【関西国際大学 情報学部】「誰でも入れる」は本当?「Fラン」という言葉を2026年度入試結果から考える
大学名を検索すると、ときどき「Fラン」という言葉が出てきます。
関西国際大学についても、「入試は簡単なのではないか」「受験すれば誰でも入れるのではないか」と気になる高校生や保護者の方がいるかもしれません。
一方、インターネット上では、「MARCHや関関同立より下はすべてFラン」といった使われ方もあります。そこまで広く定義してしまえば、ほとんどの大学が一括して同じ言葉で扱われることになります。
この記事では、大学の優劣を決めるつもりはありません。
確認したいのは、関西国際大学 情報学部について、「受験すればほぼ全員が合格する」「選抜が実質的に行われていない」という意味で語られることが、実際の入試結果と合っているのかどうかです。
私は情報学部で教える立場です。そこで、印象や宣伝ではなく、大学が公表した2026年度入試結果をもとに考えます。
「Fラン」と「BF」は同じ言葉ではありません
そもそも「Fラン」は、公的な大学区分ではありません。使う人によって意味が異なる、かなり曖昧な言葉です。
これに対して、河合塾の「BF(ボーダー・フリー)」には入試上の意味があります。
河合塾では、合格可能性が50%になる偏差値帯をボーダーラインとして示しています。不合格者が少ないなどの理由で、そのラインを設定できない場合にBFと表記します。
2027年度入試の予想では、関西国際大学 情報学部 情報デザイン学科は、一般方式のボーダー偏差値が35.0、共通テスト利用方式が51~53%です。
※この数字は以前の記事にも書きましたが、過小評価されています。共通テスト利用方式ですが、今年は合格最低点が70%を上回る激戦となりました。今年度もこの数字となるかはわかりませんが、すくなくとも教員としての感覚では偏差値45~47.5くらいが実際のレベルかと思います。
偏差値35.0は、河合塾の表示では最も低い数値帯です。入試難易度が高いと誇張できる数字ではありません。
ただし、BFではありません。
つまり、「難関大学である」と「誰でも入れる大学である」の間には、かなり広い範囲があります。どちらか一方に決めつけるのは正確ではありません。
2026年度の一般選抜を合計してみる
関西国際大学が公表した2026年度入試結果から、情報学部 情報デザイン学科の一般選抜型を合計すると、次のようになります。
|① 区分 |② 延べ志願者 |③ 延べ受験者 |④ 合格者 |⑤ 志願者数÷合格者数 |
|① 一般選抜型 |② 124人 |③ 108人 |④ 21人 |⑤ 約5.90倍 |
|① 共通テスト利用型 |② 23人 |③ 23人 |④ 4人 |⑤ 5.75倍 |
| ①合計 |② 147人 |③ 131人 |④ 25人 |⑤ 約5.88倍 |
一般選抜型と共通テスト利用型を合わせると、延べ受験者131人に対して、合格者は25人でした。受験者数を基準に計算すると約5.24倍です。
特に一般選抜型の後期は、志願者52人、受験者46人、合格者4人で、大学公表の競争率は13.00倍でした。
ここで注意したいのは、これらが「延べ人数」だということです。
同じ受験生が複数の日程や方式に出願している可能性があります。そのため、「受験生5人のうち4人が必ず不合格になった」と個人単位で読むことはできません。
それでも、出願すればほぼ全員が合格する入試ではなかったことは、数字から確認できます。
少なくとも、「誰でも入れる」「受験すればほぼ合格する」という意味でのFランという説明は、2026年度の情報学部の一般選抜結果には当てはまりません。
倍率が高ければ、よい大学なのか
ここで、反対方向の誤解にも注意が必要です。
競争率が約5.9倍だったからといって、それだけで教育内容、研究力、就職実績、学生支援のすべてが優れていると証明されたわけではありません。
倍率は、募集人数、合格者の出し方、併願、日程、新設学部への関心などによって変わります。初年度の結果だけで、今後も同じ状況が続くとも限りません。
今回の数字から言えるのは、もっと限定的なことです。
関西国際大学 情報学部は、2026年4月に開設された新しい学部です。その初年度入試では、特に一般選抜で実際に多くの不合格が出ました。
したがって、「選抜が行われていない」「受験すれば全員入れる」と説明するのは事実と合いません。
一方で、MARCHや関関同立と同じ難易度だと主張する根拠にもなりません。
高く見せる必要も、低く決めつける必要もありません。
大学名のラベルより、4年間の中身を見る
大学を選ぶとき、偏差値や倍率を確認することは大切です。
ただ、それだけで4年間を決めるのは危険です。
どのような授業があるのか。実際に手を動かして学べるのか。教員に相談しやすいか。資格や就職の支援はあるか。自分の興味とカリキュラムが合っているか。学費や通学に無理はないか。
こうした点も含めて比較する必要があります。
また、大学の入試難易度と、そこで学ぶ学生一人ひとりの価値は別の問題です。
「Fラン」という言葉が、在学生や卒業生を一括して見下すために使われることには賛成できません。難易度の異なる大学があることと、そこに通う人を低く扱ってよいことは、まったく別の話です。
関西国際大学 情報学部が、すべての人に合うとは限りません。大学ごとに、専門分野、授業の進め方、学生支援、研究環境は異なります。
だからこそ、検索結果に出てくる短い言葉だけで判断せず、公開されている数字を見て、オープンキャンパスで実際の授業や雰囲気を確かめてほしいと思います。
少なくとも、2026年度の入試結果を見る限り、関西国際大学 情報学部を「誰でも入れる学部」と呼ぶのは正確ではありません。
大学を過大評価する必要も、根拠なく過小評価する必要もない。
数字を見て、中身を見て、自分に合うかを考える。それが、後悔しにくい大学選びだと思います。
