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レンタルスペース運営エッセイ96|⑩発展・マネタイズ拡張-6.地域連携モデル

この連載は、日本の小規模な時間貸しレンタルスペース運営について、現場での気づきや工夫をまとめた実践記録です。


今回のテーマを一言でいうと、地域連携モデルとは、地域の困りごとと、自分たちが提供できる空間や専門性を結びつけ、双方にとって無理なく続けられる仕組みをつくることです。

よくある誤解は、地域連携とは、無料で場所を提供したり、地域行事に参加したりする社会貢献活動だけを指すという考え方です。

もちろん、地域に役立つ活動そのものに大切な価値があります。

しかし、小規模な民間レンタルスペースが地域への貢献を長く続けるには、スペース側だけが費用や作業を負担する形にせず、必要な時間や費用、関係者それぞれの役割、活動の目的を事前に整理しておくことが大切です。

今回は、地域で知ってもらうための集客方法ではなく、地域貢献と事業継続を両立させる「地域連携の設計」に範囲を絞って考えます。

テーマ38「地域密着集客」は、地域で存在を知っていただく方法を扱う別テーマです。今回は、その内容を繰り返さず、知っていただいた後に、地域の方々や行政、団体との関係をどのように育てるかを深掘りします。

また、前回のテーマ95「レンタルスペース×講座ビジネス」では、運営経験を学びへ変え、必要とする方に届ける方法を整理しました。
今回は、空間や知識を地域の課題と結びつけ、地域に必要とされる民間拠点へ育てる方法を考えます。

地域連携は、立派な企画から始めなくてもよい

TYフェアリーリングは、埼玉県三芳町の藤久保地域にある、小規模な民間レンタルスペースです。

多目的利用、音楽・映像鑑賞、少人数の集まり、教室、地域活動、福祉的な交流など、目的に応じて利用できる3つのルームを運営しています。

私たちが大切にしてきたのは、設備の充実だけではありません。

少人数で落ち着いて過ごせる貸切空間であること。
利用目的に応じて、できる範囲で柔軟に案内すること。
初めて訪れる方にも、不安なく利用していただけること。

こうした日々の運営の延長に、地域との関わりがあります。

現在、TYフェアリーリングでは、次のような活動に取り組んでいます。

・三芳町認知症フレンドリー企業への登録
・認知症サポーター、三芳町チームオレンジメンバーとしての活動
・認知症カフェ「フェアリーカフェ」の毎月無償開催
・「三芳町共創のまちづくり」メンバーとして町の会議に参加
・「みよしSDGs宣言制度」への登録
・夫婦で「あいサポーター」として、あいサポート運動に参加
・三芳町ふれあいクーポンの利用可能店舗として協力
・三芳町循環ワゴンの停留所設置に協力
・介護福祉士、福祉住環境コーディネーターなどの視点を活かした、バリアフリーに配慮した施設づくり

一つひとつの活動は異なりますが、共通しているのは、地域の方が安心して人とつながり、必要な支援や交流の機会を得られる場所をつくることです。

地域連携は、突然大きな企画を立ち上げることではありません。

自分たちが持っている空間や経験を、地域の中で必要としている人へ、無理のない形で届けるところから始まります。

「地域に良いこと」だけでは、長く続けにくい

地域貢献を始めるときは、「少しでも役に立てれば」という気持ちが出発点になることが多いと思います。

私たちも、その気持ちを大切にしています。

一方、小規模な民間施設を維持するには、家賃や光熱費、清掃費、設備の維持費がかかります。地域活動を行う際には、準備や当日の対応にも時間と人手が必要です。

無料の活動を増やしすぎれば、施設そのものを維持できなくなる可能性があります。

反対に、最初から売上だけを目的にすると、地域の方から「営業のための活動ではないか」と受け取られてしまうこともあります。

大切なのは、社会貢献と事業活動を無理に一つへ混ぜないことです。

私は、地域連携の成果を、次の三つに分けて考えると整理しやすいと感じています。

1.地域への貢献

地域の方が安心して集まれる。
相談や交流の機会が増える。
外出や学びのきっかけになる。

ここでは、参加人数、利用者の声、継続できた回数などを確認します。

すぐに予約や売上へつながったかどうかだけで、活動の価値を判断しません。

2.事業としての成果

レンタルスペースの存在を知っていただく。
通常利用や定期利用につながる。
地域の団体から、活動場所として相談をいただく。
有料の教室、講座、交流会などへ発展する。

ここでは、問い合わせ件数、予約件数、継続利用、紹介などを確認します。

ただし、無償活動の参加者へ強く営業するのではなく、必要な方が通常利用を選べる案内を整えておくことが基本です。

3.将来へつながる運営資産

地域の方が、どのような場所を必要としているかが分かる。
行政や地域団体の担当者と、相談できる関係が育つ。
施設の改善点や、新しい利用方法が見えてくる。
運営者の専門性を、地域で活かせる機会が増える。

これらは、すぐに金額へ置き換えにくい成果です。

それでも、地域のニーズを理解し、新しいサービスを考えるための大切な運営資産になります。

無料で地域活動を行う場合も、目的と無理なく続けられる範囲をあらかじめ決めておくことが大切です。
費用や時間の負担が大きくなりすぎないようにすることで、地域への取り組みを長く続けやすくなります。

続く地域連携をつくる五つの確認項目

地域連携の企画を考えるときは、次の五つを一枚に整理すると、話が具体的になります。

重要なのは、最初から自分たちだけですべてを引き受けないことです。

たとえば、場所はレンタルスペースが提供し、参加者への周知は地域団体が行う。
内容の監修は専門職へ相談し、受付や進行は役割を分担する。

このように、それぞれが得意な部分を持ち寄ることで、負担の偏りを抑えられます。

地域連携とは、誰かが一方的に支えることではありません。

地域課題と民間施設の資源を持ち寄り、双方が役割を果たす仕組みです。

連携先へ相談するときは、お願いより「設計」を見せる

行政や地域団体へ相談するときに、

「何か一緒にできませんか」
「利用者を紹介してください」

というところから始めると、相手も何を検討すればよいのか分かりません。

まずは、A4用紙一枚程度に、次の内容をまとめておくと話が進みやすくなります。

・解決したい地域の課題
・対象となる人
・実施したい内容
・レンタルスペース側が提供できること
・連携先へお願いしたいこと
・実施に必要な費用と人員
・安全面、個人情報、緊急時の対応
・実施後に確認する項目
・試行期間と見直し時期

特に大切なのは、最初から長期契約や大規模な協力を求めないことです。

まずは一度だけ試す。
少人数で実施する。
実施後に振り返り、続けるかどうかを双方で判断する。

この順番であれば、小規模な施設でも始めやすくなります。

うまくいかなかった場合も、「失敗した」で終わらせず、対象者、開催時間、案内方法、役割分担のどこに改善余地があったのかを確認できます。

地域連携は、一度の大成功を目指すより、小さな試行と見直しを重ねるほうが、現実に合った形へ育てやすいと思います。

地域制度へ参加した後の導線まで考える

自治体や地域の制度に登録することは、地域との接点をつくる大切な機会です。

ただし、登録しただけでは、施設の利用方法まで地域の方へ伝わるとは限りません。

制度へ参加した後は、次の情報を分かりやすく整えておく必要があります。

・どのような人が利用できるのか
・何に使える場所なのか
・料金や利用条件はどうなっているのか
・初めて利用するときは、どこへ相談すればよいのか
・高齢者、障がいのある方、子ども連れの方への配慮はあるか
・地域活動や福祉的な利用について相談できるか

TYフェアリーリングには、目的に応じて使い分けられる3つのルームがあります。

多目的利用ができる部屋、音楽や映像を楽しめる部屋、少人数の集まりに使える部屋があることで、地域のさまざまな活動を受け止めやすくなります。

ただし、「何でもできます」と伝えるだけでは、利用者は自分に合うか判断できません。

「少人数の学習会に使える」
「落ち着いた交流会を開ける」
「音楽や映像を囲んで集まれる」
「地域活動や福祉的な交流について相談できる」

このように、具体的な利用場面へ置き換えて案内することが大切です。

AIは、地域連携の考え漏れを減らすために使う

地域連携の企画では、目的、対象者、役割、費用、安全面、告知方法など、多くの項目を同時に考える必要があります。

一人で整理していると、自分たちの都合に偏った計画になったり、連携先の負担を見落としたりすることがあります。

そのようなときは、AIと一緒に提案内容を点検すると、考えるべき項目を整理しやすくなります。

たとえば、次のように依頼できます。

次の地域課題、施設が提供できる資源、予算、開催条件をもとに、地域団体へ提出する連携提案をA4用紙一枚相当に整理してください。
目的、対象者、双方の役割、費用、安全面、実施後の確認項目を明確にし、誇張した表現は避けてください。

提案の下書きができたら、別の視点から確認します。

この提案を、自治体担当者、地域住民、施設運営者の三つの立場から確認し、曖昧な点、負担が偏っている点、誤解されやすい表現、事前に決めるべき事項を指摘してください。

会議後のメモを整理し、誰が、いつまでに、何を行うのかを一覧にする使い方もできます。

ただし、参加者の氏名、健康状態、相談内容などの個人情報を、そのままAIへ入力しない配慮が必要です。

また、行政制度の条件、安全管理、福祉的な対応については、AIの回答だけで判断せず、町の担当者や専門職へ確認します。

AIに決定してもらうのではなく、考え漏れを減らし、関係者同士で判断しやすくするために使うことが大切です。

これから始める方のための地域連携シート

地域連携を検討するときは、次の項目を書き出してみてください。

1.地域で気になっている困りごとは何か
2.その困りごとを抱えているのは誰か
3.自分のスペースで提供できるものは何か
4.自分たちだけでは不足するものは何か
5.どの行政窓口、地域団体、専門職へ相談できるか
6.無償で提供できる範囲はどこまでか
7.有料にする場合、何に対する料金なのか
8.安全面と個人情報をどのように守るか
9.一度だけ試すなら、どの規模で実施するか
10.実施後、何を確認して次の判断をするか

この十項目が埋まらない場合は、企画を急いで始めず、もう一度目的と役割を整理したほうがよいと思います。

反対に、この十項目が具体的になれば、連携先にも説明しやすくなり、実施後の振り返りも行いやすくなります。

地域に役立つことと、事業を続けること

地域連携は、集客だけを目的とした営業施策ではありません。

同時に、運営者が無理を重ねるだけの奉仕活動でもありません。

地域の困りごとに対して、自分たちが提供できる空間、設備、経験、専門性を持ち寄る。
連携先にも役割を担っていただき、費用と時間の上限を決め、小さく試しながら改善していく。

その積み重ねが、地域にとって利用しやすく、運営者にとっても続けられる民間拠点を育てます。

TYフェアリーリングも、最初から完成された地域連携モデルを持っていたわけではありません。

地域の制度を知り、活動へ参加し、できることを一つずつ増やしてきました。

認知症カフェ、福祉活動、町との会議、クーポン、循環ワゴンへの協力も、それぞれ単独の取り組みで終わらせるのではなく、「地域の方が安心して集まれる場所」という共通の方向へつないでいきたいと考えています。

最先端のAIを学び、活用する一方で、地域の方と顔を合わせ、話を聞き、小さな改善を続ける。

便利な技術が増える時代だからこそ、人が安心して集まれる現実の場所には、これまで以上に役割があるのかもしれません。

地域に役立つことと、事業として続けることは、どちらか一方を諦めなければならない関係ではありません。

丁寧に設計し、役割を分かち合うことで、その両方を大切にできる地域連携モデルへ育てていけると思います。


レンタルスペース運営や副業、これからの働き方を考える方にとって、ヒントになりましたら幸いです。

現在、日々の現場で得た気づきをもとに、「レンタルスペース運営エッセイ」を実践型の教材として整理しています。
運営の迷いや改善、集客、利用者対応、生成AIの活用まで、現場に即した形でまとめていく予定です。

少しでも参考になりましたら、❤やフォローで応援いただけますと、今後の発信と教材づくりの励みになります。

(完成した際には、いつも note を読んでくださっている方へ、感謝の気持ちを込めて、読者限定の割引案内も準備したいと考えています)

▶ [【索引】レンスペ運営エッセイ|講座化対応テーマ100選マスター]

※本ページに掲載しているテーマ構成・分類・連載設計は、レンタルスペース TYフェアリーリングの実運営経験と、AI共創アドバイザー™としての生成AI活用支援の視点も加えて作成した独自コンテンツです。
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