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【第4部!!スマートグラスで未来を照らす編】─ 528Hzは人類を救うのか―

2026年5月、静岡県立医療機器研究所。

深夜の研究所は、昼間とはまるで別の顔を見せていた。
人の気配は消え、機械の駆動音と空調の低い唸りだけが、静寂の中に溶け込んでいる。

江田三郎は、生物評価研究室の端末の前に立っていた。

(ここだ……)

528Hzに関する実験データ。
めまい抑制、DNA修復の可能性、脳波との相互作用。
それらは、この研究所の中でも限られた者しか触れることのできない領域だった。
江田は迷いなくキーボードを叩く。

――最終認証が必要です
所長:山下 茂

一瞬、指が止まった。

(……やはり、ここまでか)

いくつかのパスワードを試すが、画面は冷たく拒絶する。

――認証失敗

江田は静かに息を吐き、端末を閉じた。
何事もなかったかのように、研究室を後にする。


翌日。

所長室には、張りつめた空気が漂っていた。

山下、五十嵐、北川、そして江田。

山下
「江田君。昨夜、生物評価研究室に入ったな」

江田
「……はい」

北川
「528Hzの最終データにアクセスしようとしたな」

沈黙。
だが、江田は否定しなかった。

五十嵐
「理由を聞かせてくれ」

江田は一度、目を閉じる。
そして、覚悟を決めたように口を開いた。

江田
「自分は……内閣府DX機密プロジェクトの指示で、ここに来ました」

空気が凍りつく。

江田
「藤堂武光総理、そして藤堂豪機。
彼らが黒幕です」

北川
「……やはり、そうだったか」

江田
「528Hzの研究成果を国家管理下に置き、
遺伝子レベルで“従順な人間”を作る。
それが、彼らの目的です」

五十嵐
「人を……作る?」

江田
「忠誠心、恐怖心、判断力。それらを操作するための基盤技術として、528Hzを狙っているのです」

沈黙の中、山下が低く言った。

山下
「もう一度聞く。君は、その計画に加担していたのか」

江田
「……はい。でも、もう終わりにしたい。
最初から、この組織に深く関わるつもりはなかった。私は……」

山下
「もういい。だが、組織から抜けるという言葉を、我々は簡単には信用できない」

江田は深く頭を下げた。

江田
「では、自分が組織で研究してきたブロックチェーン型データ共有システムの技術を提供します」

五十嵐
「それは……」

北川
「実用化できたのか?」

江田
「はい。医療データを改ざん不可能な形で共有できます。将来的にはナースコールや緊急医療にも応用できるはずです」

北川
「……条件付きで受け入れる、所長」

山下
「分かった。ただし、藤堂親子とは完全に手を切れ。それが条件だ」

江田
「……はい」


その頃、東京。内閣総理大臣室。

藤堂豪機
「……江田、失敗しましたか」

藤堂武光
「使えぬ男だな」

豪機
「問題ありません。彼は最初から、切り捨てる前提でした」

武光
「ほう?」

豪機
「イリノイDNA未来研究所。江田と私は、同じ場所にいました。彼は優秀でした、が……優しすぎた」

武光
「フォックスの発表取りやめも……」

豪機
「ええ。私の指示です」

冷たい微笑みが浮かぶ。

豪機
「次の刺客を送ります。赤石健太を」

武光
「……いいだろう。江田の周辺も洗え」


一方、医療機器研究所。

528Hzを用いためまい抑制システムの最終試験。

池田和代
「……私がやります」

北川
「池田、本当にいいのか」

池田
「この研究で誰かが苦しむなら、意味がありません。だから、最初は私が」

静かにスマートグラスを装着する。

五十嵐
「528Hz、照射開始」

数分後。

池田はゆっくりと目を開けた。

池田
「……大丈夫です。めまい、ありません」

研究室に、安堵と歓声が広がる。

北川
「成功だ……」

五十嵐は小さく頷いた。

五十嵐
「次の課題に入る。バッテリー問題だ」

池田
「はい」

だが――
その成功の影で、別の歯車が静かに回り始めていた。


果たして、528Hzは、人類を救うのか。
それとも――人類支配の道具となるのか。

そして、新たな敵、赤石健太の影が、
静かに和代達の研究所へと近づいていた。


第10話に続く

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