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【エッセイ】心をざわつかせ、溶かしたのは。


Xを積極的に使うようになったのは、
今年の5月初めくらいから。


しばらくしてすぐに、
とある出来事に遭遇しました。


SNS…言葉の危うさ。
それを目の当たりにしたんです。


いまは穏やかさを取り戻し、
いつもの海になっているけれど。


ボクは、ボクのなかで、
この事実が少し、消化しきれていない。


たぶんひとつの出来事として、繰り返さないように持ち続けるとおもいます。

  


  

自分なりに積み上げたものを、
バラバラに崩された感覚

  
はじめその場に遭遇して、
そう感じました。

    
自分が努力してきた結果、
なにかが足りなくて、
たどりつけなかったこと。


振り返ったときに、
おもっていたより進めていなかったこと。


そんな挫折は、誰にでもあるよね。


それが自分で見つけた課題なら、
また一歩踏み出すこともできる。


そういうものじゃないかとおもう。

  
でも。
   

その努力の否定が、自分ではない誰かによるものだとしたら。

  
それは直接的ではなく。


そのひとが自分の信念を、
自分なりの考えを、投じたに過ぎない。


その行為自体を、否定はできないです。


その考えは、
一方では正しいものだとおもう。


言葉にした本人も、
そのつもりがないかもしれない。


意図的に、
誰かを否定しようとする人のほうが、
少ないだろうから。
  

それでも、投げた石は、
水面みなもを揺らすんです。
  
  

生まれた波紋は小さくても、
伝播し、反響し、干渉していく。

  
  
いちど放たれた言葉は、取り戻せない。


言葉にした本人の、
意思が及ばないところまで、
その波は伝わってしまう。


そして、
    

自分の考えすぎかもしれない。
気にしすぎかもしれない。

  
と、受け取った人によっては、
無理やり自分の気持ちに蓋をして、
無理やり前をみて笑うしかなくなるんです。


あるいは、
その思考から抜け出せなくなって、
立ち止まって、うずくまってしまう。

言葉には、
そんな危うさがあるんです。

  

  
すこし、話を変えようとおもいます。


今日伝えたい、書こうとおもったこと。

  
言葉のもつ、もうひとつの力について。

  


  

満月の明かりで、影ができるよ。
どこからか花の香りがする…
夜だから、よく解るね。

  


    
ボクは一時期、
孤独に過ごすなか、
どんどん深く沈んでいって、
笑顔を忘れるほど無感情になっていました。

    
自分なりに進んでいるはずだった。
色んなもの全部を捨てて、一心不乱に。


誰にも頼らず、自分の力で、
しっかりと泳いでるつもりだった。


でも実際は、
手足をバタバタさせていただけ。


景色も、状況も、
少しも変わっていなくて。


次第に、水の重みに耐えられなくなって、
ボクは深い海の底に落ちていきました。
  

  
さすがに、このままじゃダメだ。

そう感じて、
おもいきって別の海へ向かったんです。


そこは、同じ夢をもつ人が集まるところ。


人と関わることを避けていたボクが、
少しずつ、感情を取り戻せる場所でした。
  

同じ夜を歩き、月を見上げたときのこと。


そのときに、かけられた言葉。

  

満月の明かりで、影ができるよ。
どこからか花の香りがする…
夜だから、よく解るね。

  
  
知らなかった。
満月が影を落とすなんて。


知らなかった。
夜、花は香りを強くすること。


なんのことはない、ただの夜の道。
きっと、感じたまま、口にしただけだろう。


けれどそれは、


その言葉は、


ボクの冷えきった心を、
じんわりと温めてくれたんだ。

  


  
月明かりの下にできた影も。


どこからか漂ってきた花の香りも。

  

あのときの夜の空気ごと、
はっきりと思い出せます。
  


その言葉を、景色を、
いまも大切に覚えているんです。

  
  

誰かの心をざわつかせたのも、
言葉だった。

けれど、

誰かの心を溶かしたのも、
言葉だったんだ。

  

ーーー お し ま い ーーー

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