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地域の文化や歴史を探究する”ローカルディグ”ってなんだ?

こんにちは!ミライ研の田中です。


ミライ研では、地域循環型社会の共創に向けて、地域固有の魅力(文化、食、自然、歴史等)に着目し、それらをヒトとICTの力でエンパワーすることで、新しい価値を生み出す挑戦をしています。その価値創造の成功モデルの構築・展開をめざして、日本各地で様々な取り組みを進めています。

その大きな柱のひとつに、地域固有の文化や歴史を探究し、発信する「ローカルディグ」といったプロジェクトがあります。本noteでは、プロジェクトの背景や取組概要、今後の構想について書いていきたいと思います。


◆プロジェクトの背景


―地域の魅力を考えてみること

地域固有の魅力ってなんだろう―。

いきなりですが、皆さんが住んでいる地域やよく訪れる地域の固有の魅力は何でしょうか。文化、食、自然、歴史など、人それぞれ感じ方も違いますし、なかなか一言では言い尽くせないですよね。例えば、祭りや伝統工芸などの「文化」、郷土料理や特産品などの「」、海・川・山などの「自然」など、地域には人々の暮らしやこころに根付いた魅力がたくさんあります。

こうした魅力があるからこそ、実際に祭りを見に行ったり、各地の美味しい食べ物を楽しんだり、豊かな自然に触れるリフレッシュ旅行に出かけたりするんですよね。だからこそ、地域内外のヒト・モノ・カネが巡り巡って、地域社会が今日も続いていき、私たちに豊かさやウェルビーイングをもたらしてくれているのだと思います。文化や食、自然などの地域の魅力は当たり前のものとして、その大切さに気が付かないこともあるかもしれませんが、ふと立ち止まって考えてみると、日々の暮らしや私たちの心を支えてくれている大事なものです。

ミライ研では、こうした社会的価値(文化、食、自然等)の維持・保存に加え、そうした魅力を活用して地域内外のヒト・モノ・カネの流れ(≒経済的価値)を生み出す地域活性化モデルの創出に向けた調査研究とそのモデル実証に取り組んでいます。

―地域の維持発展に向けて、地域の魅力でファンを増やすこと

地域社会では、急激な人口減少や少子高齢化による過疎化、産業や文化の担い手不足などの社会問題が深刻化していますが、日本各地で持続的な地域の維持発展に向けた様々な取り組みがなされています。近年、注目されている関係人口の創出といった地域に継続的に関わる人をいかに増やすことができるかということも大切ですし、産業や文化の担い手・後継者を増やすことも地域の維持・発展には欠かせません。

ただ、つまるところ、地域固有の魅力で地域外の人々の興味を惹きつけ、どれだけ地域のファンを増やすことができるのかということが重要なのではないかと思うのです。近年注目されている「関係人口」も同じことだと思います。一度魅了されてファンになってしまえば、地域外に住んでいたとしても継続的にその地域に関わろうとしますし、産業や文化の担い手になろうと移住する決断もあるかもしれません。


―「地域固有の歴史や背景・ストーリーの体験」が魅力


地域のファンづくりを考えるとき、人の心を揺さぶるものは何か、それは人それぞれ異なります。「楽しさ」や「面白さ」であるかもしれないし、「感動」であるかもしれない、あるいは、「懐かしさ」や「切なさ」かもしれません。そうした様々な感情や心に届く地域の魅力として、地域が持つ固有の歴史や背景・ストーリーではないかと思うのです。

どちらかといえば、祭りや特産品、海・森・川の自然など、形として“目に見えるもの”、よりも、

それらが今に残る歴史や背景、支えてきた地域住民の方々の思いなど、形として“目には見えないもの”、なのではないか。

そうした地域固有の歴史や背景・ストーリーを体感する機会や場を通して、地域内外の人たちに「面白い!」とか「感動!」など”魅力的”と感じることは多いのではないでしょうか。

例えば、こういった事例もそうですよね。

(地域のストーリーをみることができます!)

(車は高い買い物ですが、魅力的に感じますね)


地域のお祭りに関して、こんな話を聴いたことがあります。「お祭り」と聞くと、出店や屋台が並ぶ、祭り特有の非日常的な空間を思い浮かべる方も多いでしょう。その特別な雰囲気を楽しみに、祭りを見に行ったり参加したりすることもあると思います。しかし、地元の方々にとって、祭り当日は「ハレ(非日常)」の一部に過ぎません。実は、祭りに至るまでの細やかな準備や、長年受け継がれてきた祭りに対する思いなど、「ケ(日常)」の部分こそが大切なんですよね。実際に地域の方から、「祭りの雰囲気だけでなく、この祭りの背景をもっと知ってほしい」という声を聴いたこともあります。

ただ、そうした目に見えない背景やストーリーを学び知る機会や逆に話す機会って、意外と少ないのかもしれません。もっとそんな機会が増えたらいいのになと思っています。背景やストーリーを知ったり話したりすることで、地域内外の人々の交流がさらに深まり、「楽しい!」「面白い!」と感じて地域のファン化へのきっかけになるのではないでしょうか。

また、例えば、アンテナショップで特産品を買おうか迷っているときや、イベント会場の旅行フェアで旅行先を検討しているときに、「この特産品はね、昔からこんな習慣があってね…」とか、「この島はレモンの島と言われていてね…」などと、その地域の歴史や背景、ストーリーを添えてもらうだけで、なんだか買ってみたくなったり、行ってみたくなったりしませんか?

そんな背景やストーリーを、地域住民の方々と協力しながら、文章や写真、映像、音など多様な形で発信していくことで、さまざまな層の方々の興味を引きつけることができるかもしれない。ヒトとICTの力を活用し、じっくり地域の文化や歴史を探究することで、地域が持つ独自の歴史や背景、ストーリーを改めて”魅力”として見直し、それらを体感・体験する仕掛けを設計していくことが、地域のファンを増やすうえで重要なのではないかと考えています。

◆プロジェクト概要

―地域の文化や歴史を探究し、多様な形で発信する「ローカルディグ」

それを実践するプロジェクトが「ローカルディグ」です。2024年度よりスタートし、東日本エリアを中心に各地域で取り組みを始めています。

このプロジェクトは、「見えないものに目を向ける」をコンセプトに、地域内外の関係者と協働した現地フィールドリサーチ等を通じて、地域固有の歴史や背景・ストーリーを魅力として再発見していきます。

地域に滞在しながら、地域の暮らしや心に根差した文化や地域固有の背景や成り立ち、それらに関わってきた地域住民の人々に焦点を当ていきます。

そして、それらを多様な形(文章・音・映像・写真など)で記録・発信することで新たな地域のファンを増やし、それをきっかけに地域内外の人や物、資金の流れを生み出すことをめざします。

文化や歴史の探求・発信を通じて社会的価値を保存・維持し、それらを活用して経済的な価値を生み出すという一連の流れをローカルディグモデルとして構築し、そのモデル実証を通じて地域活性化へ貢献してまいります。

また、2024年9月12日に北海道札幌で開催された地域文化のカンファレンスイベント「NoMaps2024」にて、本プロジェクトの構想発表を行いました。構想立ち上げの協働パートナーであり、文化芸術や歴史などの分野で活躍されている木野哲也さんと阿部千春さんをゲストに迎え、地域の魅力(文化、歴史、自然、人々)と向き合う楽しさや面白さ、そしてそうした活動を持続的に続けていくための課題や工夫など、「地域の魅力の発掘・再発見」に向けた議論を深めました。

多様な関係者と連携・協働し、共に楽しみながら、これまで知らなかった地域の魅力や存在を知り、その土地の文化や歴史に興味を持ち、ファンになっていく。取り組むべき課題は多いですが、最終的には移住定住や関係人口、地域文化の担い手・後継者の創出等につながることを目指し、現在3つの地域で活動を展開中です。

北海道函館市
「イミ消費」を取り込んだ地域文化継承モデル

<プロジェクト概要>
過疎化や少子高齢化等により地域固有の文化を継承することが難しくなり、若い世代の文化への関心も薄れています。そこで、近年注目されている社会的・文化的価値を重視する「イミ(意味)消費」に着目し、その対象層を中心とした「縄文」や「昆布」等の文化的価値を体感する新たな観光や教育モデルを構築し、地域ファンを増やし、文化継承に繋げていきます。
#縄文文化 , #縄文世界遺産 , #昆布漁業 , #森・川・海


新潟県小千谷市
地域の音を活用したシティプロモーション実証

<プロジェクト概要>
人の記憶と「音」は深く結びついており、特定の音や音楽を聴くことで過去の記憶が呼び起こされるといった経験は誰しもあるのではないでしょうか。本プロジェクトでは、小千谷市の様々な音を収集・発信することで、故郷を思い出すきっかけを作ります。
#おぢやまつり , #片貝まつり


新潟県佐渡市
音のフィールド調査×二拠点居住モデル構想

<プロジェクト概要>
地域の自然や文化の音を通じた地域価値の創出、研究者や芸術家による新しい二地域居住モデルの構想を目的として、音響民俗学の研究者である日本学術振興会特別研究員でミライ研客員研究員の柳沢英輔氏とともに、佐渡市協力のもと5日間のフィールドレコーディングを実施 しました。
ジオパーク


◆今後の取り組みについて


2024年度は、地域の文化や歴史を探究し、地域の魅力を再発見するモデル構想として、「ローカルディグ構想」を立ち上げました。

地域住民の方々との協働を大切にし、ヒトとICTの力を活用して、地域の文化や歴史を探究します。そこから見えてくる「地域固有の歴史や背景・ストーリー」を文章や写真、映像、音など、多様な形で発信することで、新たな地域ファンを増やすことを目指しています。それをきっかけに、地域内外の人や物、資金の流れを生み出し(≒経済価値)、地域の活性化に貢献してまいります。

今後、各地におけるローカルディグの活動模様や実証レポートも更新していきますので、ご期待ください!最後までお読みいただき、ありがとうございました。

研究員:田中健人(たなか けんと)

1992年兵庫県生まれ。青山学院大学卒業後、2015年NTT東日本入社。入社以来、新規事業の立上げや経営企画業務に携わり、2023年よりミライ研究所の立上げ、推進に加わる。地域に残る伝承や物語、人びとの記憶、生活文化、伝統文化の保存と継承などに関心を持ち、現在は「地域の魅力の発掘・再発見」をテーマにしたリサーチプロジェクトの実証に取り組み、地域愛の醸成や地域ブランディング等への活用をめざしている。また、日本遺産の普及・活用に向けた取り組みにも関心を持つ。

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