【オリエント急行の殺人】日本で映画化もされた名作ミステリの解説レビュー(予告後ネタバレ)!
すばらしい事実がはっきりしてきました!
犯人は怪力の男であり、非力な男であり、女であり、右利きであり、左利きである-ああ!話にならん!
ミステリでは通常、
容疑者は少しずつ消えていく。
アリバイが崩れ、
嘘が暴かれ、
最後に“犯人”が残る。
だが本作は違う。
調べれば調べるほど、
誰もが怪しく、
誰一人として無関係ではない。
これは、
「犯人を探す物語」ではなく、
疑いが列車全体に蔓延していく物語だ。
ミステリレビューの第50回はアガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』です!
※尚、予告後にネタバレがあります。
1.基本データとあらすじ
1-1.基本データ

1-2.あらすじ
真冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行には、国籍も身分も様々な乗客が乗り込んでいた。奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……ミステリの魅力が詰まった永遠の名作の新訳版。
2.主観的評点と向き/不向き
2-1.主観的評点
主観的評点は以下の通りです。

2-2.向き/不向き
向ている人
・ミステリ読み始めの人
・アガサ・クリスティーファンの人
向いていない人
・古典ミステリ/翻訳文が苦手な人
・現代的な設定のミステリが好きな人
3.ネタバレと感想
以下、核心の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。
3-1.犯人と動機
犯人は12人の容疑者全員。登場人物の中で探偵役のポアロ、医師のコンスタンティン、オリエント急行重役のブークを除いた12人には、それぞれラチェット殺害の強い動機があった。
ラチェットは、数年前に起きたアームストロング家の娘誘拐事件の犯人。ラチェットは本名をカセッティと言う。ラチェットはアームストロングの娘であるデイジーを誘拐し金銭を奪った挙句、殺害した過去を持つのであった。
たまたまオリエント急行に集まった(かに見えた)12人は、事件に関して深い憤りを覚えていた人たちであった。
アメリカ人のハバードはデイジーの母であるソニアの母親、女優リンダ・アーデン
アンドレニ伯爵夫人はソニアの妹・ヘレナ・ゴールデンバーグ
ロシア人侯爵夫人のドラゴミロフはソニアの母親・リンダ・アーデンの友人
ラチェットの秘書・マックイーンはソニアを慕っていた
車掌のピエール・ミシェルは、デイジーの子守をしていたスザンヌの父親
アメリカ人探偵のハードマンはスザンヌの恋人
イギリス人大佐のアーバスノットはアームストロング大佐の親友
ラチェットの召使・マスターマンはアームストロング大佐の元召使
イギリス人女性のデブナムはアームストロング家の元家庭教師
イタリア人のセールスマン・フォスカレリはアームストロング家の元運転手
スウェーデン人のグレタ・オールソンはデイジーの育児係
誘拐事件の裁判に関して法の裁きを逃れたラチェット。
12人の性別も国籍もバラバラの12人は自らの手で裁きを下すために集まった“陪審員”だったのである。
彼らは、ポアロの取り調べに対して互いのアリバイを証拠付けるような証言をし、容疑者リストから逃れる。
しかし、オリエント急行乗車前に話を聞いていたポアロの観察眼により前提が崩れ、謎は解明するのであった。
ポアロは全員を断罪するか、第三者の犯行とし12人を許すかの2つの選択肢を持っていたが、事件を闇に葬り去る事にしたのであった。
3-2.ネタバレ感想
本作、オリエント急行の殺人は映画からまず先に観てからの原作を読了です。
ネタバレを知った前提で読みましたが、流石、プロットのアガサ(物語上の"トリック"ではなく、"構造"で驚かせる)と言った感想です。
この作品はミステリ初心者の読み早めの時期に読むと良い作品ですね。過去にnoteで取り上げた『そして誰もいなくなった』、次回、投稿予定の『アクロイド殺し』も突き詰めると、"1回きり"の大ネタなんですね。
ミステリを読み慣れると色々なバリエーションパターンに遭遇するトリックではあるのだけれど、本作がその元祖と言う意味では当然の事です。
一方で、一つの殺人だけで400頁と、第二部の証言パートがちょっとダルい印象も持ちました。列車の座席図を行ったり来たりしないと位置関係が分からないんですね。
とは言え、結末を知っていても解決パートの第三部はやっぱり一気読みでした。油の染みや多国籍を解決のヒントとしたり、証言の矛盾を突いて真相に至っていく様はやっぱり世界三大名探偵のエルキュール・ポアロですね。
