住む少年ムイタックと、
混乱の中で養父母を殺された少女ソリア、
二人を軸に様々な人々が交錯していく。

法も秩序もない、ルールがあるようでない、
そんな理不尽な社会で人々は、
理不尽な理由で、簡単に殺されてゆく。

その中を生き抜いてゆくのは、
まさにサバイバルゲーム。

それがタイトルの由来かと思ったら、
下巻からはガラッと趣きが変わり、
脳波でプレイするコンピュータゲームが
物語を進めるキーとなる。

読み終わったら、ちょっと寂しかった。
ムイタックとソリア、
彼らをはじめとした人々の長きに渡る人生に、
ずっと伴走している気分だったから。
(長く関わりを持った知り合いと別れた気分)
呪術、野心、暴力、裏切り、権力闘争…
ミステリーありファンタジーあり、
さまざまな要素てんこ盛りの読み応えある小説。

●君のクイズ 小川哲
小川哲を知ったのは、
「ゆる言語学ラジオ」で
この小説が紹介されたのを見たから。
小川哲読み始めの実質の1冊目はこちらである。

人気クイズ番組の優勝戦、
勝負を決める最終問題で、
勝ち残った男性アイドルは、
問題文が読み上げられる前に、正解を当てた。
これは八百長?
それとも天才が起こした奇跡?

その謎を追うともに、クイズ界の知られざるあれやこれやを知ることができる。
結末は、なるほど…今っぽい。


●嘘と正典 小川哲
「君のクイズ」を読み、なかなか面白かったので、引き続きこちらのSF短編集を読む。
手品とタイムトラベルを絡ませた1作目に
グッと引き込まれ、全部面白く読んだ。

「君のクイズ」の後に、
まだ長編を読む勇気がなかったので、
間に挟んだ1冊だったけど、
これを読んで、長編を読んでも大丈夫そう、と
「ゲームの王国」にチャレンジすることにした。

3冊読んだ後に、インタビュー記事を読み、
挙げられている好きな作家が結構被っていて、
「好きな作家が被る作家の本は、やっぱり面白い」と確信を新たにしました笑

その後これを見たけど、
なかなか面白そうな作家さんですね。
今井むつみさんの本も紹介されてたり、
水野さんとは麻雀仲間なのか。
なんか羨ましいなぁ


●心はどこへ消えた? 東畑開人

「馬耳東風」のバジートーハタ先生が送る、軽妙でユーモア溢れる心理エッセイ。あはは、と笑いつつふむふむと読み進められます。

個人的には、禁煙に挑むバジー先生の悪戦苦闘、悶絶の項が面白かった(禁煙にチャレンジしていた頃のダンナと、全く同じシチュエーション、セリフが次々とあらわれたからである😆)

休日のダンナとのドライブで、この本の中のエピソードをいくつか話したら、結構議論が盛り上がりまして、眠気対策になりました笑

前回の読書ノートはこちら!

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