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《時間が育てるもの》

今年も、タイムアウトマーケット大阪で「ひやかけ」の提供が始まりました。

毎年楽しみにしてくださるお客様がいる、讃州の夏の定番です。

SANSHUの「ひやかけうどん」


この一杯に欠かせないのが、出汁。

瀬戸内産のイリコ、羅臼昆布、そして鰹節。

それぞれの旨味を引き出すために、火加減を細かく調整しながら、じっくり時間をかけて煮出していきます。

(ひやかけの出汁については、また別の記事でゆっくり書こうと思います。)

火を強くすれば、早く仕上がるわけではありません。

香りは飛び、雑味が出て、澄んだ出汁は少しずつ濁ってしまう。

時間をかけること、そのものが美味しさの一部なのです。

だからこそ、この出汁はぜひ一度体感していただきたいと思っています。



そんな出汁を毎日引きながら、最近ふと思うことがあります。

若い頃の僕は、とにかく生き急いでいました。

「26歳までに自分の店を持つ。」

そう決めたら、もう一直線。

割烹、イタリアン、寿司、フレンチ……。

「本当にうどん屋になる気あるんか?」と言われそうなくらい、いろんな厨房を渡り歩きました。

周りの友達が遊んでいる時間も、自分は店に立ち、とにかく経験を積むことだけを考えていました。

その結果、25歳で独立という目標は達成できました。

今振り返っても、あの頃の行動力には我ながら驚きます。

でも、あの頃の僕には「待つ」という選択肢はありませんでした。

早く一人前になりたい。

早く認められたい。

早く結果を出したい。

焦ることが努力だと、本気で思っていたのです。



もちろん、その時間があったから今があります。

だから、あの頃の自分を否定するつもりはありません。

ただ、50歳になった今、少しだけ考え方が変わりました。

……と言っても、せっかちな性格は相変わらずです(笑)。

ダイエットを始めれば毎朝体重計に乗って一喜一憂し、「昨日あんなに歩いたのに増えてるやん!」と、一人でツッコミを入れる日もあります。

人間、そう簡単には変われません。

それでも、一つだけ分かったことがあります。

人生で本当に価値のあるものほど、不思議なくらい時間がかかるということです。

出汁もそう。

麺もそう。

人の成長もそう。

信頼もそう。

急げば近道になると思っていたものほど、遠回りの先でしか手に入らないことがあります。

時間は、ただ過ぎていくものではありません。

時間が育ててくれるものが、人生には確かにあるのだと思います。



「待つ」というのは、何もしないことではありません。

出汁を引く間も、料理人は火加減を見続けています。

香りを確かめ、温度を感じ、昆布を引き上げるタイミングを見極める。

ただ放っておくこととは違う。

信じながら、丁寧に向き合う時間です。

人もきっと同じなのでしょう。

焦って結果を追いかけるより、今やるべきことを積み重ねながら、その時を待つ。

そんな時間が、人を育て、信頼を育て、人生を育てていくのかもしれません。



出汁は急ぐほど濁る。

人もまた、急ぐほど大切なものを見失う。

50歳になってようやく気づきました。

これは料理だけの話ではなかったのだと。

鍋の中で旨味が静かに重なっていくように、人の心にもまた、急ぐことのできない時間が流れています。

待つことは、立ち止まることではない。

信じながら、今日を丁寧に積み重ねること。

その先で、思いがけない再会や、新しい景色に出会えるのだとしたら、それは「待った時間」が運んできてくれた贈り物なのかもしれません。

人生は、急ぐことで深くなるのではない。

時間をかけたものだけが、人を深くしていくのだと思います。

知らんけどw


あっ、おはようございます!

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