拝み屋が二人いた話(実話怪談)
私が子供の頃に体験した話
私自身に霊感はないので見えるはずがない物が見えてしまった不思議な話
私が生まれたのは昭和の後半
その時には病気になった時にはまず病院が主だった
だが、その時代では拝み屋業も健在であり
「病院で原因不明だった病気を拝み屋さんにみてもらったらやっぱり神様が関わっていた」
なんて話が世間話に出ていた
私の祖母も信心深い人で
「そこいら辺の小石にも神様がついているから粗末に扱ったらいかんよ」
と万物に神様がいるという話を言い聞かせていた
令和の今では突拍子もない話ではあるが、病院で原因不明と言われたら拝み屋にも相談してみようと言われた
私は2歳の頃に喘息の持病が発見され、合併症などにより、よく風邪や高熱を出すことが多かった
そのため、たびたび病院にお世話になっていた
その時もだが、今も病院での怪異というものには遭遇したことがない
そんな霊感のない私が体験した不思議な話である
私が10歳の時、謎の高熱にうなされた時のことだった
両親はもちろん車で15分ほどにかかりつけ医がいたので、そこに連れて行ったが、原因不明と言われた
普段は風邪による合併症が主で、熱冷ましや抗生物質ですぐに良くなった私の熱が下がらない
それに困っていると、同居していた父方の祖母が
「これは病院じゃどうしようもないから拝み屋さんに行ってきなさい」
と母に言った
母は
(病院でもわからなかった病気が治るわけではないだろうけど気休めになるなら)
と車で数分の拝み屋の家に向かった
その家は普通の日本家屋そのもので、農家では良くある家だった
表札には普通に苗字のみで看板も何もなかった
母が引き戸を開け、挨拶をすると奥から上のみ白い作務衣の中高年の女性が現れた
その女性に促されるまま奥に案内された
その奥の部屋は柔道場のような板張りで、神棚が飾られていた
そして座布団を持ってきた女性に促され、座布団に座ると女性と入れ替わりに上下白の作務衣姿の中年の男性が現れた
母が私の高熱の話をすると男性は私をみて
「この子の熱の原因は水神さん(龍神)のせいですね。お宅の井戸に住んでいる水神さんが自分を祀って毎朝水を備えて欲しいと訴えています。なので水神さんのいう通りに神棚を設置してください」
それで新たに設置されたのが以下の神棚である

母は毎日コップに水を入れ、供えた
その後私の熱は下がった
そして、成人した後に車でその付近を通っていた時にちょうどその話になった
「そうそう。あんたよく覚えてたねえ」
という話をしていたが
「その時男女で拝み屋さんがいたよね」
と言ったが
「は?あそこはおばちゃんが一人でやっていたよ」
受付の人だと私が思い込んでいた白い作務衣の中高年の女性が一人で拝み屋をやっていて他には男性がいなかったらしい
私の記憶違いと思われたが、その男性以外は全く同じで
「熱で幻覚を見たんじゃないか」
という結論に至った
たしかにその時の女性の顔は今でも覚えているが、肝心の男性の顔は覚えていない
結構体格の良い四角い輪郭の顔だったが、肝心の男性の目鼻立ちを覚えていない
その件の後も祖母は私の喘息が神様関係だったのかもしれないと母にいかせたそうだが
「水神さんを祀りましょう」
としか言わずしかも見当違いのことを言っていたので信用できなくなり、金銭もかかるので通うのをやめたそうだ
勿論私の喘息は遺伝性のアレルギーで、現在も予防を主とした服薬療養中である
その後、その拝み屋は当たらなくなったと言われ、本人も年齢を理由に拝み屋を辞めた
現在は身寄りもなかったその拝み屋は亡くなり、家もなくなった
そして最後に男性の方の拝み屋はこう言った
「今回は誰でも良かったのですがこの子が家族の中で一番体が弱いから神様が頼ってきました。大きくなったら力もついてなれるでしょうが、この子は元々神様が頼りやすい体質なのでこれからも神様が頼ってくるでしょう」
現在、謎の高熱もなく、喘息も予防薬で落ち着いているが
神様に頼られやすい体質はそのまま
無意識に神様に頼られ、知らずのうちに神様の願いを叶えている
と拝み屋に言われている
その代わり報酬ももらっているそうだが
今も昔も霊感のない私は全く見えないしわからない
終わり
