ペットから「わが子」になった日を忘れない
モンちゃんが、初めて自分から私の膝の上に乗ってきた日。
そのときのことは、今でもはっきり覚えています。
モンちゃんは、もともと娘が迎えたビーグルです。
うちに来た日から毎日元気いっぱいで、かわいくて、癒しの存在でした。
でも正直、どこかに「娘の犬」という意識があって、私は少し距離を置いていたように思います。
大切でかわいい存在ではあるけれど、まだ心の深いところまでは入り込んでいなかった──そんな感じでした。
そんなある日、モンちゃんがそっと私の膝の上に乗ってきたんです。(上の写真がそのときの様子です)
最初は「どうした?」と驚きましたが、すぐに思いました。
ああ、きっと不安だったんだ。痛かったんだ。こわかったんだな、と。
実はその日、モンちゃんは避妊手術を終えて帰ってきたばかりでした。
さすがのモンちゃんも元気がなく、おしっこするのも痛そうで、見ていてかわいそうでした。
エリザベスカラーが邪魔で歩きづらかったのか、あまり動こうともせず、不安な気持ちがにじみ出ていたように思います。
そんな気持ちを、モンちゃんは“ぴたっと寄り添う”ことで伝えてきたんだと思います。
そのとき、「娘の犬」だったはずのモンちゃんが、「わが子」になったような気がしました。
そして、初めて「お父さん」と呼ばれたような気がして、うれしくて、そしてなぜか懐かしさまでこみあげてきました。
そういえば、娘たちがまだ小さかったころも、こんなふうに甘えてきたなあ……と、そんな記憶が、ふとよみがえってきました。
実は、モンちゃんがうちに来てから1年ほどで、娘は仕事の都合で一人暮らしを始めました。なので、それ以来、私たち夫婦とモンちゃんの三人暮らしに。
だからこそ、なおさら「わが子」という気持ちが強くなっていったのかもしれません。
あらためて、モンちゃんに出会わせてくれた娘には感謝しています。
そして、あの日、そっと膝の上に乗ってきてくれたモンちゃんにも。
あのぬくもりと、心の中で聞こえた「お父さん」という声を、私はきっとずっと忘れません。
