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第13回:死腔(デッドスペース)の増大―浅い呼吸が招く酸素不足の真実

【B.C Lab社 医療連携顧問】久保 肇(くぼ はじめ) 京都大学医学博士・医師。京都大学医学部附属病院外科講師、京都大学大学院助教授を歴任し、がん研究や実験外科学の第一線で活躍。文科省学術調査官や海外客員教授も務めた。

呼吸の真の目的は、肺胞でガス交換を行うことです。しかし、一度に吸い込んだ空気(一回換気量)のすべてが酸素供給に使われるわけではありません。気道などガス交換に関与しない空間を「死腔(デッドスペース)」と呼びます。姿勢が崩れ、胸郭の可動域が制限されると、呼吸は浅く速いパターンへと変化します。

ここで重大な生理学的問題が発生します。浅い呼吸では一回換気量が減少しますが、死腔の容積は解剖学的に一定であるため、一回換気量に占める「無駄な空気(死腔)」の割合が劇的に増大するのです。結果として、肺胞に届く新鮮な酸素の量は激減し、逆に体内の二酸化炭素排出が滞ります。これは血液のpHを酸性に傾け、筋肉の収縮効率を低下させる「呼吸性アシドーシス」を招きます。アスリートが「粘り」を発揮できない原因の多くは、肺機能そのものではなく、姿勢の崩れが招いた「死腔率の増大」にあるのです。

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